第49話「森へ来た影」
昼過ぎ。
リース村。
村門が見え始めた頃。
コウは少し違和感を覚えていた。
人が多い。
荷車も多い。
ただ。
いつもの空気と違う。
門側。
男達が集まり、
何か話している。
笑い声が少ない。
どこか落ち着かない。
リリアも周囲を見る。
「……何か変ですね」
「ああ」
リアカーを引きながら、
そのまま中へ入る。
いつもの場所へ。
葉包み。
小壺。
塩漬け魚。
並べていく。
客は来る。
ただ。
今日は会話が短い。
「山椒のやつ2つ」
「塩のもくれ」
「悪い、
今日は急いでる」
どこか皆落ち着かない。
今日は普通干し肉が4本。
山椒後掛け2。
塩後掛け1。
唐辛子後掛け1。
さらに。
塩漬け魚1。
乾燥薬草も4売れる。
ただ。
やはり全体の空気は重かった。
その頃。
「お、
いたいた」
ロイド達がやってくる。
ロイド。
エミル。
ガルド。
ただ。
3人とも、
今日は少し疲れて見えた。
エミルが荷を下ろす。
「約束の4匹な」
ウサギ。
かなり良いサイズだった。
コウも確認する。
「助かる」
そのまま8ルク支払う。
だが。
やはり空気がおかしい。
コウも聞く。
「……何かあったのか?」
ロイド達も少し黙る。
その後。
ロイドが低く言った。
「熊だ」
コウも少し止まる。
「ああ。
北側の森だ」
さらに話が続く。
村北側。
ドカタ組。
森作業中に熊が出た。
大将がやられた。
他にも数人。
かなり酷かったらしい。
周囲の空気も重い。
ロイドも舌打ち気味に続ける。
「弟子だけは生き残ったんだがな……」
そこで少し止まる。
「結局、
誰も引き取れなかった」
コウも黙る。
「町行きだ。
奴隷落ち」
リリアも少し視線を落とす。
ガルドも腕を組む。
「今、
ガキ1人養う余裕ある奴なんざ、
村にゃ居ねぇからな……」
少し空気が止まる。
その後。
コウが聞く。
「……その弟子、
どんな奴なんだ?」
ロイドも少し不思議そうに見る。
「ん?」
「いや、
最近こっちも人手足りなくてな」
ロイドも少し考える。
「あー……
狼族の娘だな」
リリアも少し反応する。
「狼族……」
「15か16くらいか。
ドカタ組の下働きだった」
荷運び。
穴掘り。
木材運び。
そういう仕事をやっていたらしい。
「真面目な奴だったぞ」
エミルも頷く。
「ただ、
かなり静かになっちまったらしいが」
ロイドも続ける。
「鼻はかなり利くらしい。
まあ、
それで生き残ったんじゃねぇかって話だ」
コウも少し考える。
ただ。
それ以上は聞かなかった。
その後。
ガルドが話を変える。
「で、
パンの方はどうだった?」
「あー……
やっぱ駄目だな」
コウも少し苦い顔になる。
「水入れると崩れる。
まとまらねぇ」
「粘りが足りんのかねぇ……」
ガルドも悩む。
その後も少し販売は続く。
ただ。
やはり今日は空気が違う。
そのため。
今日は少し早めに片付ける事にした。
葉包み。
小壺。
荷を戻していく。
「今日は、
ちょっと嫌な感じですね」
「ああ」
リアカーを引く。
そのまま村門へ向かう。
後ろではまだ、
男達の話し声が続いていた。
村を出る。
門側。
行きより静かだった。
男達はまだ集まっている。
槍。
斧。
普段より、
道具を持ったまま話している者も多い。
やはり皆、
熊を気にしていた。
そのまま森道へ入る。
今日は、
リリアも周囲を見る回数が多い。
「……本当に、
熊いるんですね」
「ああ」
コウも短く返す。
まだ見た訳じゃない。
ただ。
ロイド達の空気を見る限り、
冗談ではない。
森は静かだった。
鳥の声。
風。
枝音。
いつも通り。
だが。
静かな分だけ、
逆に少し気になる。
「でも、
方向違うなら、
すぐ来る訳じゃないですよね?」
「……多分な」
コウもそう返す。
実際。
北側と東側では少し距離がある。
だからこそ、
今日も普通に村へ行った。
ただ。
絶対安全とも言い切れない。
そこが嫌だった。
しばらくして。
森拠点へ戻る。
「とりあえず、
先にウサギやるか」
エミル達から受け取った4匹。
コウもすぐ作業へ入る。
ナイフ。
血抜き。
解体。
肉分け。
以前より、
かなり慣れている。
リリアも横で手伝う。
4匹分。
かなり量が多い。
そのまま。
紐を通す。
吊るす。
新しい干し場。
朝吊るした15本。
さらに。
今回追加20本。
かなり埋まっていた。
「……ほんと、
増えましたね」
「ああ」
以前なら、
ここまで回せなかった。
ただ。
今は違う。
加工そのものが、
生活に組み込まれ始めていた。
その後。
夕食準備。
今日は塩漬け魚を使う。
普通干し肉も2本。
細かく刻む。
鍋へ。
塩漬け魚も半分ずつ。
しばらくして完成。
コウ側へ山椒粉。
リリア側へセルハ粉。
別々に掛ける。
シノへも干し肉を1本。
焚き火の音だけが響く。
静かな夕食だった。
「……何か、
変な感じですね」
リリアが小さく言う。
「ああ」
コウも頷く。
森はいつも通り。
だが。
今日は、
何となく空気が違った。
食後。
コウはリアカーを見る。
「一応、
積めるもんは積んどくか」
「逃げる用ですか?」
「まあ、
念のためだ」
完全に避難する訳じゃない。
ただ。
もし来た時。
すぐ動けた方がいい。
そのまま荷整理を始める。
木箱。
小壺。
乾燥素材。
保存食。
工具。
鍋。
武器。
リアカーへ集めていく。
以前より、
荷がかなり増えていた。
生活そのものが、
そこへ積まれていく。
工具類は外側。
武器も近く。
今日は焚き火も少し大きめにした。
そのまま。
夜。
2人とも横になる。
疲れていた。
森は静かだった。
ただ。
途中。
「……ワフ」
シノが低く唸る。
その少し後。
今度は長い。
低い唸り。
シノも立っていた。
暗闇を見ている。
「……シノ?」
リリアも起きる。
その瞬間。
突然。
激しく吠え始めた。
「ワン!!
ワン!!」
コウも飛び起きる。
剣。
火。
すぐ外へ出る。
夜。
暗い。
だが。
池側から、
大きな水音が聞こえた。
何かいる。
火を向ける。
その瞬間。
巨大な影が動いた。
簡易生簀へ手を突っ込む、
巨大な熊だった。
PL(第49話終了時)
通常収支
項目増減
開始219ルク
収入+25ルク
支出(ウサギ4匹)-8ルク
終了236ルク
⸻
食料変動
普通干し肉A(旧A)
開始5
* 販売-4
* シノ食事-1
合計-5
残0(消滅)
⸻
普通干し肉B(旧B→繰上A)
開始10
* 食事-2
合計-2
残8
⸻
普通干し肉C(旧C→繰上B)
開始5
変動なし
残5
⸻
普通干し肉D(加工中)
開始15
* 新規加工+20
合計+20
残35
⸻
塩干し肉
開始10
変動なし
残10
⸻
塩漬け魚A
開始2
変動なし
残2
⸻
塩漬け魚B
開始8
* 販売-1
* 食事-1
合計-2
残6
⸻
粉類変動
山椒粉
開始60
* 販売使用-2
* 食事使用-1
合計-3
残57
⸻
唐辛子粉
開始46
* 販売使用-1
合計-1
残45
⸻
セルハ粉
開始58
* 食事使用-1
合計-1
残57
⸻
粉塩
開始46
* 販売使用-1
合計-1
残45
⸻
素材変動
乾燥薬草
開始50
* 販売-4
残46
⸻
生山椒
開始5
変動なし
残5
⸻
乾燥山椒
開始50
変動なし
残50
⸻
山椒(乾燥中)
開始30
変動なし
残30
⸻
乾燥唐辛子
開始25
変動なし
残25
⸻
セルハ草(乾燥中)
開始10
変動なし
残10
⸻
薬草(乾燥中)
開始10
変動なし
残10
⸻
BL(第49話終了時)
魚関連
魚罠
* 稼働中×4
* 交換用×4(リアカー積載)
⸻
簡易生簀
* 魚×4
※熊襲撃中
⸻
食料
完成品
* 普通干し肉A×8
* 普通干し肉B×5
* 塩干し肉×10
* 塩漬け魚A×2
* 塩漬け魚B×6
⸻
加工中
* 普通干し肉加工中×35
⸻
素材・薬品
リアカー積載
* 乾燥薬草×46
* 生山椒×5
* 乾燥山椒×50
⸻
乾燥中
* 山椒(乾燥中)×30
* 薬草(乾燥中)×10
* セルハ草(乾燥中)×10
⸻
粉類(小壺)
* 山椒粉×57(小壺)
* 唐辛子粉×45(小壺)
* セルハ粉×57(小壺)
* 粉塩×45(小壺)
⸻
リアカー積載
木箱
* 木箱(大)×2
* 木箱(小)×2
⸻
武器・工具
* 剣×1
* 槍×1
* 片手斧×1
* ナタ×1
* ツルハシ×1
* ショベル×1
⸻
調理器具
* 小鍋×2
* 中鍋×1
* 鉄板×1
* 古鍋×1
⸻
その他
* 購入網×1
* 竹網×2
* 紐
* 縄
* ロープ
* 壺類
* 陶器類
* 水袋
* カバン類
⸻
拠点残置
* 干し棚
* 乾燥棚
* 吊るし場
* 火場
* 簡易ベッド
* 干し草
* 厚手布
* 常設設備類




