第38話「温かい匂い」
朝。
森拠点。
コウはゆっくり目を開ける。
火跡。
まだ少し熱が残っていた。
横では、
リリアも起き始めている。
「おはようございます」
「ああ」
外は少し冷えていた。
森の湿った空気。
コウは壺を見る。
塩漬け魚。
かなり増えている。
粉塩壺も確認。
以前より、
保存側の物がかなり増えていた。
「今日は魚、
増やさなくていい」
リリアが顔を上げる。
「生簀ですか?」
「ああ。
今日はそっちへ入れといてくれ」
「分かりました」
最近は、
獲れた物を全部加工する訳ではなくなっていた。
保存。
調整。
回し方自体が少しずつ変わっている。
その後。
準備。
リリアは魚罠2を持つ。
コウも立ち上がる。
「行ってきます」
「ああ」
2人はそれぞれ森へ向かう。
最近は、
別れて動く事もかなり増えていた。
すると。
子犬も後ろを付いていこうとした。
「あ、今日は留守番です」
リリアがしゃがむ。
頭を軽く撫でる。
子犬は少し不満そうだったが、
その場へ座った。
一方。
コウは動物罠側へ向かう。
葉を掻き分ける。
朝露。
湿った土。
動物罠確認。
「……お」
ウサギ1。
しっかり掛かっていた。
他4は空。
「最近は魚側だな」
以前より、
魚がかなり安定している。
獣側は少し落ち着いていた。
一方。
リリア側。
魚罠確認。
2個とも入っていた。
「また入ってますね……」
魚2匹。
かなり安定。
リリアは魚を回収。
予備罠と交換。
使用済み罠を持つ。
その後。
帰り道。
池へ寄る。
簡易生簀。
竹で囲った水場。
リリアは魚2匹を中へ放した。
水音。
魚がゆっくり泳ぐ。
「今日はこっちですね」
今日は魚を拠点へ持ち帰らない。
生簀側を増やす日だった。
そのまま採取へ向かう。
山椒10。
薬草10。
クルム葉多数。
最近はかなり場所も分かってきていた。
「……ほんと増えましたね」
以前より、
かなり安定している。
一方。
コウも拠点へ戻る。
ウサギを地面へ置く。
解体。
毛皮。
肉。
骨。
慣れた手順だった。
以前よりかなり速い。
その後。
肉を細く切る。
普通干し肉用。
吊るせる君へ掛けていく。
以前より、
並ぶ量がかなり増えていた。
干し場。
肉。
吊るし縄。
少し前とは、
かなり景色が変わっている。
普通干し肉(本日作)5。
前日作10も合わせると、
かなり量が貯まり始めていた。
「……増えたな」
以前なら、
数日分で消えていた。
だが今は違う。
保存へ回せる量になっている。
コウは完成側から1つ取る。
少し古めの物だった。
子犬用。
半分へ割る。
0.5を竹皿へ置く。
匂いに反応して、
子犬がすぐ近付いてきた。
「キャン」
「食え」
子犬はかなり勢いよく食べ始める。
以前より、
かなり食欲が安定していた。
「……ほんと食うな」
コウは少し笑う。
残り0.5は別へ置いておく。
夕方用だった。
その後。
コウは干していたクルム葉を取る。
葉を折る。
普通干し肉を包む。
最近はこの辺り、
リリアへ任せる事が多かった。
だが。
量が増えてきた。
コウ自身も手を動かす。
葉。
紐。
包み。
ただ。
「……やっぱ、
リリアの方が上手いな」
形が少しズレる。
固定も甘い。
以前より出来るようにはなっている。
だが、
細かい作業はまだ差があった。
その後。
薪割り。
長丸太を割る。
乾いた音が響く。
枝材も整理。
細枝も分ける。
最近は火を使う量がかなり増えていた。
塩漬け魚。
葉乾燥。
料理。
湯沸かし。
以前より、
明らかに薪の減りが早い。
薪を積み終える頃には、
空も少し赤くなり始めていた。
その後。
コウは竹束を取る。
ナタ。
細割り。
竹をさらに細くしていく。
リリア用だった。
竹網。
魚籠。
最近は少しずつ試作も増えている。
細く。
長く。
割れ過ぎないように調整。
以前より、
コウもかなり慣れてきていた。
ある程度量が貯まる。
その頃には、
空もかなり夕方寄りになっていた。
リリアはその横で、
編み込みを続けている。
細竹。
紐。
固定。
まだ少し歪む。
だが。
以前より形にはなっていた。
コウは火側を見る。
「……そろそろ飯作るか」
リリアが顔を上げる。
「あ、私やりますか?」
「いや、
そのまま続けててくれ」
コウは竹束を見る。
「今、
そっちやった方が良さそうだ」
リリアは少し頷く。
「分かりました」
その後。
コウは残していた普通干し肉0.5を取る。
子犬用。
竹皿へ置く。
最近は匂いだけでかなり反応する。
子犬はすぐ近付いてきた。
「キャン」
「食え」
かなり勢いよく食べ始める。
以前より、
かなり食欲も安定していた。
そのまま火の近くへ移動。
最近は暖かい場所も覚え始めている。
コウは壺を見る。
塩漬け魚。
A側から2匹取り出した。
今日は初めて鍋へ入れる。
水。
塩漬け魚。
火へ掛ける。
少しして。
湯気。
魚の匂い。
塩。
温かい香りがゆっくり広がり始めた。
リリアが顔を上げる。
「……結構匂いますね」
「ああ」
コウは鍋を見る。
思ったより、
ちゃんと魚の汁になっていた。
その横。
山椒干し肉2。
葉の上へ置く。
火の音。
鍋の湯気。
森の夜気へ、
魚の匂いがゆっくり混ざっていく。
リリアは竹を編みながら、
時々鍋を見る。
「なんか、
今までと違いますね」
「ああ」
コウも頷く。
焼くだけとは違う。
匂いも広がる。
温かさも残る。
鍋の中を見る。
塩。
魚。
少し白く濁った汁。
「……これ、
フェルドでも出せそうだな」
「え?」
リリアは意味が分からず首を傾げる。
コウは少し考える。
温かい。
その場で食える。
匂いも出る。
町で売れば、
案外人が止まるかもしれない。
そんな事をぼんやり考えていた。
さらに。
「……小麦入れたら、
腹膨れそうだな」
「小麦ですか?」
「ああ」
もし使えれば。
魚も減らせる。
肉も減らせる。
汁も使える。
かなり変わりそうだった。
ただ。
コウ自身、
ちゃんと作り方を知っている訳ではない。
「……ガルドに聞いてみるか」
「パン屋さんですか?」
「ああ。
多分あいつの方が詳しい」
リリアは少し笑う。
「また変なの始まりそうですね」
「まだ分からん」
コウは鍋を見る。
少しして。
塩漬け魚の匂いがさらに強くなる。
コウは鍋を火から下ろした。
「そろそろ食うか」
「はい」
リリアも竹を置く。
木椀。
鍋。
湯気。
初めての塩漬け魚鍋だった。
コウ。
塩漬け魚1。
山椒干し肉1。
リリア。
塩漬け魚1。
山椒干し肉1。
リリアが少し息を吹く。
それから、
ゆっくり汁を飲む。
「……結構塩強いですね」
「ああ」
コウも頷く。
かなり塩気が残る。
ただ。
不味くはない。
むしろ、
温かい汁としてかなり良かった。
山椒干し肉とも相性悪くない。
「……次から少し減らすか」
「減らすんですか?」
「ああ。
ちょっと強い」
今回の分はもう変えられない。
既に漬け終わっている。
だが。
次からはもう少し減らせそうだった。
コウはさらに鍋を見る。
「……一回水入れりゃ、
少し抜けるか?」
「塩ですか?」
「多分な」
まだ完全には分かっていない。
ただ。
そのままよりは、
変わる気がした。
さらに。
「その水も使えそうだな」
魚。
塩。
出汁。
かなり伸ばせそうだった。
火の横。
子犬が小さく丸くなっている。
時々耳だけ動く。
増えた干し設備。
竹網。
壺。
以前より、
かなり物が増えた森拠点。
コウは鍋の残りを見る。
それから、
ふと思い出したように口を開く。
「……明後日、
村行くからな」
リリアが顔を上げる。
「あ、はい」
「紐と塩、
見ときたい」
「小麦もですか?」
「ああ。
ちょっとだけな」
まだ試す段階だった。
だが。
頭の中では、
さっきの汁がまだ残っている。
魚。
塩。
温かい匂い。
そこへ小麦を入れたら、
どうなるのか。
コウ自身も、
まだよく分かっていなかった。
火の音だけが、
静かに響いていた。
PL(第38話終了時)
通常収支
項目増減
開始63ルク
支出0ルク
終了63ルク
⸻
食料変動
普通干し肉
* 子犬用消費 -1(0.5×2)
山椒干し肉
* 夕食消費 -2
塩漬け魚
* 夕食消費 -2
⸻
採取変動
山椒
* +10
薬草
* +10
⸻
木材変動
項目増減
長丸太-3(薪加工)
⸻
BL(第38話終了時)
武器
コウ携帯
* 鉄製ナイフ×1
リリア携帯
* 鉄製ナイフ×1
森拠点保管
* 剣×1
* 木槍×1
⸻
道具
コウ携帯
* 革手袋×1
* 革靴×1
* 水筒×1
* ルク袋×1
* 背負いカバン×1
* 肩掛けカバン×1
リリア携帯
* 革手袋×1
* 革靴×1
* 葉用カバン×1
* 採取袋×1
* 水筒×1
* 普通カバン×1
森拠点保管
* ナタ×1
* 斧×1
* ショベル×1
* ツルハシ×1
* ロープ×2
* 紐×10
⸻
馬用品・運搬
森拠点配置
* リアカー×1
* 一輪車×1
グレン工房預かり
* ルナ×1
リアカー常備
* 木箱(大)×1(馬用品保管)
* 木箱(小)×1
* 水袋(小)×2
* 水桶(大)×2
* ブラシ×1
* 蹄掃除具×1
* 飼葉枡×1
* ロープ×1
* 葉包み用葉
* 予備紐少数
* 荷積み用板
* 予備袋類
リアカー本体固定
* 縄×2
フリー縄
* 縄×3
⸻
吊るし構成
吊るせる君×4組
* 柱×8
* 細縄×4
⸻
魚関連
魚罠
* 稼働中×2
* 交換用×2
* 予備×1
簡易生簀
* 魚×2
⸻
食料
完成品
* 普通干し肉(葉包み)×5
* 山椒干し肉×4(包装済)
* 塩干し肉×1(包装済)
普通干し肉加工中
* 前日作×10
* 本日作×5
塩漬け魚A
* 4
塩漬け魚B
* 8
⸻
素材・薬品
森拠点保管
* 薬草×57
* 山椒×55
* 唐辛子×0
葉管理
* クルム葉 多数
⸻
粉類
山椒粉
* 24(山椒壺)
唐辛子粉
* 33(唐辛子壺)
粉塩
* 31(塩壺A)
⸻
塩保管
* 塩×20(中壺)
* 塩壺A×1
* 塩壺B×1
* 中壺×1
* 小壺×1(予備)
⸻
すり鉢
* 山椒用×1
* 唐辛子用×1
* 塩用×1
* 小型すり鉢×1(予備)
⸻
容器・収納
森拠点保管
* 木箱(大)×1
* 木箱(小)×1
⸻
木材保管
* 長丸太×3(乾燥中)
* 薪 多数
* 枝材 多数
* 細枝 多数
* 竹 多数
* 網用細竹 作成中
⸻
布・寝具
森拠点保管
* 厚手の布×2
* 干し草×2
* 簡易ベッド×2
* 棚×1
* 鉄板×1
* 中鍋×1
* 古い大鍋×1
* 小鍋×2
* 竹食器2人分
* 犬用竹皿×1
* 子犬用寝床×1
⸻
設置・稼働
* 動物罠×5(設置中)
* 簡易生簀×1(稼働中)
⸻
通貨
* 63ルク
⸻
同行・管理対象
* リリア×1
* ルナ×1(グレン工房預かり)
* 子犬×1(保護中)




