第34話「回り始める」
朝。
森拠点。
コウはゆっくり目を開ける。
少し身体が重い。
「……昨日動き過ぎたな」
フェルド往復。
販売。
積み直し。
帰還。
流石に疲れていた。
隣では、
リリアもゆっくり起き上がる。
「おはようございます」
「ああ」
外はまだ少し冷えていた。
コウは焚火跡を見る。
灰。
残り火。
火種。
軽く整える。
リリア側は水確認。
水袋。
水桶。
減り確認。
もうかなり自然に動いていた。
「池見に行くか」
「はい」
2人はそのまま池側へ向かう。
簡易生簀。
木組み。
縄。
その中を魚がゆっくり泳いでいた。
「……10匹いますね」
「ああ」
逃げ無し。
弱り無し。
かなり安定してきている。
コウも少し頷く。
「思ったより回るな」
そのまま川側へ向かう。
今日は魚罠設置だった。
昨日回収していた魚罠を持っていく。
川音。
朝霧。
少し冷たい風。
コウは魚罠を置いていく。
流れ。
深さ。
石位置。
少しずつ調整。
「ここ前より流れてますね」
「ああ。
少し上流側変わったな」
2個設置。
これで川側終了。
次は森側だった。
動物罠。
1つ目。
空。
2つ目。
「……いた」
ウサギ。
3つ目。
こちらも成功。
「今日は当たりですね」
「ああ」
コウは頷く。
かなり安定してきていた。
2匹回収。
そのまま拠点へ戻る。
戻る頃には、
空もかなり明るくなっていた。
まずは肉処理だった。
血抜き。
皮剥ぎ。
切り分け。
ここはもうかなり慣れている。
リリアも普通に補助していた。
「今回はどうします?」
「普通で行く」
「普通?」
「何も付けない」
山椒無し。
唐辛子無し。
塩無し。
完全な普通干し肉。
コウは肉を細く切りながら言う。
「柔らかいなら、
これでもいけるかもしれん」
昨日売れたのは、
加工途中側だった。
なら。
最初から味を固定しない方が、
後掛けしやすい。
切り終える。
そのまま、
吊るせる君へ吊っていく。
縄。
柱。
朝風で、
肉が少し揺れた。
煙位置確認。
乾燥位置確認。
これももう、
かなり慣れてきていた。
その横では、
昨日残った山椒干し肉を包んでいく。
「こっちは売切予定ですね」
「ああ」
一旦通常側からは外す。
ただ。
また欲しいって言われたら、
作るかもしれない。
コウは少し周囲を見る。
吊るされた普通干し肉。
包まれる山椒干し肉。
少し前とは、
かなり景色が変わっていた。
作業が一段落する。
リリアが軽く息を吐く。
「だいぶ回るようになってきましたね」
「ああ」
コウも頷く。
「今後、
水側は任せるかもな」
「水側?」
「池。
魚罠。
生簀側」
リリアは少し驚いた後、
頷く。
「分かりました」
「俺は森側見る」
動物罠。
肉側。
そっち担当。
少しずつ、
役割も分かれ始めていた。
コウはその後、
残っていた紐を取り出す。
「魚罠増やすか」
「またですか?」
「回したい」
今は2個しかない。
乾燥。
交換。
補修。
考えると足りなかった。
コウは手を動かす。
枝。
紐。
編み込み。
少しずつ形になる。
新しい魚罠3個。
これで合計5個。
「かなり増えましたね」
「ああ」
コウは頷く。
「2個設置。
2個交換。
1個予備」
これでかなり回しやすくなる。
リリアはその間、
採取準備を始めていた。
「今日はいつものですか?」
「ああ。
葉っぱ。
薬草。
山椒」
ナタを持つ。
2人で森側へ向かう。
山椒位置。
薬草位置。
少しずつ共有。
「今後、
1人でも行けるようにな」
「はい」
逆にリリア側も、
葉っぱ位置を教えていく。
「これ、
包みやすいです」
「こっちは?」
「すぐ破れます」
コウも頷く。
少しずつ、
互いの知識が増えていく。
葉っぱ大量回収。
薬草10。
山椒10。
戻る頃には、
もう昼前だった。
戻った後。
リリアは葉っぱ洗浄。
薬草干し。
葉干し。
コウは粉加工。
山椒。
唐辛子。
塩。
すり鉢で砕いていく。
ゴリ、ゴリ、と音が響く。
山椒5。
唐辛子5。
そこまでは予定通りだった。
だが。
コウは途中で止まる。
「……足りねぇな」
リリアが振り向く。
「足りませんか?」
「ああ」
魚側。
かなり塩を使う。
コウは少し考えた後、
追加塩を取り出した。
「塩10追加する」
「そんなにですか?」
「ああ。
魚かなり食う」
追加で砕く。
粉塩。
どんどん増える。
だが。
それでもかなり使う予定だった。
コウは少し息を吐く。
「塩、
一気に減ったな……」
かなり節約した。
それでも減る。
リリアも古い大鍋を見る。
「魚、
塩使いますね」
「ああ」
前までは、
ただの調味料だった。
だが今は違う。
保存。
販売。
加工。
全部塩が絡んでいる。
その後。
コウは生簀側を見る。
「……魚やるか」
2人で池側へ向かう。
簡易生簀。
中を魚が泳いでいた。
今回は全部使う予定だった。
「全部回収するんですか?」
「ああ。
試す」
今回は3種類。
干し魚。
塩干し魚。
漬け魚。
分けていく。
2匹。
2匹。
残り6匹。
古い大鍋を置く。
まず粉塩。
その上へ魚。
また粉塩。
また魚。
かなりしっかり使う。
リリアも少し驚いた顔になる。
「これ、
かなり持ちそうですね」
「持たんと困る」
漬け魚は、
長期保存側だった。
コウは少し考える。
「……魚処理、
今後は朝回した方がいいな」
「朝ですか?」
「ああ。
昼まで食う」
今回は試験だった。
だが。
今後は朝に回した方が、
かなり良さそうだった。
その後。
夕方前。
コウは新しい魚罠2個を持つ。
「交換行くか」
「はい」
2人で再び川側へ向かった。
川音。
少し傾き始めた日差し。
朝設置した魚罠を見る。
「……入ってますね」
「ああ」
2匹。
小さめだが、
ちゃんと入っていた。
コウは魚ごと回収する。
「これ、
そのまま食べないんですか?」
「生簀戻す」
「増やすんですね」
「ああ」
魚はそのまま持ち帰り。
代わりに。
朝使っていた古い魚罠2個を回収する。
泥。
葉。
少し傷んでいる部分もあった。
そこへ、
新しい魚罠2個を設置。
これで交換運用開始だった。
「かなり回しやすくなりましたね」
「ああ」
設置。
回収。
乾燥。
補修。
順番に回せる。
かなり楽になる。
持ち帰った魚は、
そのまま生簀へ戻した。
魚が水へ消えていく。
コウは少し池を見る。
「……思ったより回るな」
「はい」
最初はただの思いつきだった。
だが今は違う。
魚罠。
生簀。
漬け魚。
干し魚。
全部少しずつ繋がり始めていた。
そのまま、
2人は拠点へ戻る。
空はもう、
かなり赤くなり始めていた。
リリアは生簀を見る。
「魚、
今日は食べないんですね」
「ああ」
コウは頷く。
「今日は干し肉の試食やる」
普通干し肉。
後掛け。
柔らかさ。
まずはそっちを確認したかった。
魚はまだ加工途中だった。
干し魚。
塩干し魚。
漬け魚。
どれも、
まだ時間が必要。
「魚の試食は明日以降だな」
「はい」
リリアも頷く。
2人はそのまま焚火側へ戻る。
火を整える。
鉄板を置く。
今日の普通干し肉を、
軽く炙り始めた。
ジュ、と音が鳴る。
肉の脂が少し落ちる。
煙。
香り。
昼より、
かなりいい匂いになっていた。
コウは肉を裏返す。
「完全に乾く前の方が、
香り強いな」
「柔らかいですしね」
リリアも頷く。
コウは3枚並べる。
「今日は後掛け試すか」
山椒粉。
唐辛子粉。
粉塩。
それぞれ少しずつ振っていく。
リリアはその横で、
昨日の山椒干し肉を取り出した。
「私は比べてみます」
「山椒同士か?」
「はい」
昨日の山椒干し肉。
今日の普通干し肉+山椒粉。
どれくらい違うか。
リリアはまず、
普通干し肉側を食べる。
少し噛む。
山椒の香りが広がる。
「……柔らかいですね」
「ああ」
昨日売れた理由も、
多分それだった。
この世界の干し肉は、
もっと硬い。
削るように食う。
だがこれは違う。
普通に噛める。
食べやすい。
リリアはそのまま、
昨日の山椒干し肉も食べる。
少し止まる。
「……あんまり変わらないですね」
「やっぱりか」
コウも普通干し肉側を食べる。
山椒。
唐辛子。
粉塩。
順番に確認。
どれもかなり変わる。
しかも。
「後から掛けた方が、
香り強いな」
「はい」
リリアも頷く。
最初から混ぜ込む必要が、
かなり薄くなっていた。
コウは少し考える。
「……なら、
普通干し肉だけでいいかもな」
そこへ後掛け。
山椒。
唐辛子。
粉塩。
食う時に変える。
その方が管理も楽だった。
リリアも少し笑う。
「種類増やし過ぎると、
大変ですしね」
「ああ」
干し肉。
魚。
粉。
葉っぱ。
もう増え始めている。
コウは粉塩側を少し食べる。
塩気。
煙。
肉。
かなり相性が良かった。
「……普通の方、
思ったより強いな」
火が揺れる。
吊るされた普通干し肉も、
夜風で小さく揺れていた。
食事が終わる頃には、
火も少し落ち着いていた。
コウは立ち上がる。
「薪割るか」
「はい。
私は葉っぱ折りやってます」
リリアは横へ積んでいた乾燥葉を持ってくる。
昼に干していた分だった。
コウは斧を持つ。
薪。
切り株。
夜の軽作業。
カン、と音が響く。
リリア側は、
葉を折り始めていた。
肉用。
魚用。
少し形が違う。
肉側は細長い。
魚側は少し広い。
差し込みやすいように、
軽く折って形を作る。
コウは薪を割りながら見る。
「それ、
便利そうだな」
「包むの楽になります」
リリアは葉を折る。
「前は毎回包み直してましたし」
「ああ」
今は半分形が出来ている。
差し込むだけ。
かなり楽だった。
コウはまた薪を割る。
カン。
乾いた音。
その横では、
吊るされた普通干し肉が揺れている。
今日仕込んだ分。
まだ柔らかい。
だが。
多分これでいい。
コウは少し考える。
「……硬くする必要、
あんま無いのかもな」
保存だけ考えるなら、
もっと乾かす。
だが。
売れたのは柔らかい方。
食いやすい方。
香りが強い方。
リリアも頷く。
「私はこっちの方が好きです」
「ああ」
しかも。
後掛けで味を変えられる。
山椒。
唐辛子。
粉塩。
食う時に決めればいい。
コウは少し笑う。
「なんか、
普通の干し肉が一番便利だな」
「はい」
山椒干し肉。
塩干し肉。
色々作った。
だが今、
一番強いのは、
何も付いていない普通干し肉だった。
風が吹く。
葉っぱが揺れる。
薪の匂い。
煙の匂い。
山椒の残り香。
森拠点は、
少しずつ変わり始めていた。
コウは割った薪を見る。
「……木も減ってきたな」
使う量が増えている。
燻製。
焚火。
乾燥。
前よりかなり木を食う。
コウは斧を見る。
「せっかく斧買ったし、
明日切ってくるか」
リリアも頷く。
「かなり使ってますしね」
「ああ」
コウは少し考える。
「明日、
朝の日課終わったら、
一緒に木切り行くか」
「はい」
「あと池側も、
もう少し何とかしたい」
「生簀ですか?」
「ああ」
コウは川側を見る。
「魚が自然と集まる感じにしたい」
今はまだ、
捕った魚を入れているだけ。
だが。
流れ。
石。
網。
置き方を変えれば、
もっと回る気がしていた。
リリアも小さく頷く。
「やる事、
また増えましたね」
「だな」
コウは少し苦笑する。
「……あと、
また漁もやるか」
リリアもすぐ頷く。
「魚、
かなり減りましたし」
「ああ」
前みたいに、
川へ入って追う形になるかもしれない。
まだちゃんとは決まっていない。
だが。
魚側も、
少しずつ広がり始めていた。
リリアは小さく笑う。
「やる事、
増えてきましたね」
「だな」
コウは少し苦笑する。
「お前、
馴染むの早いな」
リリアは少し目を伏せる。
「……元々、
森側の仕事はしてましたから」
「あー……
そういやそうか」
葉っぱ。
薬草。
水。
森。
リリアは最初から、
かなり自然に動いていた。
リリアは少し困ったように笑う。
「コウさんのやる事が、
増え続けてるだけな気もします」
「否定出来んな」
コウは苦笑した。
薪が割れる。
葉っぱが折られる。
吊るされた普通干し肉が、
夜風で小さく揺れていた。
今日はもう休みだった。
PL(収支表)
通常収支
項目増減
開始77ルク
終了77ルク
食料・素材変動
項目増減
ウサギ+2匹回収
普通干し肉(加工中)+10 → -3(夕食試食)
山椒干し肉-1(夕食比較試食)
山椒-5(粉加工)
唐辛子-5(粉加工)
塩-17(粉加工)
山椒粉+10
唐辛子粉+15
粉塩+34 → -27
薬草+10採取
山椒+10採取
魚生簀10→加工開始
干し魚(加工中)+2
塩干し魚(加工中)+2
漬け魚(加工中)+6
魚+2(魚罠成功→生簀戻し)
紐-3(魚罠作成)
運用・状況
内容状況
普通干し肉運用開始
後掛け販売有効確認
山椒干し肉通常生産停止予定
魚加工試験開始
漬け魚保存開始
魚罠増設+3
魚罠交換運用開始
水側担当リリア側へ分担開始
森側担当コウ側へ分担開始
葉っぱ折り運用開始
翌日予定木切り・池改良・漁検討
BL(資産表)
武器
主人公携帯
* 鉄ナイフ×1
リリア携帯(外出時)
* 鉄ナイフ×1
森拠点保管
* 剣×1
* 木槍×1
道具
主人公携帯
* 革手袋×1
* 背負いカバン×1
* 肩掛けカバン×1
* 水筒×1
* ルク袋×1
リリア用(必要時持ち出し)
* 葉用カバン×1
* 採取袋×1
* 水筒×1
* 革靴×1
道具(森拠点保管)
* ナタ×1
* 斧×1
* ショベル×1
* ツルハシ×1
* 一輪車×1
* ロープ×2
馬用品・運搬
森拠点配置
* リアカー×1
グレン工房預かり
* ルナ×1
リアカー常備
* 木箱(大)×1
* 木箱(小)×1
* 水袋(小)×2
* 水桶(大)×2
* ブラシ×1
* 蹄掃除具×1
* 飼葉枡×1
* ロープ×1
* 縄×7
吊るし構成
* 吊るせる君×2組
* 柱×4
* 縄×2
魚関連
魚罠
* 設置中×2
* 交換用×2
* 予備×1
簡易生簀
* 魚×2
食料
完成品
* 山椒干し肉×8(包装済)
* 塩干し肉×1(包装済)
* 固形パン×1
加工中
* 普通干し肉(加工中)×7
* 干し魚(加工中)×2
* 塩干し魚(加工中)×2
* 漬け魚(加工中)×6
素材・薬品
森拠点保管
* 薬草×47
* 山椒×15
* 唐辛子×0
* クルム葉 多数
粉類
* 山椒粉×25
* 唐辛子粉×34
* 粉塩×7
塩保管
* 塩×50
* 塩壺A×1
* 塩壺B×1
* 中壺×1(予備)
* 塩袋(保管中)
小壺類
* 山椒壺×1
* 唐辛子壺×1
* 小壺×1(予備)
すり鉢
* 山椒用×1
* 唐辛子用×1
* 小型すり鉢×2(予備)
容器・収納
森拠点保管
* 木箱(大)×1
* 木箱(小)×1
布・寝具
森拠点保管
* 普通の布×1
* 厚手の布×2
* 干し草×2
* 簡易ベッド×2
* 棚×1
* 鉄板×1
* 中鍋×1
* 古い大鍋×1
* 小鍋×2
* 竹食器2人分
設置・稼働
* 動物罠×3(設置中)
* 簡易生簀×1(稼働中)
通貨
* 77ルク
同行・管理対象
* リリア×1
* ルナ×1(グレン工房預かり)




