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コウの物語  作者: パルス


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24/30

第25話「塩干し肉」



 朝。


 コウが目を開ける。


 既にリリアは起きていた。


「おはようございます」


「ああ、おはよう」


 窓の外はまだ少し薄暗い。


 フェルドの朝は早い。


 コウは体を起こす。


 荷物。


 縄。


 壺。


 鍋。


 確認する物は多い。


 その横で、リリアも静かに準備を始めていた。



 宿を出る。


 一階へ降りると、ドランが既に起きていた。


「おう、出るのか」


「ああ」


「世話になった」


 ドランは軽く笑う。


「まぁ無茶すんなよ」


「森戻ったら怪我増えるからな」


 コウは苦笑する。


「気を付ける」


 リリアも小さく頭を下げた。


「ありがとうございました」


 ドランは少し驚いたように笑う。


「嬢ちゃん、だいぶ元気になったな」


 その後、二人は宿を出た。


 朝の空気は少し冷たい。


 リアカーを引く。


 馬が鼻を鳴らす。


 ゆっくりとフェルドを後にした。



 街道を進む。


 朝日が少しずつ昇っていく。


 リアカーの揺れは相変わらず大きい。


 だが以前よりは慣れてきていた。


 途中。


 コウは休憩を取る。


 柔らかパンを取り出す。


「食うか」


 リリアは少し驚いた顔をした。


「いいんですか?」


「ああ」


 コウは1つ渡す。


 自分ももう1つ食べ始めた。


 柔らかい。


 普通のパンより食べやすい。


 リリアも静かに食べ始める。


「……美味しいです」


「高いけどな」


 コウは苦笑する。


 だが病み上がりにはちょうど良かった。



 昼過ぎ。


 リースへ戻る。


「おい!」


「戻ってんじゃねぇか!」


 声が飛んできた。


 ロイド。


 エミル。


 そしてガルドだった。


 相変わらず三人でいる。


 ロイドはまずコウを見る。


「ちゃんと生きてたな」


「ああ」


 エミルはすぐリアカーと馬へ視線を向けていた。


「またなんか増えてんなぁ……」


 ガルドは呆れた顔をする。


「お前はまずそこ見るのやめろ」


 エミルは聞いていない。


 そのままリリアへ視線を向けた。


「お、元気になってる」


 ロイドも頷く。


「顔色だいぶ戻ったな」


 リリアは少し緊張しながら頭を下げる。


「……ありがとうございます」


 コウは小さく頷く。


「リリアだ」


 ロイドは軽く手を上げる。


「ロイドだ」


「まぁ気楽にしろ」


 エミルも笑う。


「エミル」


「なんか困ったらコイツら使え」


「おい」


 ガルドが即座に突っ込む。


 少し空気が和らぐ。



 その時。


 ロイドが思い出したように口を開いた。


「あ、そうだ」


「ウサギまた溜まってるぞ」


「何匹だ?」


「6」


 コウは少し考える。


 量はかなり多い。


 だが今の状態なら処理出来る。


「引き取る」


 ロイドは頷いた。


「じゃあいつも通り、干し肉6個でいいな」


「ああ」


 コウも頷く。


 ロイドは軽く笑った。


「じゃあ後で持ってくる」


 その横で、グレンが思い出したように口を開く。


「ああ、そういや一輪車出来てるぞ」


「お、マジか」


「ただ今回は置いてく」


 コウは素直にそう言った。


「まずリアカーを森に戻したい」


「さすがに一緒に持ってくのはきつい」


 グレンも頷く。


「まぁそうだろうな」



 コウはリアカーの横へ回る。


「そういやこれ」


 飼葉袋を下ろす。


 袋は二つ。


 片方は口が開いていた。


「向こうで買ったんだけど、置いといても傷む」


「引き取ってくれ」


 グレンは袋を見る。


「中身どれくらい残ってる」


 コウは片方を軽く叩く。


「こっちは丸々5食分残ってる」


 そして、もう片方を見る。


「こっちは1食分使った」


「だから4食分だな」


 弟子が袋を軽く持ち上げた。


「まだ結構ありますね」


 コウは頷く。


「袋は返してもらおうと思ってたけど……」


 するとグレンが鼻を鳴らす。


「袋くらいうちに余っとる」


「今はそのまま持ってけ」


「あとで必要なら渡す」


 コウは少し考え、頷いた。


「じゃあ頼む」


 グレンは軽く頷く。


「10ルクで引き取る」


「おう」



 その後、コウは馬の首筋を軽く撫でる。


「しばらく預かってくれ」


「実演でも使っていい」


「荷引きも試していい」


 弟子が少し驚く。


「え、使っていいんですか?」


「ああ」


「どうせ慣らしも必要だしな」


 その言葉に、エミルが即座に反応した。


「じゃあ運送も出来るんじゃね?」


「荷運び頼まれてる奴、試しに引かせてみるか?」


 グレンが嫌そうな顔をする。


「お前また余計な事考え始めたな……」


 エミルは止まらない。


「いやでも絶対便利だろ」


「リアカー慣れした馬いるんだぞ?」


 ロイドは呆れ半分で笑う。


「まだ始まってもねぇよ」


 ガルドも腕を組む。


「お前また変な事広げようとしてねぇか?」


 エミルはニヤニヤしていた。


「便利だからなぁ」


 コウは少し考えた後、肩を竦める。


「別に構わん」


「その代わりちゃんと世話しろ」


 エミルはニヤッと笑った。


「面白くなってきたなぁ」


 弟子は逆に不安そうな顔をしている。


「なんかどんどん話大きくなってません……?」



 ロイドは腕を組む。


「で、今日はどうすんだ?」


「一旦村で泊まる」


「明日森戻る」


 ロイドは頷いた。


「まぁその方がいい」


 コウは少し考えてから口を開く。


「……今日中にウサギ処理したいな」


「さすがに今から拠点戻るのはきつい」


 グレンが少し考える。


「じゃあうちの裏使うか?」


「裏なら別に構わん」


 コウは少し安心する。


「助かる」



 工房裏。


 そのまま作業を始める。


 解体。


 皮剥ぎ。


 血抜き。


 だが今回はリリアも普通に横へ入ってきた。


 内臓処理。


 肉分け。


 血拭き。


 手付きに迷いが無い。


 ロイドが少し驚いた顔をした。


「……慣れてんな」


「森でやってたので」


 エミルも感心したように見ていた。


「普通に戦力じゃねぇか」


 コウは苦笑する。


「俺もそう思い始めてる」



 肉を切り分けながら、コウは塩袋を見る。


「……全部山椒は無理か」


 ロイドが顔を上げる。


「足りねぇのか?」


「ああ」


「6匹分やると足りん」


 エミルが腕を組む。


「どうする?」


 コウは少し考えた後、塩袋を見る。


「……塩でやるか」


「塩?」


「ああ」


「山椒使わない分作る」


 エミルは面白そうな顔になる。


「新商品か?」


「まずは試作だな」


 コウは頷く。


「山椒20」


「塩10くらいでやる」


 その横で、リリアが静かに口を開く。


「……長く持つと思います」


「やっぱそうか」


 コウは頷いた。


 塩は高い。


 だが保存性能は上がる。


 町へ持って行くなら、むしろ価値は出るかもしれない。


 まずは試す。


 それが先だった。



 その後。


 コウは今まで保存していた干し肉を取り出す。


「今まではこうやって包んでた」


 葉で包まれた干し肉。


 リリアは少し近付いて見る。


「……なるほど」


 そして少し考えた後、口を開いた。


「それなら、別の葉の方がいいかもしれません」


「ん?」


「殺菌作用がある葉があります」


 コウは思わず手を止める。


「分かるのか?」


「はい」


 リリアは不思議そうに頷く。


「森なら普通にあります」


「ちゃんと水洗いすれば、そんなにすぐ痛む事もないです」


 コウは少し感心する。


 自分は、


 乾かす。


 吊るす。


 包む。


 くらいしか考えていなかった。


 だが、リリアは葉そのものの性質を知っている。


「……今度それ集めるか」


「はい」


 リリアは小さく頷いた。



 その横で。


 弟子は半分呆然としながら作業を見ていた。


 解体。


 肉分け。


 塩振り。


 吊るし。


 どんどん増えていく作業。


 エミルがそんな弟子の肩を叩く。


「ちゃんと覚えとけよ?」


「今度はお前にやってもらうからな」


 弟子の動きが止まる。


「はぁ!?」


 ロイドが吹き出した。


 弟子は本気で頭を抱える。


「俺、何しにここ来たんだろ……」


「木工ですよね!?」


 エミルは笑う。


「今更だろ」



 やがて。


 最後の肉まで吊るし終える。


 山椒。


 塩。


 ちゃんと分かるように位置も分けた。


 コウは軽く腰を伸ばす。


「……終わったな」


 ロイドも息を吐く。


「結構量あったな」


 エミルは吊るされた肉を見上げていた。


「塩の方、気になるな」


「まずは試作だ」


 コウはそう返す。


 売れるか。


 味はどうか。


 持ちはどうか。


 全部まだ分からない。


 だが。


 新しい事を始めた感覚はあった。



 ロイドが立ち上がる。


「じゃあ今日はこれで終わりだな」


「ああ」


「明日また来る」


 エミルも立ち上がる。


「俺も来る」


「塩の方食う」


「まだ出来てねぇよ」


 ロイドが笑う。


 弟子は疲れた顔のまま肩を落としていた。


「俺もう休みたいです……」


 夜風が工房裏を抜ける。


 吊るされた肉が静かに揺れていた。


 コウはそれを見上げる。


 塩干し肉。


 新しい保存方法。


 上手くいくかはまだ分からない。


 だが。


 少しだけ先へ進んだ気がしていた。



BL(第25話終了時点/リース1日目終了)


武器


主人公携帯


* 鉄ナイフ×1


リリア携帯(外出時)


* 鉄ナイフ×1


森拠点保管予定


* 木槍×1

* 剣×1

* 石ナイフ×2(処分予定)

* 石斧×1(処分予定)



衣類・装備


主人公携帯


* 革靴×1

* 革手袋×1

* 背負いカバン×1

* 肩掛けカバン×1

* 普通のカバン×1

* 水筒×1

* ルク袋×1


リリア携帯(外出時)


* 革靴×1

* 水筒×1



馬用品・運搬


グレン工房預かり


* リアカー×1

* 馬×1

* 一輪車×1


馬用品


* ロープ×1

* 縄×5

* 固定用×2

* 予備×3

* 水袋(小)×2(馬用)

* 水桶(大)×2

* ブラシ×1

* 蹄掃除具×1

* 飼葉枡×1


飼葉袋


* 飼葉袋A×1(中身5)

* 飼葉袋B×1(中身4)



森拠点保管予定


* ロープ×2

* 紐×3(罠用)



食料


完成済


* 山椒干し肉×5


加工中(グレン工房裏)


* 山椒干し肉×20

* 塩干し肉×10



素材・薬品


主人公携帯


* 解熱剤×2

* 栄養剤×2


リアカー積載


* 薬草×27

* 山椒×1

* 唐辛子×5

* 塩×24



容器・収納


主人公携帯


* 干し肉袋×5

* 薬草袋×1

* 山椒袋×1

* 塩袋×1



リアカー積載


木箱(大)×2


収納内容:


* ロープ

* 縄

* 布

* 馬用品


木箱(小)×2


用途:


* 売却用商品収納


小壺×5


使用中


* 塩壺A×1

* 塩壺B×1

* 山椒粉壺×1

* 唐辛子粉壺×1


予備


* 小壺×1


すり鉢×5


使用中


* 山椒用すり鉢×1

* 唐辛子用すり鉢×1

* 薬用すり鉢×1


予備


* すり鉢×2



布・寝具


リアカー積載


* 普通の布×1

* 厚手の布×2

* 干し草×2

* 簡易ベッド×1

* 中鍋×1



森拠点保管


* 簡易ベッド×1

* 棚×1

* 鉄板×1

* 古い大鍋×1(陶器製)

* 小鍋×2

* ショベル×1

* ナタ×1

* ツルハシ×1



通貨


* 50ルク



同行・管理対象


* リリア×1



現在状況


* リース村宿泊中

* 馬・リアカー・一輪車はグレン工房預かり

* グレン工房裏で干し肉乾燥中

* 翌日、森拠点へ戻る予定



PL(第25話終了時点)


項目増減

開始42ルク

飼葉袋売却+10

宿代(2人)-2

終了50ルク



食料・素材変動


項目増減

柔らかパン-2

干し肉-6(ウサギ6匹買取)

山椒-20

塩-10



加工


内容数

ウサギ6匹

山椒干し肉(加工中)+20

塩干し肉(加工中)+10


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