第25話「塩干し肉」
朝。
コウが目を開ける。
既にリリアは起きていた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
窓の外はまだ少し薄暗い。
フェルドの朝は早い。
コウは体を起こす。
荷物。
縄。
壺。
鍋。
確認する物は多い。
その横で、リリアも静かに準備を始めていた。
⸻
宿を出る。
一階へ降りると、ドランが既に起きていた。
「おう、出るのか」
「ああ」
「世話になった」
ドランは軽く笑う。
「まぁ無茶すんなよ」
「森戻ったら怪我増えるからな」
コウは苦笑する。
「気を付ける」
リリアも小さく頭を下げた。
「ありがとうございました」
ドランは少し驚いたように笑う。
「嬢ちゃん、だいぶ元気になったな」
その後、二人は宿を出た。
朝の空気は少し冷たい。
リアカーを引く。
馬が鼻を鳴らす。
ゆっくりとフェルドを後にした。
⸻
街道を進む。
朝日が少しずつ昇っていく。
リアカーの揺れは相変わらず大きい。
だが以前よりは慣れてきていた。
途中。
コウは休憩を取る。
柔らかパンを取り出す。
「食うか」
リリアは少し驚いた顔をした。
「いいんですか?」
「ああ」
コウは1つ渡す。
自分ももう1つ食べ始めた。
柔らかい。
普通のパンより食べやすい。
リリアも静かに食べ始める。
「……美味しいです」
「高いけどな」
コウは苦笑する。
だが病み上がりにはちょうど良かった。
⸻
昼過ぎ。
リースへ戻る。
「おい!」
「戻ってんじゃねぇか!」
声が飛んできた。
ロイド。
エミル。
そしてガルドだった。
相変わらず三人でいる。
ロイドはまずコウを見る。
「ちゃんと生きてたな」
「ああ」
エミルはすぐリアカーと馬へ視線を向けていた。
「またなんか増えてんなぁ……」
ガルドは呆れた顔をする。
「お前はまずそこ見るのやめろ」
エミルは聞いていない。
そのままリリアへ視線を向けた。
「お、元気になってる」
ロイドも頷く。
「顔色だいぶ戻ったな」
リリアは少し緊張しながら頭を下げる。
「……ありがとうございます」
コウは小さく頷く。
「リリアだ」
ロイドは軽く手を上げる。
「ロイドだ」
「まぁ気楽にしろ」
エミルも笑う。
「エミル」
「なんか困ったらコイツら使え」
「おい」
ガルドが即座に突っ込む。
少し空気が和らぐ。
⸻
その時。
ロイドが思い出したように口を開いた。
「あ、そうだ」
「ウサギまた溜まってるぞ」
「何匹だ?」
「6」
コウは少し考える。
量はかなり多い。
だが今の状態なら処理出来る。
「引き取る」
ロイドは頷いた。
「じゃあいつも通り、干し肉6個でいいな」
「ああ」
コウも頷く。
ロイドは軽く笑った。
「じゃあ後で持ってくる」
その横で、グレンが思い出したように口を開く。
「ああ、そういや一輪車出来てるぞ」
「お、マジか」
「ただ今回は置いてく」
コウは素直にそう言った。
「まずリアカーを森に戻したい」
「さすがに一緒に持ってくのはきつい」
グレンも頷く。
「まぁそうだろうな」
⸻
コウはリアカーの横へ回る。
「そういやこれ」
飼葉袋を下ろす。
袋は二つ。
片方は口が開いていた。
「向こうで買ったんだけど、置いといても傷む」
「引き取ってくれ」
グレンは袋を見る。
「中身どれくらい残ってる」
コウは片方を軽く叩く。
「こっちは丸々5食分残ってる」
そして、もう片方を見る。
「こっちは1食分使った」
「だから4食分だな」
弟子が袋を軽く持ち上げた。
「まだ結構ありますね」
コウは頷く。
「袋は返してもらおうと思ってたけど……」
するとグレンが鼻を鳴らす。
「袋くらいうちに余っとる」
「今はそのまま持ってけ」
「あとで必要なら渡す」
コウは少し考え、頷いた。
「じゃあ頼む」
グレンは軽く頷く。
「10ルクで引き取る」
「おう」
⸻
その後、コウは馬の首筋を軽く撫でる。
「しばらく預かってくれ」
「実演でも使っていい」
「荷引きも試していい」
弟子が少し驚く。
「え、使っていいんですか?」
「ああ」
「どうせ慣らしも必要だしな」
その言葉に、エミルが即座に反応した。
「じゃあ運送も出来るんじゃね?」
「荷運び頼まれてる奴、試しに引かせてみるか?」
グレンが嫌そうな顔をする。
「お前また余計な事考え始めたな……」
エミルは止まらない。
「いやでも絶対便利だろ」
「リアカー慣れした馬いるんだぞ?」
ロイドは呆れ半分で笑う。
「まだ始まってもねぇよ」
ガルドも腕を組む。
「お前また変な事広げようとしてねぇか?」
エミルはニヤニヤしていた。
「便利だからなぁ」
コウは少し考えた後、肩を竦める。
「別に構わん」
「その代わりちゃんと世話しろ」
エミルはニヤッと笑った。
「面白くなってきたなぁ」
弟子は逆に不安そうな顔をしている。
「なんかどんどん話大きくなってません……?」
⸻
ロイドは腕を組む。
「で、今日はどうすんだ?」
「一旦村で泊まる」
「明日森戻る」
ロイドは頷いた。
「まぁその方がいい」
コウは少し考えてから口を開く。
「……今日中にウサギ処理したいな」
「さすがに今から拠点戻るのはきつい」
グレンが少し考える。
「じゃあうちの裏使うか?」
「裏なら別に構わん」
コウは少し安心する。
「助かる」
⸻
工房裏。
そのまま作業を始める。
解体。
皮剥ぎ。
血抜き。
だが今回はリリアも普通に横へ入ってきた。
内臓処理。
肉分け。
血拭き。
手付きに迷いが無い。
ロイドが少し驚いた顔をした。
「……慣れてんな」
「森でやってたので」
エミルも感心したように見ていた。
「普通に戦力じゃねぇか」
コウは苦笑する。
「俺もそう思い始めてる」
⸻
肉を切り分けながら、コウは塩袋を見る。
「……全部山椒は無理か」
ロイドが顔を上げる。
「足りねぇのか?」
「ああ」
「6匹分やると足りん」
エミルが腕を組む。
「どうする?」
コウは少し考えた後、塩袋を見る。
「……塩でやるか」
「塩?」
「ああ」
「山椒使わない分作る」
エミルは面白そうな顔になる。
「新商品か?」
「まずは試作だな」
コウは頷く。
「山椒20」
「塩10くらいでやる」
その横で、リリアが静かに口を開く。
「……長く持つと思います」
「やっぱそうか」
コウは頷いた。
塩は高い。
だが保存性能は上がる。
町へ持って行くなら、むしろ価値は出るかもしれない。
まずは試す。
それが先だった。
⸻
その後。
コウは今まで保存していた干し肉を取り出す。
「今まではこうやって包んでた」
葉で包まれた干し肉。
リリアは少し近付いて見る。
「……なるほど」
そして少し考えた後、口を開いた。
「それなら、別の葉の方がいいかもしれません」
「ん?」
「殺菌作用がある葉があります」
コウは思わず手を止める。
「分かるのか?」
「はい」
リリアは不思議そうに頷く。
「森なら普通にあります」
「ちゃんと水洗いすれば、そんなにすぐ痛む事もないです」
コウは少し感心する。
自分は、
乾かす。
吊るす。
包む。
くらいしか考えていなかった。
だが、リリアは葉そのものの性質を知っている。
「……今度それ集めるか」
「はい」
リリアは小さく頷いた。
⸻
その横で。
弟子は半分呆然としながら作業を見ていた。
解体。
肉分け。
塩振り。
吊るし。
どんどん増えていく作業。
エミルがそんな弟子の肩を叩く。
「ちゃんと覚えとけよ?」
「今度はお前にやってもらうからな」
弟子の動きが止まる。
「はぁ!?」
ロイドが吹き出した。
弟子は本気で頭を抱える。
「俺、何しにここ来たんだろ……」
「木工ですよね!?」
エミルは笑う。
「今更だろ」
⸻
やがて。
最後の肉まで吊るし終える。
山椒。
塩。
ちゃんと分かるように位置も分けた。
コウは軽く腰を伸ばす。
「……終わったな」
ロイドも息を吐く。
「結構量あったな」
エミルは吊るされた肉を見上げていた。
「塩の方、気になるな」
「まずは試作だ」
コウはそう返す。
売れるか。
味はどうか。
持ちはどうか。
全部まだ分からない。
だが。
新しい事を始めた感覚はあった。
⸻
ロイドが立ち上がる。
「じゃあ今日はこれで終わりだな」
「ああ」
「明日また来る」
エミルも立ち上がる。
「俺も来る」
「塩の方食う」
「まだ出来てねぇよ」
ロイドが笑う。
弟子は疲れた顔のまま肩を落としていた。
「俺もう休みたいです……」
夜風が工房裏を抜ける。
吊るされた肉が静かに揺れていた。
コウはそれを見上げる。
塩干し肉。
新しい保存方法。
上手くいくかはまだ分からない。
だが。
少しだけ先へ進んだ気がしていた。
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BL(第25話終了時点/リース1日目終了)
武器
主人公携帯
* 鉄ナイフ×1
リリア携帯(外出時)
* 鉄ナイフ×1
森拠点保管予定
* 木槍×1
* 剣×1
* 石ナイフ×2(処分予定)
* 石斧×1(処分予定)
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衣類・装備
主人公携帯
* 革靴×1
* 革手袋×1
* 背負いカバン×1
* 肩掛けカバン×1
* 普通のカバン×1
* 水筒×1
* ルク袋×1
リリア携帯(外出時)
* 革靴×1
* 水筒×1
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馬用品・運搬
グレン工房預かり
* リアカー×1
* 馬×1
* 一輪車×1
馬用品
* ロープ×1
* 縄×5
* 固定用×2
* 予備×3
* 水袋(小)×2(馬用)
* 水桶(大)×2
* ブラシ×1
* 蹄掃除具×1
* 飼葉枡×1
飼葉袋
* 飼葉袋A×1(中身5)
* 飼葉袋B×1(中身4)
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森拠点保管予定
* ロープ×2
* 紐×3(罠用)
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食料
完成済
* 山椒干し肉×5
加工中(グレン工房裏)
* 山椒干し肉×20
* 塩干し肉×10
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素材・薬品
主人公携帯
* 解熱剤×2
* 栄養剤×2
リアカー積載
* 薬草×27
* 山椒×1
* 唐辛子×5
* 塩×24
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容器・収納
主人公携帯
* 干し肉袋×5
* 薬草袋×1
* 山椒袋×1
* 塩袋×1
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リアカー積載
木箱(大)×2
収納内容:
* ロープ
* 縄
* 布
* 馬用品
木箱(小)×2
用途:
* 売却用商品収納
小壺×5
使用中
* 塩壺A×1
* 塩壺B×1
* 山椒粉壺×1
* 唐辛子粉壺×1
予備
* 小壺×1
すり鉢×5
使用中
* 山椒用すり鉢×1
* 唐辛子用すり鉢×1
* 薬用すり鉢×1
予備
* すり鉢×2
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布・寝具
リアカー積載
* 普通の布×1
* 厚手の布×2
* 干し草×2
* 簡易ベッド×1
* 中鍋×1
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森拠点保管
* 簡易ベッド×1
* 棚×1
* 鉄板×1
* 古い大鍋×1(陶器製)
* 小鍋×2
* ショベル×1
* ナタ×1
* ツルハシ×1
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通貨
* 50ルク
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同行・管理対象
* リリア×1
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現在状況
* リース村宿泊中
* 馬・リアカー・一輪車はグレン工房預かり
* グレン工房裏で干し肉乾燥中
* 翌日、森拠点へ戻る予定
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PL(第25話終了時点)
項目増減
開始42ルク
飼葉袋売却+10
宿代(2人)-2
終了50ルク
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食料・素材変動
項目増減
柔らかパン-2
干し肉-6(ウサギ6匹買取)
山椒-20
塩-10
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加工
内容数
ウサギ6匹
山椒干し肉(加工中)+20
塩干し肉(加工中)+10




