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コウの物語  作者: パルス


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19/30

第19話「フェルドの宿」



 高い壁の前には、多くの人が集まっていた。


 荷車。


 馬車。


 徒歩の旅人。


 武装した男達。


 門前は絶えず人が動いている。


 コウはリアカーを引きながら、その列へ並んだ。


 馬が小さく鼻を鳴らす。


 後ろでは、奴隷少女が静かに横になっていた。



 少しずつ列が進む。


 近付くにつれ、門の大きさがよく分かった。


 村とは全然違う。


 石壁。


 見張り台。


 武装した門番。


 コウは自然と周囲を見回していた。



「次」


 門番が声を掛ける。


 コウはリアカーを引いたまま前へ出た。


 門番がコウを見る。


 次に馬。


 リアカー。


 最後に奴隷少女へ視線を向けた。


「初めてか?」


「ああ」


「入町税は1人1ルクだ」


 コウは少し眉を動かした。


「……2人分か?」


「そっちも人数扱いだ」


 門番は奴隷少女を軽く顎で示す。



 コウは少しだけ考え、普通のカバンからルク袋を取り出した。


 2ルクを払う。


「通っていいぞ」



 だが、コウはすぐには動かなかった。


「……馬と荷車置ける宿はあるか?」


 門番は少しだけコウを見る。


「初フェルドか」


「ああ」


「ならドランの宿だな」


 門番は通りの奥を指差した。


「厩舎付きだ」


「荷車置き場もある」


「行商人がよく使ってる」


「分かった」


 コウは軽く頷き、そのまま門をくぐった。



 町の中へ入る。


 空気が変わった。


 人の声。


 鍛冶の音。


 焼ける肉の匂い。


 石畳を車輪が転がる音。


 全てが混ざっている。


 コウはゆっくり周囲を見た。


 建物の数が違う。


 人の多さも違う。


 道幅も広い。


 それでも、人が多すぎて狭く感じた。



 馬車が横を通る。


 荷物を抱えた男達が急ぎ足で歩く。


 露店からは湯気が立ち上っていた。


 奴隷少女も布の隙間から町を見ている。


 だが、その表情は少し硬い。


 コウは時々後ろを確認しながら進んだ。



 しばらく進む。


 やがて、大きめの木造建物が見えてきた。


 横には厩舎。


 その周囲には荷車も並んでいる。


 馬の匂いも強い。


「……ここか」


 入口上には、


『ドランの宿』


 と書かれていた。



 コウはリアカーを止める。


 すると、中から大柄な男が出てきた。


 腕が太い。


 髭も濃い。


 年齢は四十前後だろうか。


 男はコウを見る。


 次に馬。


 リアカー。


 最後に奴隷少女へ視線を向けた。


「泊まりか?」


「ああ」



「馬と荷車込みなら空いてるぞ」


「2人部屋4」


「馬と荷車で2」


「合わせて6だ」


 ドランはそこまで言うと、奴隷少女を見た。


「飯はどうする?」



 コウは後ろを見る。


 奴隷少女は布を握ったまま、小さくこちらを見ていた。


「……食えるか?」


 奴隷少女は少し迷う。


 だが、小さく首を横へ振った。


「……まだ、あまり……」


 声もかなり弱い。



 コウは少し考える。


 それから木箱へ視線を向けた。


「……残りのパンでいいか?」


 奴隷少女は少し驚いたようにコウを見る。


 だが、すぐ小さく頷いた。


「……はい」


「まだ、たくさんは食べられないので……」



 コウは頷く。


「じゃあ俺の分だけ頼む」


「1ルクだ」


 ドランは短く答えた。



 その後、コウは奴隷少女を見る。


「……先に部屋いいか」


 ドランは奴隷少女の顔色を見る。


 少しだけ眉を動かした。


「病人か」


「まあそんなもんだ」


「……ついて来い」



 宿の中へ入る。


 木の床が軋む。


 中は思ったより広かった。


 酒の匂い。


 煮込みの匂い。


 話し声。


 木皿の当たる音。


 だが、コウはそちらを見る余裕はない。


 ドランの後を追った。



 二階へ上がる。


 廊下を進み、奥の部屋へ入った。


「ここ使え」


 中にはベッドが二つ。


 小さな机。


 水差し。


 窓。


 村では見ない部屋だった。



 コウはリアカーから奴隷少女を支える。


「立てるか」


「……はい」


 だが、足元はかなり危うい。


 コウは肩を支え、そのままゆっくり部屋へ入れた。



 ベッドへ座らせる。


 奴隷少女は少しだけ周囲を見た。


 それから、ゆっくり息を吐く。


 緊張が抜けたようにも見えた。



 コウは木箱から柔らかパンを取り出す。


 布を解き、奴隷少女へ渡した。


「食える分だけ食え」


 奴隷少女は両手で受け取る。


「……ありがとうございます」



 コウは水差しから水も入れる。


 奴隷少女は少しずつパンを食べ始めた。


 一口食べるたび、小さく休む。


 かなり疲れているのが分かる。



 コウはその様子を見ながら、部屋の荷物を整理し始めた。


 普通のカバン。


 ルク袋。


 薬草。


 ナイフ位置。


 紐。


 明日すぐ動けるよう、少しずつまとめ直していく。



「無理して食うな」


 コウが言う。


 奴隷少女は小さく頷いた。


「……はい」



 しばらくして、奴隷少女の手が止まる。


 まだ少し残っていた。


「……もういいのか?」


「……少し、お腹いっぱいで……」


 コウは頷く。


「じゃあ後で食え」


 残りは布へ包み直し、ベッド脇へ置いた。



 奴隷少女はかなり眠そうだった。


 コウは水差しを手の届く位置へ置く。


 それから厚手の布を掛けた。



 奴隷少女は布を握る。


 だが、すぐには眠らなかった。


 初めての町。


 初めての宿。


 落ち着かないのか、時々周囲を見ている。



 コウは特に何も言わず、荷物整理を続けた。


 その間、部屋は静かだった。


 窓の外からだけ、町のざわめきが聞こえてくる。



 やがて。


 奴隷少女の呼吸がゆっくり変わる。


 コウはそちらを見る。


 眠っていた。


 布を握ったまま、小さく身体を丸めている。



 コウはしばらくその様子を見ていた。


 問題は無さそうだった。


 それから静かに立ち上がる。


 音を立てないよう荷物を部屋の隅へ寄せた。


 最後にもう一度奴隷少女を確認する。


 起きる様子はない。



 コウは静かに扉を開けた。


 軋む音が小さく鳴る。


 そのまま、そっと廊下へ出る。



PL(第19話終了時点)


(15日目中盤)


開始


* 干し肉:62

* 柔らかパン:0.5

* 薬草:47

* 山椒:50

* 塩:14

* ルク:20



支出


* 入町税:2ルク



食事消費


* 柔らかパン:0.5(奴隷少女)



終了


* 干し肉:62

* 柔らかパン:0

* 薬草:47

* 山椒:50

* 塩:14

* ルク:18



BL(第19話終了時点)


武器


* 木槍×1

* 石ナイフ×2

* 鉄ナイフ×2

* 剣×1



衣類・装備


主人公携帯


* 革靴×1

* 革手袋×1

* 背負いカバン×1

* 肩掛けカバン×1

* 普通のカバン×1

* 水筒×2

* 紐×3

* ルク袋×1


リアカー固定・運搬


* ロープ×2

* 紐×5



食料


* 干し肉×62



素材


* 薬草×47

* 山椒×50

* 塩×14



通貨


* 18ルク



同行・管理対象


* 馬×1

* 奴隷少女×1



宿泊


* ドランの宿(宿泊前)

* 馬預かり予定

* リアカー預かり予定



リアカー設置


* 簡易ベッド×1(設置済)

* 干し草×2

* 厚手の布×2

* 普通の布×1

* 木箱×2(前後固定)

* ロープ×1(簡易ベッド固定用)



リアカー積載


商材


* 薬草×47

* 山椒×50


荷物


* 背負いカバン×1(干し肉40)

* 肩掛けカバン×1(干し肉22)

* 普通のカバン×1(薬草・18ルク)

* 革手袋×1

* 紐×5



拠点保管(森拠点)


生活用品


* 簡易ベッド×1

* 棚×1

* 鉄板×1

* 鍋×1

* 古い大鍋×1

* 小鍋×2

* ショベル×1

* ナタ×1

* ツルハシ×1



本日の変化


* フェルド入町

* ドランの宿へ到着

* 奴隷少女を宿部屋へ移送

* 初宿泊施設利用

* フェルド生活開始


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