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コウの物語  作者: パルス


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17/30

第17話「準備の日」



 朝、目を覚ます。


 火はまだ残っていた。


 赤く燻る炭を見ながら、コウはゆっくり体を起こす。


「……っ」


 肩が重い。


 腕も張っている。


 昨日の切り株掘りの疲労が、しっかり残っていた。


「……地味に効いてるな」


 小さく呟き、外へ出る。


 朝の空気は少し冷たい。


 空は薄く白み始めていた。



 コウは森へ向かう。


 まずは罠確認だった。


 1つ目。


 空。


 2つ目。


 これも空。


 3つ目。


 やはり空だった。


「今日は無しか」


 少し残念そうに呟く。


 だが、毎日うまくいくわけではない。


 最近は、その辺も分かってきていた。



 拠点へ戻る。


 今日は解体作業は無い。


 代わりに、昨日吊るした干し肉を確認する。


 葉の隙間から触れる。


「……よし」


 十分乾いていた。


 コウは集めておいた葉を広げ、干し肉を1つずつ包んでいく。


 保存用だ。


 これで持ち運びもしやすくなる。


 包み終えると、小さく息を吐いた。



 次は薬草採取だった。


 今日は山椒は採らない。


 かなり備蓄が増えている。


 必要な分だけで十分だった。


 コウは慣れた場所を回り、薬草を摘んでいく。


 1つ。


 また1つ。


 最終的に10本ほど回収した。



 ついでに山菜も回収する。


 今日食べる分だけ。


 鍋を手に入れたことで、ようやく安全に食べられるようになった。


 それでも保存は出来ない。


 だから必要な分だけだった。


「……まあ、こんなもんか」



 リアカーを引き、村へ向かう。


 今日は色々やることが多い。


 診療所。


 馬。


 買い物。


 明日の準備。


 気付けば、やることがかなり増えていた。



 診療所へ入る。


 薬草の匂いが漂っていた。


 奥では鍋から湯気が立っている。


 コウは奥を見る。


 簡易ベッド。


 そこに横になっていた奴隷少女が、こちらへ視線を向けた。


 昨日より、明らかに顔色が良い。


 目もしっかり開いている。


「……」


 奴隷少女は小さくこちらを見る。


 反応もある。


 かなり回復してきているようだった。


 コウは近くへ行く。


「俺はコウだ」


 奴隷少女はじっとこちらを見る。


「……多分、お前の主人になる」


 少しだけ間を置く。


「明日、町へ行く」


「奴隷契約もする予定だ」


 奴隷少女は弱々しく、小さく頷いた。


 話は理解しているらしい。


 ただ、かなり疲れた様子だった。


 長く話す余裕はまだない。


 コウは続ける。


「歩かせたりはしない」


「リアカーで運ぶ」


「だから、その辺は心配しなくていい」


 奴隷少女は少しだけ表情を緩めたように見えた。



 医者がこちらへ来る。


「回復は順調だ」


「だが、無理はさせるな」


「ああ」


 コウは袋から干し肉を1つ取り出し、渡す。


「今日の分」


 医者は受け取り、小さく頷いた。



 診療所を出る。


 そのままグレンの工房へ向かった。


 今日も工房は騒がしかった。


 木を削る音。


 金槌の音。


 積まれた木材。


 修理中の荷車。


 以前より忙しく見える。


「おう」


 グレンが顔を上げる。


「嬢ちゃんどうだった」


「だいぶ良くなってた」


「明日には動けそうか?」


「運ぶだけなら、なんとか」


 グレンは頷く。


「なら準備だな」



 今日は弟子の方が馬を連れてきた。


「今日は俺が見ます」


 まだ若い男だった。


 どうやら主に馬の世話を担当しているらしい。


 餌。


 水。


 慣らし。


 引き確認。


 そういう役割だという。


「馬車とセットで売ることもありますから」


「馬は何頭か常にいるんですよ」


 工房の奥を見る。


 確かに、他にも数頭の馬がいた。


「1頭増えたくらいなら、まあ大丈夫です」


 コウは小さく頷く。



 そこから馬の練習が始まった。


 歩かせる。


 止める。


 曲がる。


 昨日よりはかなりマシだった。


 それでも、まだぎこちない。


「力じゃなくて誘導です」


「急に引っ張ると嫌がるんで」


「……難しいな」


 弟子が少し笑う。


「最初はみんなそんなもんです」



 練習を終える。


 コウはグレンを見る。


「……さすがに2日も預かってもらったし、何か払わせてくれ」


 だが、グレンは鼻を鳴らした。


「いらん」


「あの壊れた馬車、かなり助かってる」


「材料取り出来るしな」


 そう言いながら、グレンは木材を動かす。


「まあ、代わりってわけじゃねぇが」


 コウは地面へしゃがみ込む。


 木の棒で土へ図を書き始めた。


「……今度はこれだ」


 丸。


 荷台。


 1本の車輪。


 グレンが眉をひそめる。


「なんだこれ」


「一輪車」


「山道用だ」



 そこへ、いつの間にかエミルとロイドも来ていた。


「また変なの描いてるな!」


 エミルが覗き込む。


 ロイドも腕を組む。


「……荷車とは違うな」


 コウは頷く。


「平地ならリアカーの方が強い」


「でも山道とか悪路なら、こっちの方が動きやすい」


 エミルの目が輝く。


「これ絶対便利だろ!」


「木運ぶのにも使えそうだし!」


 ロイドも頷く。


「坂道とか細道向けだな」


 グレンは図を見ながら唸る。


「作るなら……16ルクくらいか」


「構造自体はそこまで難しくねぇ」


「半日ありゃ形にはなる」


 だが、そのまま工房の奥を見る。


「ただ今、リアカーの依頼増えててな」


「忙しい」


 エミルが笑った。


「これ俺も欲しい!」


 グレンは呆れたように鼻を鳴らした。


「お前、絶対面白がってるだけだろ」



 コウは立ち上がる。


「町から戻る頃までに出来てたら助かる」


「ああ、分かった」


 そして今日は、改造されたリアカーも受け取った。


 明日の出発準備がある。


 今日は持って帰る必要があった。


 馬は引き続き預ける。



 その後、コウは村を回った。


 まずは薬草の換金だった。


「薬草、また持ってきたのか」


「ああ。20ある」


 袋から取り出して見せる。


 村人は慣れた手付きで確認していく。


「質は悪くねぇな」


「最近かなり持ってくるようになったじゃねぇか」


「まあ、必要になってきたからな」


 村人は苦笑する。


「薬草採りの才能あるんじゃねぇか?」


「森慣れしてる奴でも、そんな安定して採れねぇぞ」


「……そうか?」


 コウにはまだ実感が無かった。


 だが、最初の頃より見つける速度がかなり上がっているのは確かだった。


「20で20ルクだ」


「ああ」


 村人が硬貨を数える。


 ちゃり、ちゃり、と小さく音が鳴った。


 だが、途中で村人が手を止めた。


「……お前、金入れるもん持ってねぇのか?」


 コウは少し考える。


「……無いな」


 村人は呆れたように笑った。


「しょうがねぇな」


 そう言って、小さな袋を1つ投げて寄越す。


「……助かる」


 コウはそこへ20ルクを入れる。


 袋の中で硬貨が鳴った。


 薬草を直接ルクへ換えるのは、これが初めてだった。


 そのまま財布代わりにすることにした。



 次はパン屋だった。


 店へ近づくと、バルドがこちらを見る。


「お、また来たか」


「ああ。柔らかパン2欲しい」


「干し肉1だな」


 コウは干し肉1を渡す。


 バルドは受け取ると、柔らかパン2を棚から取り出した。


「嬢ちゃん用か?」


「ああ」


「そりゃ柔らかい方が食いやすいだろうな」


 コウは頷き、パンを受け取る。



 次は雑貨を扱っている村人のところだった。


「ロープ欲しい」


「何本だ?」


「3」


 男は少し驚いた顔をする。


「結構使うな」


「馬とリアカー用だ」


「あー……なるほどな」


 納得したように頷く。


「ロープ3で干し肉3だ」


「ああ」


 コウは干し肉3を渡す。


 代わりに丸められたロープ3を受け取った。


「紐も5欲しい」


「そっちは干し肉1だな」


 追加で干し肉1を渡す。


 男は笑った。


「最近ほんと色々揃え始めたな」


「前はもっとギリギリだったろ」


「……まあな」


 コウも否定はしなかった。



 次は靴だった。


 並べられていた簡素な革靴を見る。


「その靴か?」


「ああ」


「干し肉2だ」


 コウは少し考える。


 サイズは分からない。


 だが、奴隷少女はかなり小柄だった。


「……多分これでいいか」


 干し肉2を渡す。


 店主が靴を渡してくる。


「女用にしちゃ丈夫な方だ」


「町行くなら、そのくらいの方がいい」


「ああ」



 最後は木箱だった。


「木箱2欲しい」


「2なら干し肉2だな」


 さらに革手袋も見る。


「それも買うのか?」


「ああ」


「革手袋1で干し肉2」


 コウは干し肉を渡す。


 店主は少し感心したように言った。


「馬持って、荷車持って、木箱まで買い始めるとはな」


「完全に旅人か運び屋みてぇだ」


 コウは苦笑する。


「自分でも、ちょっとそう思う」



PL(第17話終了時点)


(14日目)


開始


* 干し肉:69

* 干し肉(乾燥中):5

* 柔らかパン:0

* 薬草:57

* 山椒:50

* 塩:14

* ルク:0



採取


* 薬草 +10

* 山菜(当日分)

* 魚1



加工・保存


* 干し肉(乾燥中)5 → 干し肉5



換金


* 薬草20 → 20ルク



支出


干し肉


* 診療所:1

* 柔らかパン2交換:1

* ロープ3:3

* 紐5:1

* 革靴1:2

* 木箱2:2

* 革手袋1:2

* 食事:1


合計:


* 干し肉:12



食事消費


* 柔らかパン1

* 魚1



終了


* 干し肉:62

* 干し肉(乾燥中):0

* 柔らかパン:1

* 薬草:47

* 山椒:50

* 塩:14

* ルク:20

* 魚:0



BL(第17話終了時点)


武器


* 木槍×1

* 石ナイフ×2

* 鉄ナイフ×2

* 剣×1



衣類・装備


* 革靴×1

* 革手袋×1

* 背負いカバン×1

* 肩掛けカバン×1

* 普通のカバン×1

* 水筒×2

* 紐×8

* ロープ×2

* ルク袋×1



生活用品


* 簡易ベッド×2

* 干し草×2

* 厚手の布×2

* 普通の布×1

* 棚×1

* 木箱×2

* リアカー×1

* 鉄板×1

* 鍋×1

* 古い大鍋×1

* 小鍋×2

* ショベル×1

* ツルハシ×1

* ナタ×1



食料


* 干し肉×62

* 柔らかパン×1



素材


* 薬草×47

* 山椒×50

* 塩×14



通貨


* 20ルク



設置・停止中


* 罠(解除中)

* 魚罠×2(未設置)



預け


* 馬×1(グレン工房預かり)

* 奴隷少女×1(診療所療養中)


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