表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コウの物語  作者: パルス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/30

第13話「鉄の道具」



 朝、目を覚ます。


 火はまだ残っていた。


 赤く燻る炭を見ながら、コウはゆっくり体を起こす。


「……明日は村か」


 小さく呟く。


 なら、今日のうちにできることはやっておきたい。


 木も乾燥させたい。


 拠点も整えたい。


 持っていく物も増やしたい。


 村へ行く前の日は、やることが多い。



 コウは火を起こし直す。


 小枝を入れ、息を吹き込む。


 火が戻る。


 軽く火の様子を見たあと、コウは外へ出た。


 まず向かうのは、いつものウサギ罠だった。



 朝の空気は冷えている。


 森は静かだ。


 草をかき分けながら、順番に罠を確認していく。


「……今日は無しか」


 今日はゼロ。


 最近は続けて取れていたため、少し物足りない。


 だが、罠自体に問題はない。


 位置を軽く直し、再設置する。



 コウはそのまま拠点へ戻った。


 火はまだ安定して燃えている。


 その横には、乾燥を終えた干し肉。


 コウはしゃがみ込み、状態を確認する。


「……悪くないな」


 葉で包み、少しでも持ち運びやすくする。


 昨日まで残っていた分も合わせる。


 全部で45。


 明日、村へ持っていく量としては十分だった。


「少しずつ増えてきたな」



 最初の頃を思えば、かなり違う。


 食う物も、火も、道具も無かった。


 だが今は違う。


 鍋がある。


 塩がある。


 鉄の道具がある。


 保存食も増えてきている。



 コウは荷物を確認した。


 今日の探索セット。


 ナタ。


 鉄ナイフ。


 紐。


 簡易袋。


 カバン。


 普通のカバン。


 そして背負いカバン。


 木槍は背負いカバンへ引っ掛ける。


 すぐ抜ける位置だ。


 森では何が出るかわからない。


 必要なら、すぐ手に取れるようにしておく。



「……よし」


 コウは背負いカバンを背負う。


 今日は森を回る。


 塩になりそうな場所も探す。


 コウは拠点を出て、森へ向かった。



 森の中を進む。


 朝露で湿った草が足に触れる。


 鳥の声。


 風で揺れる枝。


 今日は獲物を追う日ではない。


 探すのは、塩だ。



 しばらく歩き、木々が少し開けた場所へ出る。


「……ここか」


 白っぽい岩肌。


 乾いた土。


 少し変色している場所。


 コウはしゃがみ込み、岩を指で擦る。


 白い粉が付いた。


 少し舐める。


「……しょっぱい」



 完全な塩ではない。


 土臭さもある。


 苦みもある。


 だが、確かに塩気がある。


「含みはある……けど、薄いな」


 効率は悪そうだった。


 それでも、今は貴重だ。



 コウはナタを抜く。


 岩の脆そうな部分を少しずつ削る。


 ガッ、ガッ、と乾いた音が響く。


「……やっぱり違うな」


 鉄が食い込む。


 石の道具より、明らかに楽だった。



 崩れた白っぽい欠片や土を袋へ入れる。


 あとで煮てみる。


 使える塩になるか確認するしかない。



「……やっぱ少ないな」


 思ったより集まらない。


 もっと濃い場所が別にあるかもしれない。


 今日は確認できただけでも収穫だった。



 袋の口を縛る。


 そして立ち上がった。


「次は川だな」



 川へ向かう。


 木々の間を抜けると、水の音が近づいてきた。


 冷たい空気。


 湿った土。


 コウは斜面を下り、川辺へ出た。



 昨日仕掛けた魚罠の場所を見る。


「……あった」


 流されてはいない。


 少し安心する。



 水へ入り、魚罠を引き上げる。


 中で水が跳ねた。


「おっ」


 魚が2匹。


 小さいが十分だ。


「ちゃんとかかるもんだな」



 中を確認する。


 入口部分が少し歪んでいた。


「……やっぱ傷むか」


 流れ。


 石。


 魚の暴れ。


 思ったより負担がかかっていた。



 今日は村前日。


 明日は回収に来れない。


 だから今日は持って帰る。


 魚も。


 魚罠も。



 コウは魚を袋へ入れ、魚罠を背負いカバンへ固定した。


「帰ったら直すか」



 帰り道、山菜を摘む。


 今日は薬草も必要だった。


 見慣れた葉を探す。


 根元を見る。


 生え方を見る。


「……これで10か」



 薬草を普通のカバンへ入れる。


 山菜は少し齧る。


 苦み。


 青臭さ。


 だが、慣れてきていた。



 拠点へ戻る頃には、日がかなり上がっていた。


 背負いカバンを降ろす。


 中身を確認する。


 魚2匹。


 薬草。


 白っぽい岩混じりの土。


 そして魚罠。


「……悪くないな」



 コウは魚を取り出す。


 新しいうちに処理したい。


 火を強める。


 鍋に水を入れる。


 山菜を洗う。


 野菜も切る。


 塩を少し。


 山椒も少し。


 そして魚。



 焼ける匂いが広がる。


「……腹減ったな」


 自然と声が漏れる。



 魚をひっくり返す。


 皮が焼け、脂が少し落ちた。


 そこへ野菜と山菜を入れる。


 塩気と山椒の匂いが混ざる。


「……いい匂いだな」



 コウは干し肉も1つ火で軽く炙った。


 硬い。


 だが、魚と合う。



 簡単な食事。


 それでも、かなり満足感があった。



 食事を終えると、コウは鍋を軽く洗った。


 鍋は1つしかない。


 だから、食事と塩作りは同時にはできない。



「……さて、試すか」


 白っぽい岩混じりの土を取り出す。


 石で細かく砕く。


 ガリ、ガリ、と乾いた音。



 砕いた欠片を鍋へ入れ、水を加える。


 そして火へかけた。


 じわじわ温まっていく。


「……これでどうなるかだな」



 すぐにはわからない。


 その間に別の作業を進める。



 コウはナタと鉄ナイフ、それに紐だけ持つ。


 木を切る場所は拠点から遠くない。


 今日は木を運ぶだけだ。



 森へ入り、ちょうどいい太さの木を探す。


 細すぎても駄目。


 太すぎても運べない。


「……この辺か」



 コウはナタを振るう。


 ガッ、と音が響く。


 何度か打ち込む。


 以前の石道具とは感触が違う。


 木へしっかり食い込む。


「やっぱ鉄は違うな……」



 やがて木が倒れる。


 枝を払い、引っ張れる長さへ調整する。


 紐を結ぶ。


 そしてズルズルと引きずりながら拠点へ戻る。



 これを3回。


 かなり疲れる。


「……リアカー欲しくなるな、これ」



 持ってきた木を組む。


 地面から少し浮かせる。


 乾燥用の台だった。



 さらに残った木を切る。


 薪にしやすい長さ。


 火へ入れやすい長さ。



 ガッ、ガッ、と木を切る音が響く。


「……ほんと便利だな」



 切った木を並べる。


 まだ生木だ。


 すぐには使えない。


 だが、乾かしておけば薪になる。



「……少しずつ、だな」



 コウは火の方へ戻った。


 鍋を覗き込む。


 白っぽい濁り。


 底には細かい砂や土。



 少し水を指につける。


 木を運んだせいで汗をかいていた。


「……少し塩分取るか」


 そのまま舐める。



「……しょっぱいな」


 塩気はある。


 間違いない。


 だが薄い。


 土臭さも残る。


 苦みもある。



「……駄目ではないけど」


 使えなくはない。


 ただ、かなり微妙だった。


 これを料理へ使う気にはならない。



「今回は試しだな」


 もっと濃い場所を探さないと駄目そうだった。


 コウはそう判断する。



 鍋を火から下ろす。


 そして中身を廃棄し、水で軽く洗った。



 次に、回収してきた魚罠を取り出した。


 地面へ置き、形を確認する。


「……やっぱ歪んでるな」



 入口部分が少し潰れている。


 編み込みも一部緩い。


 コウは鉄ナイフを使い、紐を調整していく。


 締め直す。


 編み直す。


 少し形を整える。



「返し、もう少し狭くするか……?」


 逃げづらくしたい。


 だが狭すぎると入りにくい。


 難しい。



 魚の骨も横へ置く。


 細い。


 軽い。


「……何かに使えそうなんだけどな」


 今はまだ思いつかない。



 火が揺れる。


 周囲は少し暗くなり始めていた。



 コウは拠点を見回す。


 乾燥中の木。


 鍋。


 魚罠。


 保存食。


 鉄のナタ。



 最初の頃より、明らかに物が増えている。


 暮らしになってきていた。



 コウは火の前へ座り込む。


 小枝を1本入れる。


 炎が少し強くなった。



「……明日は村だな」


 その言葉を最後に、コウは静かに火を見つめた。



PL(第13話終了時点)


開始


* 干し肉:11

* 乾燥中干し肉5匹分

* 乾燥中干し肉2匹分

* 薬草:19

* 山椒:52

* 野菜:1

* 塩:18

* 紐:3



完成


* 乾燥中干し肉5匹分 → 干し肉25

* 乾燥中干し肉2匹分 → 干し肉10



採取


* 魚:2

* 薬草:10

* 山菜:少量

* 白塩岩試料:少量

* 木材用丸太:3



加工


* 干し肉を葉で包装・整理

* 木材乾燥棚:1作成

* 薪材(乾燥前):作成

* 魚罠:修理・調整

* 塩抽出試行



消費


* 魚:2

* 干し肉:1

* 野菜:1

* 山椒:1

* 塩:1

* 山菜:食用消費

* 白塩岩抽出物:試食後廃棄



終了


* 干し肉:45

* 薬草:29

* 山椒:51

* 野菜:0

* 塩:17

* 紐:3

* 魚罠:2



BL(第13話終了時点)


武器


* 木槍:1

* 石ナイフ:2

* 鉄ナイフ:2

* ナタ:1



作業用品


* 石斧:1

* ショベル:1

* ツルハシ:1

* 大鍋:1

* 網:1



衣類・装備


* 革靴:1

* 背負いカバン:1

* カバン:1

* 普通のカバン:1



食料


* 干し肉:45



素材


* 薬草:29

* 山椒:51

* 塩:17

* 山菜少量

* 竹複数

* 植物繊維少量

* ツル類

* 紐:3

* 薪材(乾燥前):複数



運搬用品


* 簡易袋:6



建築・固定構造物


* 簡易拠点:1

* 石組み簡易かまど:2

* 干し肉ラック:1

* 薬草乾燥場所:1

* 簡易魚囲い:1

* 動物避け用焚火:複数

* 木材乾燥棚:1



可搬設備・大型用品


* リアカー(制作中)

* 棚(受取待ち):1

* 竹製簡易棚:1

* 竹製薬草乾燥台:1

* 竹製魚罠:2(回収・調整中)



負債


* エミル立替分:干し肉8相当


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ