97(カトリナ視点)
帰りはコクルト国特有の乗り物で帰る。
屋敷に到着すると逸る気持ちを抑えられず一目散に厨房へ向かう。
ネリアとナビナが後から追いかけてくるがそんなの気にせず走った。
「おっと…」
厨房に入ると作業していたブレムさんにぶつかってしまった。
「あっごめんなさい…ブレムさん、穀物を見せて頂けませんか?」
ブレムさんに迫ると驚いている。
「穀物ですか?」
「はい」
「良いですけど…見ても面白くないと思いますよ」
そう言いながら棚から袋を下ろしてくれる。
「米だ…!」
中を見ると雑穀だった。
この世界に来て初めて見た雑穀米に興奮してしまう。
「これ、どこで買えますか?種はありますか?」
「お嬢様待ってください。そんなに一気に聞いては驚いてしまいます」
つい質問攻めにしてしまうとネリアに注意された。
「あっごめんなさい。つい興奮してしまって」
「いえ。そんなに珍しいものなのですか?」
「ええ。少なくとも私はこの国で初めて見たわ」
その言葉にナビナとブレムさんがキョトンとした顔をしている。この国では当たり前だから驚いているのかもしれない。
「そうですか。コック長に聞いて屋敷の仕入れ先をお教えできるようならお教えします」
「ありがとう」
私は嬉しくて頭を下げブレムさんの手を取り固い握手をする。
「うぉ…」
「お嬢様」
ネリアに注意されて少し冷静になり手を離し体をスッと引いた。
「あっごめんなさい」
「いえ」
その後、自分の部屋に戻り調合してもらったモク茶を飲んで落ち着く。
その時、ドアの向こうからマールさんの声がした。
「お話中失礼します。お客様です」
笑顔でドアに寄りかかるお兄様がいた。
「お兄様!」
「久しぶりだね。元気にしてた?」
ネリアにお茶を淹れるよう頼んで向かい合わせに座る。
「これは今日行ったお店で調合してもらったモク茶です。その人の体調などに合わせて何種類かのスパイスを調合してくれるんですよ」
お茶を飲みながら説明する。
お兄様から渡したいものがあると言われ差し出されたのはズボンだった。
「やった〜!」
見ると初めて作ったとは思えない上等なもので嬉しくて手を上げて喜んだ。
「そういえば仕立て屋から感想教えてくれって。あとこれを商品として販売する事も考えてるって」
「商品として?」
「うん。まだどこにもないものだし許可をもらえたら具体的な事相談したいって。どうする?」
「そうですねぇ。仕立て屋とのやり取り、私にやらせてもらってもよろしいですか?」
商品として売るという事は交渉次第で良い方向に持っていける可能性がある。
「分かった。じゃあ後で宛先教えるよ」
「ありがとうございます」
「あっそれともう1つ相談があるんだ。カドーニの時みたいにこっちでも仕事って探してる?」
お兄様から騎士団の針子の仕事を紹介された。
念のため1度顔合わせの機会を設けてもらうよう頼んだ。
「じゃあ騎士団に話通しておくよ。叔父様にも話あるからこの辺で失礼するよ」
それだけ話してお兄様は去って行った。
お兄様が行ってすぐズボンの試着をする。
便箋を用意し感想や商品化についても書いた。
「これ、この宛先に出して」
「承知しました」
ネリアにこの手紙を出してもらうよう頼んだ。
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