93(カトリナ視点)
あの女性傷害事件からもさまざまな事があった。
ズボンを買いに平民街へ行ったらガラの悪い男達に囲まれて連れて行かれそうになるしお兄様に誘われて参加した舞踏会ではすぐ帰る事になって後から知ったけど仕事だったらしい。
でも私としては悪人を捕まえられたならそれで良い。なんだか旅に出てからハプニングが多い気がするがまぁそれも旅の醍醐味だ。
ただ事件が起こる度、お兄様のシスコン度が増していく。
前から心配症の部分はあったが次に行こうと思っているコクルト国にも一緒に行こうと言い出した。
それはキッパリと断った。
「お兄様、お兄様の心配は重々承知しております。でも私だっていつまでもお兄様に頼るわけには参りません」
最初はショックを受けてごねていたお兄様も最終的には引き下がってくれてお兄様が行った1ヶ月後に私達もコクルト国へ向かう事に決まった。
お兄様を先に見送り、自分で刺繍したハンカチを渡した。
「お兄様、これ」
「これカトリナが作ってくれたのかい?」
「はい」
「ありがとう。大切にするよ」
お兄様は大切そうにポケットにしまう。
「僕からはこれ。もしものためのお守りだよ」
お返しと言ってブレスレットをくれた。後から知ったがブレスレットの石は魔石でもしもの時、防御魔法が発動するらしい。どこで買ったのかは分からないがだからお守りだと言ったのかと妙に納得してしまった。
お兄様がコクルト国へ旅立ってからも刺繍をしたり外に出て絵を描いたり自由な生活を満喫していたある日。
お父様からの手紙でコクルト国にいる叔父様の屋敷への滞在を勧められる。
一連の事件での心配からの提案だったが滞在先に悩んでいた自分達にとっては嬉しい提案だった。
「ねぇ、私コクルト国では宿ではなくて叔父様のお屋敷に滞在させてもらおうと思うの。どうかしら?」
念のためネリアに相談すると明らかに様子が変だった。
結局ネリアの賛同も得て叔父様の屋敷に滞在する事にした。
お父様に叔父様の屋敷に滞在するとすぐに手紙を出すと安心したようだ。
大体決まった事をケイリーさんに報告する。
「そうなんですね。では滞在先が決まったと。分かりました」
それだけだったが後から皆が送別会を開いてくれた。
場所は庶民的なバー。今まであまり行った事がない場所だ。
「普段、こういう場所に来る事はあまりないでしょうから最後の思い出にと思って。大丈夫でしたか?」
ロランさんが気を遣って聞いてくれる。
「はい、大丈夫です。むしろ普段来た事がない場所に来れて嬉しいです。ありがとうございます」
「それは良かったです」
「カトリナさんもネリアさんも居なくなってしまうなんて寂しいです」
そこへお世話になっているエマさんが来てくれた。
「本当だよなぁ」
さらに酔っ払っているようなライドさんまで。
「私も寂しいです。今まで本当にありがとうございます」
「酔っているんですか?水飲んでくださいね」
エマさんがライドさんに水を手渡す。
「ありがとう」
ライドさんはそれを受け取りゴクゴクと飲んでネリアがいる方へ行ってしまった。
その後も皆で思い出話に花を咲かせながら楽しい時間を過ごした。
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