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フェルソニー様から話が通り、騎士団との面会が決まった。
「騎士団長のエイドリアンと申します。兄君よりお話は聞いております。今回は針子をやって頂けるとの事ありがとうございます」
想像通りの騎士団長という感じのガッチリした体格だった。
「いえ。刺繍は得意なので私でお役に立てる事があるなら一生懸命やらせて頂きます」
「実は針子が家庭の事情で相次いで辞めてしまって。募集をしてもなかなか集まらなくて困っていたんです。助かります。詳しい事は針子のソンナに聞いてください」
騎士団長は苦笑を浮かべて話す。
「分かりました。ソンナさん初めまして。ミール・カトリナと申します。こちらは侍女のネリアです。よろしくお願いします」
私達は同時に頭を下げる。
「ソンナです。話は聞いていますのでさっそくついて来てください」
いきなり部屋から連れ出されお嬢様は騎士団長とソンナさんを交互に見て戸惑いながら返事をする。
「えっあっはい!」
お嬢様はその日から騎士団の針子として働く事が決定した。
一方、私はというとお嬢様と応募する予定だったパン屋の店員に応募した。
今は私が四六時中一緒に居なくても私と専属護衛の2人を含めナビナさんなど周りにはたくさんの人がいる。
そのためコクルト国ではお互い別々に働いてみる事にした。
今日はパン屋の面接の日。
フェルソニー様からの話で身元が保証されているお嬢様と違って私はカドーニ王国の時と同様、身元を保証するために履歴書が必要だ。
ナビナさんになんとなく教えてもらいながら書いてみたがカドーニ王国の時とは少し違ったのでちゃんと書けているか不安ではある。
履歴書を持ってパン屋に向かった。
相変わらず小麦の良い香りが立ち込める店内でカウンターの店員に声をかける。
「あの…面接に来ました。ネリアと申します」
「あっ少しお待ちください」
店員が裏へ行ったと思ったらすぐ戻って来てその背後には面接担当者らしき人物がいた。
「今日は来てくれてありがとう。店主のエコピットと申します。よろしくね」
店主というその人はベレー帽を被った快活で話しやすそうな男性だった。
「初めまして。ネリアと申します。よろしくお願いします」
「さっそくだけど履歴書、見せてもらおうかな」
「はい」
私が履歴書を差し出すとそれをじっくりと見ていた。
「公爵家の使用人で情報局にも勤めていたの?なぜうちに?」
「はい。コクルト国でも働きたいと思っていた時にこちらで貼り紙を見つけて。面白そうだと思い応募しました」
「そうですか。ありがとう。これだけ色々やっているなら基本的な事は大丈夫そうですね」
「はい」
「いつから働けますか?明日?」
「それは採用という事ですか?」
店主のエコピットさんは頷く。
「明日からで大丈夫です。ありがとうございます」
私は頭を下げる。
「こちらこそ。猫の手も借りたいくらい忙しいからよろしくね」
こうして私もパン屋で働く事が決まった。
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