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パン屋には行列ができており本当に人気店なのが伺える。
「コクルト国では硬いパンが主流です」
「えっ?でもこっちに来てから食べたパンは柔らかかったわよ」
「それがこのお店なんです。柔らかい生地のパンが看板商品で。しかもフルーツやスパイスを練り込んであるものもあるんですよ。でもなかなか買えなくて。あっもちろん硬いパンも美味しいですよ」
「そうなのね。あれは何?」
お嬢様が指を指してナビナさんに聞く。指の先にはある機械があった。
「あれはパン切りカッターです。硬いパンが多いのでなかなか手では切れないものもあって。これなら厚さも調整できるし使いやすいんです。どこもパン屋にも大体あります」
「なんだかインドかと思えばドイツみたいね…」
お嬢様は小声で呟いたつもりなのかもしれないがナビナさんにも私にも聞こえていて
(私も同じ事思ってた…)
「えっ?なんですか?」
「なんでもないわ!」
お嬢様は焦っていた。
「すみません。受け取りに来ました」
ナビナさんがカウンターの店員に呼びかける。
「受け取りですね。お待ちください」
それだけ言うと裏に行ってしまった。
するとふとある貼り紙が目に止まった。
そこには店員募集の文字が書かれている。
「ここ、店員募集してるの?」
お嬢様も同じく見ていたようでナビナさんに聞いている。
「そうですね。そういえば客が増えて大変だって言ってました。それより食べたいパンがあったらこのトレイに乗せてください」
「全種類食べたいわ」
お嬢様もそれ以上店員募集については触れず、パンに目をキラキラさせながらそう言う。
結局また来れるからとナビナさんに説得され数種類だけ選んでパン切りカッターでナビナさんおすすめの厚さに切ってもらう。
受け取るパンも受け取ったらあとは帰るだけだがコクルト国でタクシーのように走っている乗り物にナビナさんのすすめで乗る事になった。
「どうですか?」
「馬車より風を感じられて気持ちいいわ」
「良かったです」
それはこの世界に来てから初めて乗ったが三輪車に似ている。
「あ〜お嬢様、待ってください〜」
屋敷に着くとお嬢様はまだ買ったものも置いていないのに厨房へ一目散に向かうので私達はその後を追いかけた。
「ブレムさん、穀物を見せて頂けませんか?」
私達が追いついた時にはちょうど厨房にいたブレムさんにそう言っている時だった。
「穀物ですか?」
「はい」
私はすみませんという感じで頭を下げる。
「良いですけど…見ても面白くないと思いますよ」
と言いながら棚から大きな紙袋を下ろしてくれ中身を見せてくれる。
その中にはなんと雑穀米が入っていた。
「米だ…!」
お嬢様は目を輝かせながらそう言った。
それもそのはず。この世界に来てから雑穀米でも米を見たのは初めてだ。
「これ、どこで買えますか?種はありますか?」
質問攻めをするお嬢様にブレムさんもナビナさんもキョトンとした顔をする。
「お嬢様待ってください。そんなに一気に聞いては驚いてしまいます」
「あっごめんなさい。つい興奮してしまって」
私が言うとお嬢様も2人のキョトンとした顔に気づいたらしく謝っていた。
「いえ。そんなに珍しいものなのですか?」
ブレムさんが聞く。
「ええ。少なくとも私はこの国で初めて見たわ」
「そうですか。コック長に聞いて屋敷の仕入れ先をお教えできるようならお教えします」
「ありがとう」
お嬢様は頭を下げブレムさんと固い握手を交わす。
「うぉ…」
ブレムさんはそれに驚き少し後ずさる。
「お嬢様」
私が呼びかけると
「あっごめんなさい」
とスッと体を引いた。
「いえ」
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