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「カトリナ様、こちらが厨房です」
最後に案内されたのが厨房でちょうど朝食の片付けを終えたばかりのようだった。
厨房を覗くと昨日挨拶したブレムさんと目が合った。
「あっ」
頭を下げるとあっちも頭を下げ返してくれた。
「知り合いなの?」
お嬢様がその様子を見て小声で聞いてくる。
「昨日、夕食を食べ終わって皿をこちらに戻しに来た時に挨拶させてもらったんです」
「少しいいですか?話は聞いていると思いますがこちら昨日からこの屋敷に滞在されているカトリナ様ですこれからこの厨房も使われる事になります」
私達のやり取りを横目にマールさんが言うと手を止めて私達に挨拶に来てくれた。
「初めまして。お話しは聞いております。コック長のスコッピーと申します」
「昨日からこちらにお世話になっているミール・カトリナと申します。これから厨房も時々使わせて頂くことになると思います。よろしくお願いいたします。それと昨日私の侍女のネリアがお世話になったようで。ありがとうございます」
「昨日はありがとうございました。お嬢様の侍女のネリアと申します」
私も他の人に挨拶をした。
「いえ、お世話というわけではなく挨拶をさせて頂いただけです。コックのブレムと申します。よろしくお願いします」
ブレムさんもお嬢様に向かって挨拶をする。
「コックのトロイと申します。よろしくお願いします」
「厨房の案内をお願いしても?」
「はい。とりあえず中にどうぞ」
「ありがとうございます」
コック長はやる事があるらしくブレムさんとトロイさんが調理器具の使い方から大体仕事がひと段落する時間まで全部教えてくれた。
どうやらコック3人で厨房を回しているらしい。
貴族の中では少ない方だと思う。
大体は5人くらいいるものだ。
「こんな感じです。何か質問はありますか?」
「いえ。大丈夫です。ありがとうございます」
「終わりましたか?」
そばで見守ってくれていたマールさんが声をかけて来た。
「はい」
お礼を言って別れ、一旦部屋に戻るとナビナさんがお茶の用意をして待っていてくれた。
「お疲れ様でした。1度お茶を飲んでゆっくりされてください」
そう言ってお嬢様に出したのは紅茶とは違う緑のお茶だ。
「これはコクルト国でよく飲まれている伝統茶です。体にもとっても良いんですよ。どうぞ」
と私にも飲ませてくれる。
その味は明らかに緑茶だ。
「とても美味しいわ。ねっ?」
お嬢様が私に向ける目は明らかにこれ、緑茶だよね?と言っている。
「はい。とても」
私は2つの意味で返事をした。
1つはお茶自体がとても美味しいという意味、もう1つはお嬢様の目が言っている事への同意の意味でだ。
「良かったです。これにスパイスを入れて飲む事もあるんですよ」
「スパイスを?」
どう考えても緑茶にスパイスは合わなそうだ。
「はい。意外と合うんです。今度、やってみますか?」
そう聞かれたお嬢様が若干顔を引き攣らせながらも
「やってみようかしら…」
と返した。
「さて、私は午後の準備もあるので失礼します。ごゆっくり」
「ありがとう」
礼をしてナビナさんは部屋を出て行った。
「これって緑茶だよね?」
その瞬間、お嬢様が話し出す。
「うん」
「この世界にも緑茶があるなんて驚きだけどまた飲めるの嬉しい。それにしてもこれにスパイスを入れるなんて想像できないわ」
「私も」
「緑茶があるなら抹茶もあるのかしら?」
「分からないから後でナビナさんに聞いてみる?」
「それか今日街に出るからその時に」
「そうだね」
この世界に来て初めての緑茶との出会いにお互い少し感動していた。
考えてみれば前の世界でも緑茶はよく飲んでいたし久しぶりだったから余計に美味しく感じた。
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