83(シシー&アランドレ視点)
これまた知らない服の名前だったが、なんでもスカートより動きやすいとの事だった。
妹大好きのフェルソニー様が断れるはずもなく情報を集めて平民街ならあるかもしれないという情報を得て平民街へ行く事になったのだ。
でも平民街は私達が働いていた花街と同じで治安が悪い。
事前にフェルソニー様と相談してしっかりと護衛をし向かったが平民街のお店には良いものがなく一旦出ている屋台で昼食を摂って少し目を離した隙にお嬢様がいなくなった。
「カトリナがいない!周囲を捜してくれ。私は貴族街の警備隊を呼んでくる!」
私達は急いで辺りを捜したがいない。
「路地とか見えづらい所も捜そう」
やがてフェルソニー様が連れて来た警備隊と合流し路地や建物の影を重点的に捜した。
するとなにやら建物の陰で言い争う声が聞こえた。
なんとそこにお嬢様と侍女のネリアさんがいたのだ。
すぐ警備隊にお嬢様に詰め寄っていた男達を捕らえてもらい駆け寄った。
「お守りできず申し訳ございません!」
私達は勢いよく頭を下げる。この事態は護衛としては失格だ。
それなのにお嬢様は自分が悪いんだと言って聞かなかった。
今まではこんな事になったら即辞めさせられるか給金がもらえないか、絶対自分達が悪いと責められる方だったのでこのパターンは初めてで驚く。
フェルソニー様が今日は帰った方が良いと説得するがお嬢様は引かなかった。
そんな妹にフェルソニー様が勝てるはずもなく、まぁ平民街よりは貴族街の方が警備もしっかりしているという事で私達から離れない、仕立て屋だけを条件に貴族街の仕立て屋へ向かった。
念のため仕立て屋の店主とのやり取りもフェルソニー様がする。
「いらっしゃいませ」
「妹の服を作って欲しいんだが」
「はい。どのようなものを?」
「ズボンというものなのですが」
「聞いた事はあるか?」
「いえ。ありませんね〜どのようなものか教えてもらえますか?」
平民街でも下着用だったりしてあまり使われていないものを貴族街の仕立て屋が知るはずないだろう。
「この紙を貸してもらえますか?書きますから」
「もちろんです」
お嬢様はサラサラと描いていく。
「できました!」
お嬢様は店主に描いたものを手渡した。
「ほぉほぉ…」
「できるかな?」
「やってみますので時間をください」
「分かった。お金はいくらでも払う。できたらここに連絡をくれ」
「かしこまりました」
フェルソニー様が自分の連絡先を渡し店を出た。
その翌日、当初3ヶ月だった滞在予定はあと1〜2ヶ月延びる事になった。
でも私達にとってはなんともなかった。
だってお給金も毎月ちゃんと貰えているし衣食住も保障されている。
しかも今まで行った事のない国や食事、色々なものを見れて楽しい。万々歳だ。
その日、フェルソニー様からある相談があった。
その内容はとある舞踏会にお嬢様と一緒に行くため私達も護衛としてその舞踏会に来て欲しいと。
なんでも今回の件の重要人物がこの舞踏会に来る可能性がありどうしてもお嬢様とフェルソニー様の2人でと上司に言われたらしい。
この事はお嬢様には秘密にするよう言われた。
「はい。承知しました」
そして迎えた舞踏会。
お嬢様のパートナーは兄であるフェルソニー様が、侍女のネリアさんのパートナーはフェルソニー様と仲良しのライドさんが務めた。
「すっげ〜こんな所初めて来た」
「そうだね」
私達は初めての絢爛豪華な場所に驚く。
今日は私達は目立たないよう質素な格好でお嬢様達が見える位置に常にいた。
しかし、そんな時。
お嬢様達がある人に挨拶に行ったと思ったら急用ができたのでお嬢様達だけ先に帰ると伝えられた。
「私達は急用ができたのでカトリナ達を頼む」
私達はなにがなんだかよく分からないまま馬車を手配し宿へと戻った。
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