幕間 81(シシー&アランドレ視点)
私達がカトリナお嬢様の専属護衛になったのは騎士の入隊試験の会場で王太子殿下に話しかけられた事がきっかけだ。
元々私達は貧しい家庭に育ち、お金のために花街の用心棒などをやっていた。
しかしそれも給金があまり良くなかったり潰れたりでもっと良い仕事を探していた時に街の掲示板で騎士募集を知り良い給金を安定的にもらえると即決した。
「これならもっと腹一杯食べれるようになるよな?」
「うん」
そう思ったのに1つ問題が起きた。
身分をしっかり証明した上で履歴書を書く必要があったのだ。
そもそも貧しい家庭で育った私達は自分の身分を証明できるものが何もなかった。
唯一あるのはシシーとアランドレという名前だけでまともな経歴なんて持っていない。
しかし諦めきれなかった私達は入隊試験会場に忍び込む事を考えた。
「本当にやるの?」
「それしかないだろ」
迎えた入隊試験当日。
土地勘があった私達はバレないように塀を登って応募者の列に紛れ込む事に成功した。
しかし列の先で履歴書を提出してから実技試験が行われるようで自分の番が近づくにつれて緊張し手に汗を握った。
「履歴書は?」
「はい」
一応書ける範囲で書いた履歴書を差し出す。
「これ、抜けている箇所があるが?」
案の定、詰められる。
「あーすみません。書けなくて…」
「書けないとは?」
言葉に詰まっているとアランドレが
「あーすみません!すみません!でも俺達どうしても金が必要でなんとか試験受けさせてもらえませんか?お願いします!」
その場で土下座をして頼み込んだ。
「何事だ?」
その大きな声を聞いてやって来たのが殿下だった。
「殿下!なぜここに?」
「今年はどんな者達がいるか見学しに来た所、大声が聞こえたのでな。それで?」
「それが…この者達の履歴書が空欄ばかりで…」
「ほう?どうしてだ?」
殿下は私達の方を見てきた。
「それは…書けないからです。私達は貧しい家庭で育ちしっかり身分を証明できるものが何もありません。しかし!食べていくためには!どうしても!お金が必要で前までは花街で用心棒として働いていましたので武術には自信があります。どうか!試験を受けさせては頂けませんでしょうか?」
アランドレが必死に訴える。
「ふっ。面白いな。分かった。それならば見せてみよ。私が相手になってやる」
殿下は私達の高さまでしゃがみ込むと静かに笑いそう言った。
「殿下!それはなりません!」
周りの者が止めるが殿下はそれを聞かず言う。
「いいではないか。私がやると言っているのだ。静かに見守っていろ」
そう低く言うとさすがに周りの者も口をつぐんだ。
「手加減はいらない。本気で来い」
殿下が私達に木刀を渡し向かい合った。
私達は本気で殿下に向かって行き木刀を打ち合う。
結局、結果はつかないまま終わった。
「もういい。お前達、なかなかの腕前だな。武術はどこで学んだ?」
「独学です」
「自分達でここまでとは相当だな。しかし、身分を証明できないというのは問題だ。この騎士団に入隊するのは難しいな。その代わりと言ってはなんだがお前達に良い仕事を紹介しよう」
「良い仕事とは?」
「とりあえずここでは邪魔なので場所を移して話そう」
私達は場所を移してさっきの話を詳しく聞いた。
なんでもある貴族令嬢の護衛をして欲しいとの事だった。
なにより魅力的なのは衣食住を保証するとの事。
さらにその他に月25万ピールを払うとの事だった。
衣食住保証の上に自由に使えるお金が25万ピールも。
私達は二つ返事で了承した。
「では後日、護衛対象に会ってもらう」
「はい」
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