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「ねぇ、私コクルト国では宿ではなくて叔父様のお屋敷に滞在させてもらおうと思うの。どうかしら?」
お嬢様がそう言ったのはコクルト国へ向かう準備を進めている最中の事だった。
フェルソニー様が先に行ってから私達も着々と準備を進めていたが最大の問題が滞在先だった。
なんとなくお嬢様が受付で知り合った各国の要人から情報は得ていたがやはりこればかりは実際に行ってみない事には分からなかった。
突然どうと聞かれて固まっている私を見てお嬢様がさらに続ける。
「なんでもお父様が私達が次コクルト国へ行くって知ってその事を叔父様に相談したみたいなの。それでコクルト国に屋敷を持ってるって話になって。そこに滞在してはどうかと言われたの。叔父様も大歓迎だって」
旦那様と奥様にも手紙で今回の一連の件は報告済みだ。
旦那様と奥様は大層心配してお嬢様を戻って来るよう説得したらしいがお嬢様は頑として引き下がらなかった。
その結果、旦那様と奥様が折れ、今まで通り旅を続けられる事となったのだ。
(でもそもそもカトリナに叔父なんていただろうか…?)
お嬢様の話を聞きながら私はそんな事を考えていた。
「どうしたの?」
「いえ。なんでもありません」
そこで思い出した。
「あっ!」
(旦那様の弟だからミール公爵家の正式な後継者ではなかったはずだけどコクルト国の辺境を治めていたような…?確かカトリナが婚約破棄されて叔父に頼るとこまでは書かれていたかも…)
「大丈夫?」
「大丈夫です。すみません」
「それならいいけど…無理しないで」
「はい。ありがとうございます。それと叔父様の所へ滞在するのは良いと思います」
「そう?分かったわ!それならそのように伝えるわね」
こうして私達のコクルト国での滞在先が決定し、情報局でそれぞれの上司にあたる人物にも報告した。
「そうなんですね。では具体的にあっちへ向かう算段がついたと。いや〜寂しいですが今までありがとうございました。ネリアさんのおかげでこの部署もこんなに綺麗になってライドの部署まで。本当に感謝しています」
「いえいえ。こちらこそありがとうございました」
そうなのだ。私はロランさんの部署が綺麗に片付いた後、ライドさんの部署でも働いた。
「そうだ!せっかくですから皆で送別会をやりましょう」
「いえ、皆さんお忙しいのでは?」
「最近は少し落ち着いて来ましたから大丈夫ですよ。カトリナさんも呼んで」
そして皆がささやかな送別会も開いてくれた。
場所は少し庶民的なバーだった。
「普段、こういう場所に来る事はあまりないでしょうから最後の思い出にと思って。大丈夫でしたか?」
「はい。もちろん!こういう場所1度来てみたかったんです」
「それは良かった」
「それにしてもカトリナちゃんとネリアちゃんが居なくなるなんて寂しいなぁ」
そこにロランさんもやって来た。
「ライド!もう酔っているんですか?」
「酔ってねぇよ…」
しかし明らかに酔ってふにゃふにゃになっている。
このやり取りももう見られなくなるのかと思うとやはり寂しい。
皆で思い出話に花を咲かせながら楽しい時間を過ごした。
そして数日後。
ついに私達がコクルト国へ向けて出発する日がやって来た。
「カミィさん、リナリアちゃん、ジェフさん、今まで本当にお世話になりました!ありがとうございました」
「こちらこそありがとう。寂しくなるね。これ、もし良かったら道中に食べて。私とジェフさんで作ったの」
カミィさんが私達に包みを手渡してくれた。
「えっそんな…ありがとうございます」
「2人のお菓子美味しかったから食べられなくなるのは残念だけどあっちでも頑張って。手紙書いてね」
「ふふっ。もちろん。たくさん書きます」
するとリナリアも笑う。
「元気でな」
「ジェフさんも毎日の朝食美味しかったです。ありがとうございました」
「ああ」
私達は丁寧に頭を下げて宿を出る。
するとそこには今までお世話になった人達が見送りに来てくれていた。
「皆さんお忙しいのでは?」
「2人のためなら忙しくても来るって」
「そうですよ」
「皆様、本当にありがとうございます。今までお世話になりました!」
私達は勢いよく頭を下げ全員と最後の挨拶をした。
「お手紙書きますから」
「はい。私も書きます」
「ネリアさんのおかげでとても綺麗でちゃんと仕事場になりました。ありがとうございました。お元気で」
「こちらこそ本当にお世話になりました」
そうして私達はロランさん達、アナさんにエマさん、たくさんの人達に見送られてコクルト国へと旅立った。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
ここで第2章は完結となります。
すぐにコクルト国編がスタートします。
2章も長くなってしまいましたが次も長くなる予定です。
次の章に行く前に幕間話も投稿しようかと考えておりますのでもしよろしければお付き合い頂けると嬉しいです。
また皆様からの応援もとても励みになっております。 本当にありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。




