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あの突然帰された舞踏会からしばらく経ったある日。
あれからフェルソニー様が舞踏会に誘ってくれた本当の理由を教えてくれた。
「本当にすまない。守秘義務の関係でなかなか言えなかった」
「いえ、謝らないでください。あの時は突然で驚きましたがそういう事なら良かったです」
「それとコクルト国との合同捜査が始まる事になって僕もそこに加わる事になった。それに伴ってしばらくコクルト国へ滞在する事になる。そこで相談なんだけどカトリナ達もコクルト国へ一緒に行かないか?」
「えっ?そんな急に…」
「急だよね。分かってる。でも誘拐まで企てられて1人にするのは心配なんだ。どうかな?」
「お兄様、お兄様の心配は重々承知しております。でも私だっていつまでもお兄様に頼るわけには参りません」
お嬢様がはっきりと告げる。
「そんな…あっちが当分の滞在先まで用意してくれるのに?」
フェルソニー様はショックを受けた表情で話し続ける。
「それはお兄様のでしょう?」
「言えばカトリナ達の滞在先だって用意してくれるよ。それに1人になりたいなら心配ない。しばらく仕事で忙しいから帰れない日が多いと思うし」
「お兄様、そういう問題ではないのです」
「じゃあどういう問題?」
フェルソニー様がお嬢様にずいっと迫る。
「私にとってこの旅は自身を癒すと同時に成長のための旅でもあるのです。いつまでもお兄様と一緒にいたらどうしても甘えてしまいます。今の仕事も中途半端で投げ出したくありませんし」
「甘えてもいいじゃないか。思う存分甘えて自分を癒せばいい」
「そうでした…お兄様はそういう方でした。とにかくコクルト国へ行くとしても別々でお願いします」
「でも一緒に行った方が馬車代の節約になるだろう?」
「それはそうですが…」
「まぁでも分かった。カトリナにも色々あるよね。僕も仕事だから早く行かなくちゃならないし…じゃあさ折衷案として1ヶ月後にコクルト国へ来てよ。それまでカドーニで好きに過ごして」
「分かりました。そうします」
こうして私達は1ヶ月後にコクルト国へ行く事になった。
その前にフェルソニー様を見送る。
今日はその見送り当日。
「なんか変な所はない?」
「はい。お綺麗です」
「ふふっ。ありがとう」
見送り場所に向かうとすでにロランさんやライドさんがいた。
「カトリナ!」
フェルソニー様はお嬢様の姿を見るなり笑顔で手を振る。
「遅くなり申し訳ありません」
「ううん。大丈夫だよ。今日もかわいいね」
「ありがとうございます」
「あぁ。やっぱりカトリナを1人にするなんて心配だよ」
「それは散々話し合ったでしょう」
「何かあったらすぐ知らせてね。飛んで行くから」
「ライドさん達もいますから大丈夫です」
「そうだぞ〜カトリナちゃん達の事は俺達が守ってやるから安心して行って来い」
「それが1番不安だ。いいか?くれぐれも妹をたぶらかすような真似はやめろよ」
「おぉ。怖っ。分かってるって」
「気をつけていってらっしゃいませ」
お嬢様はフェルソニー様に自分で刺繍したハンカチをお守り代わりに渡す。
「これカトリナが作ってくれたのかい?」
「はい」
「ありがとう。大切にするよ」
フェルソニー様は心底大切そうにそのハンカチをポケットにしまった。
「僕からはこれ。もしものためのお守りだよ」
とフェルソニー様がお嬢様に渡したのはブレスレットだった。
「ネリアもシシーもアランドレもカトリナを頼む」
「承知しました」
「はい」
フェルソニー様はとても名残惜しそうにずっと見えなくなるまで手を振っていた。
私達も同じように見えなくなるまで振り返し見送った。
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