71(フェルソニー視点)
それからロランの叔母さんの宿へと向かった。
叔母さんとは僕も顔見知りで無事、宿泊と厨房の使用許可をもらった。
部屋もそれぞれ決めてから履歴書の書き方を教えた。
「ここに名前と出身地と年齢、あとは前に何か仕事をしてた人はここに書く」
「分かりました」
ひと通り履歴書を書き終えロランが
「では明日これを持って来てください」
と言った。
その言葉でもう帰るのだと悟って
「はぁ〜もっとカトリナと一緒にいたいよ」
とごねる。
どうせアパートに帰っても1人だし周りには情報局の職員ばかり。それならカトリナ一緒に居たい。
「お前は明日仕事だろ?カトリナちゃんも今日は疲れてるんだ。早く行くぞ」
最後はカトリナに宥められライドに引っ張られて渋々別れた。
翌日。
今日はカトリナ達の面接の日だ。
昨日カトリナ達と別れたその足で情報局へと向かい採用担当への説明と今日の夜行われる舞台会について最終調整を行った。
帰路に着いた頃にはすっかり空は暗くなっていた。
朝からカトリナ達を迎えに行きその際、専属護衛に今日は迎えに行けないため帰りは2人で護衛するよう伝えた。
「帰りは2人で頼む」
「承知しました」
一方カトリナは不安そうにしているので必要なものを確認し優しく言葉をかける。
「大丈夫だよ。あの後すぐに話を通したんだ。元々人手不足だったから快く許可が出たよ。今日も経歴を確認するだけだと思うから安心して」
情報局に到着するともうすでに担当者が待っていた。
2人を担当者に任せて自分の部署へと向かう。
「おはようございます」
「おはよう。今日はよろしく頼むぞ」
「はい」
舞踏会の時間まで書類仕事をこなし近くなったらタキシードに着替えパートナー役のクラリッサと会場へ向かう。
入口で招待状を渡し最終確認を小声でしながら入場する。
怪しまれないよう給仕が持ってきたトレイに乗っているシャンパンを取りいかにも恋人同士を装って会場を歩き回る。
「いました」
クラリッサが今回のターゲットを発見し僕に合図を送ってくる。
僕達は笑顔で近づき挨拶をする。
「お久しぶりです。お元気ですか?」
「はて?どこかでお会いしましたかな?」
「先日の仮面舞踏会でご挨拶させて頂いたのですが、覚えておりませんか?」
資料で仮面舞踏会に出席していた事は確認済みだ。
「いやはや、最近歳ですかねぇ〜申し訳ありません」
ターゲットの男は頭を掻きそう言った。
「いやいや、あの日も人がたくさんいましたから覚えていなくても無理はありません。気にしないでください。元気そうなお顔が見れて良かったです。それでは」
とその男の横を通り抜ける隙に男の服のパケットに事前に渡されていた音声を聞き取れる盗聴器を忍ばせた。
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