69(フェルソニー視点)
カドーニ王国へ到着して早々、僕には仕事が待っていた。
それは潜入調査だ。
カトリナには僕が仕事の内容までは教えていないが情報局に勤めている事は教えた。
情報局に着いて僕の部署に行くとすぐに書類を渡された。
「今回はこの舞踏会に潜入してくれ。詳しいことは分からないが黒い噂がある人物が参加するとの情報があった」
「分かりました。ペアで参加ですか?」
「ああ。相手はクラリッサだ」
「よろしくお願いします」
クラリッサとは同じ部署に所属する同僚だ。
「よろしくお願いします」
「頼むぞ」
それだけ聞くと僕はすぐにカトリナの元へ戻ったがいつの間にか市場に行く事になりロランの叔母さんの宿に泊まる事になっていた。
あと余計な事を喋るなと釘を刺したのにカトリナにつけている影の事もバレて怒られた。
少しニヤッとしている2人を恨めしく思いながらも市場へと向かった。
市場には人がたくさんいて活気に溢れている。
でもそれはここが貴族街だからだ。
この国の市場には貴族街と平民街という2つのエリアが存在する。
そもそも市場というのはとても広い。店が見えないくらい先まで立ち並んでいるのだ。
その中でも特に活気があり高級店が多いエリアを貴族街、人がまばらで比較的価格がお手頃な店が多いエリアを平民街と呼ぶ。
平民街に関しては価格がお手頃な分、品物の質も落ちるし治安もあまり良くない。
どんな人も自由に行き来はできるものの貴族街は警備が何人かいるのに対し平民街にはいない。
それが原因かは分からないが強盗も平民街の方が多い。
僕なら盗みを働くなら貴族がたくさんいる貴族街の方がいいと思うがやりやすさが違うのか平民街の方が多発しているようだ。
「ねぇこの野菜、かぼちゃに似てない?こっちはごぼうにも。これなら和食が作れるかも」
カトリナ達は市場に着いてから僕達の知らない言葉を話している。
「ワショクってなに?」
そこで僕は思い切ってそれが何なのか聞いた。
「あっ本で読んだのです。なんでも東の国の料理らしく。私も作ってみたいと思っていたのですが食材がなかなかなくて。でもここにあるもので作れるかもしれないなと」
最近のカトリナは本で読んだと言う事が増えた。
確かに昔から本を読む事は嫌いではなかったはずだが、どうやって本を選んでいるのかは気になるところだ。
「へぇ〜いまいち分からないけどカトリナの料理なら食べたい」
「僕も興味があります」
皆が興味を持ち意図せず歓迎会の約束まで取り付けた。
「近いうちカトリナの歓迎会をしたいと思っていたんだ。だからそのワショク?作ってくれる?」
「はい。もちろん」
「でも今日は食べて欲しいものがあるんだ。予約してあるから行こう」
その前に今日はこの国の料理を食べて欲しいと思い、事前に予約していた店に向かう。
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