66
「あんな事言って良かったんですか?」
「あんな事って?」
「お金はいくらでも払うって」
「次なるトレンドを作るかもしれないだろう?ズボンなんて誰も聞いた事のないものを作る妹はすごい」
「どこで知ったか聞かないんですか?」
「本だろう?」
そう言いいたずらっぽい目を向ける。
「はい…」
お嬢様が少し照れながら返す。
側から見れば意味の分からない会話だが私達3人には分かる。
「お兄様は優しい方ですね」
やはりフェルソニー様は私達の事を分かっている。
その上で自分の妹とその侍女として可愛がってくれている。
「いやいや、これくらい当たり前だ」
それなのに私達が負担を感じないよう言葉をかけてくれる。本当に優しい人だ。
「素晴らしいズボンができると良いね。カトリナのデザイン画はとても上手かったから」
「ふふっ。お褒め頂き嬉しいです。私も楽しみです」
一時、危ない事はあったものの無事用事を済ませ安心していた翌日。
その日も休日でお嬢様の部屋でゆっくり紅茶を淹れていた時。
コンコン。
「お客さんだよ」
カミィさんが告げた。
「こんにちは。お休みのところ申し訳ありません。警備隊のアイルとランドルです」
入って来たその人は警備隊の2人だった。
「どうかしたんですか?」
「昨日の件と先日の件でお話がありまして」
「どうぞ。こちらにお座りください。ネリア、皆さんにも紅茶を」
「いいえ。そんなお気遣いなく」
「お客様にはお茶をお出しするのがマナーですから」
「ではありがたく頂きます」
私はカップに紅茶を注ぎ2人の前に置いた。
「ありがとうございます」
「それで?」
「まず昨日の件ですが純粋な物盗りだけではなくあなた方の誘拐も依頼されていたようです。男数人で手篭めにするつもりがお兄さんも来て断念したと」
「えっ?なぜ私達を?」
「詳しい事は分かりませんがお兄様も依頼されていたようです。それと先日の女性を刺したのもその男でした」
「えぇ〜!そうなんですか!?知人だと聞いていたのでびっくりです」
「知人のふりをしていたようです」
「私達は今回の件の裏にいるであろうコクルト国の貴族をコクルト国の警備隊と協力し挙げたいと思っています」
「そうなんですね」
「皆さんにもまたご協力頂くことがあるかもしれませんがその際はよろしくお願いします」
「それはもちろんです」
「ありがとうございます。今日はこれで失礼します」
そして私達は警備隊を見送った。
「びっくりの展開だわ」
「そうだね」
「誘拐を依頼するなんて。しかも次に行こうとしているコクルト国の貴族って…展開が凄まじいわ」
「確かに。小説にこんな展開あったかな?」
「そもそも婚約破棄した後は書かれていないんでしょ?じゃあ分からなくて当たり前だわ」
その時、あの案内人が現れた。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




