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私はとっさに男とお嬢様の間に入り守った。
「誰なんですか?」
お嬢様が聞いた。
男はその言葉を聞く素振りもなく私の顔を掴んでじっと見つめる。
「よく見りゃあんたも美人だなぁ」
「何なんですか!」
お嬢様が男の手を振り払う。
「お嬢様!」
「美人だから容赦してたが生意気だな。少し黙ってろ」
男はお嬢様を叩こうと手を振り上げたので私はその手を捻り上げた。
「いって…なんだよ!お前らやっちまえ!」
私達と向かい合っていたリーダー格の男がそう言うと数人の男達がぞろぞろ近づいて来た。
これ以上はさすがに守り切れないと思ったその時。
「うっ…」
目の前にいたはずの男達が次々と倒れていった。
見ると護衛の2人とフェルソニー様がいてあっという間に全員倒してしまった。
「ここです」
フェルソニー様は冷静に警備隊を呼び全員捕らえられた。
「カトリナ、大丈夫?」
それが落ち着いた途端、フェルソニー様がお嬢様に駆け寄る。
「ネリアが守ってくれたので大丈夫です。それよりこの方も骨折していて馬車を呼んで頂けませんか?」
そこには半分魂の抜けているおばあさんがいた。
「分かった。2人は怪我ないんだね?」
「はい。大丈夫です」
フェルソニー様が確認を取った後、おばあさんのために馬車を呼び御者に目的地を伝えてくれた。
「なんで離れたりしたんだい?」
落ち着いてからフェルソニー様がお嬢様を問い詰める。
「ごめんなさい…おばあさんが絡んでいるのが見えて」
「カトリナの優しいところは好きだけどそれで危ない目に遭ったら意味ないだろ?」
「すみません…」
「お守りできず申し訳ございません!」
護衛2人が勢いよく頭を下げる。
「謝らないで!私が悪いの」
お嬢様は立ち上がって言う。
「この件は警備隊にも調べてもらうから」
「そこまでしなくても…」
「だめだよ。僕の妹に手を出したらどうなるか分からせないと」
後半の方はぶつぶつ言っていてよく聞こえなかったがなんか怖い事が聞こえた気がする。
「今日はもう帰ろうか」
「あの…もう少しだけ…だめですか?」
お嬢様は少し上目遣いでフェルソニー様に頼む。
「あぁ…僕がカトリナのお願いに弱いって知っててやってるでしょ。絶対僕達から離れちゃだめだよ。約束できる?」
「はい!」
呼んでくれた馬車に乗って仕立て屋に向かった。
「いらっしゃいませ」
「妹の服を作って欲しいんだが」
「はい。どのようなものを?」
「ズボンというものなのですが」
「聞いた事はあるか?」
「いえ。ありませんね〜どのようなものか教えてもらえますか?」
「この紙を貸してもらえますか?書きますから」
「もちろんです」
お嬢様はサラサラとズボンを描き始めた。
たまに私にもこんな感じ?と目線を送ってきながら描いている。
私は無言で頷くだけ。
「できました!」
お嬢様が仕立て屋の店主にできたものを笑顔で差し出す。
「ほぉほぉ…」
店主はデザイン画を見ながら頷いている。
「できるかな?」
フェルソニー様が聞いた。
「やってみますので時間をください」
「分かった。お金はいくらでも払う。できたらここに連絡をくれ」
「かしこまりました」
フェルソニー様と店主のやり取りだけで話が決まり、店を出た。
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