61(カトリナ視点)
そろそろ宴も終わろうかという頃、どこからか女性の悲鳴が聞こえた。
ただ事ではない事が分かり私達はその方向に走った。
私の前にはシシーとお兄様がいたがその隙間から女性に刃物が刺さって倒れているのが見えた。
その瞬間、息を呑んだ。
「お嬢様はここで」
皆に止められて代わりにライドさんとアランドレが声をかけた。
意識はないが息はあるようでお兄様が周囲に呼びかける。
「とりあえず病院に運ぼう!手伝ってくれ。アランドレは周りに怪しい人物がいないか確認してくれ」
お兄様も腕まくりをして馬車に乗せるのを手伝ってそのまま医者へ向かった。
私はそれを見届けて腰が抜けてしまってネリアに支えられながら宿に戻った。
そしてネリアが持ってきてくれた紅茶を飲んで少し落ち着く。
数時間後。
アランドレが帰ってきて聞くと処置は無事終わったとの事で少し安心した。
「今日は疲れたでしょう。ゆっくり入ってきてください」
ネリアにお湯を準備してもらい簡単に入浴を済ませた。
夜のスキンケアをしてもらいながら話をする。
2人なので楽な話し方だ。
「なんだか今日は締まりが悪くなっちゃって申し訳ないわ」
「仕方ないよ。それは」
「誰がやったのかしらねぇ。この世界には警察はないのかしら?普通ならそういう人が来ると思うんだけど」
「そうだね。私が読んでいた時はそれっぽい人は登場したけど詳しくは載ってなかったんだよね」
「そうなの?ロランさん達が話を聞くって言ってたから情報局がその役なのかしら?」
「う〜ん…分からない…はい、終わり!」
「ありがとう」
髪をツヤツヤに仕上げてもらった私はベッドに入った。
「それじゃおやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
事態が動いたのは2日後。
「あの女性、目が覚めたみたい」
エマさんからそう聞いた。
「えっ?本当ですか!?」
「うん。確かだと思う。今ロランさん達が話を聞きに行ってるって」
「良かったです」
その少し後。
お兄様がやって来た。
「カトリナ、今いいかな?警備隊が先日の件について話を聞きたいみたいなんだ」
「初めまして。カドーニ王国警備隊のアイルとランドルです。先日の女性傷害事件の件でお話を伺いたいのですが今よろしいでしょうか?」
「はい」
「当日この部署で居合わせたのはあなたとエマさんで間違いありませんか?」
「はい」
「それでは別室でそれぞれ話を聞きますので行きましょう。ご案内ありがとうございました」
警備隊の人はお兄様に頭を下げて私を別室に案内した。
私は心配そうなお兄様を目線だけで宥めながらついて行った。
「改めまして警備隊のアイルと申します。さっそくですがお聞きします。まずあなたはミール公爵家の御息女カトリナさんで間違いありませんね?」
「はい」
「では当日のことをお聞かせください」
「その日は私達の歓迎会が開かれていました。私が本で知った和食という料理を皆さんに振る舞っていたんです。会も終わろうかという頃、女性の悲鳴が聞こえてそっちへ向かったんです。そしたら女性が倒れていました」
「うん。ネリアさんの話とも一致しますね」
「ネリアからも話を聞いたんですか?」
「ええ。そもそもあなた達はなぜカドーニ王国へ?」
「お恥ずかしい話ですがつらい事がありましてそれを癒すため旅に出たいと思うようになりお兄様の国に」
「そうですか。被害女性はコクルト国の出身のようですが面識はありますか?」
「コクルト国の?」
「何か?」
「いえ。カドーニ王国の次にコクルト国へ行こうと思っていたので」
「コクルト国へ?」
「はい」
「そうですか。分かりました」
それからもいくつか質問され終わった。
「ご協力ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
案内された部屋を出て事務室へと戻った。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




