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2日後。
私が出勤していたその日、被害に遭った女性の意識が回復したとの連絡があった。
「あの女性、意識が回復したようです。今から話を聞きに行ってきます」
ロランさんはそれだけ言ってバタバタと出て行った。
それももあってか今日は職員さんが少なかった。
その分書類整理はとても捗り、残っていたアナさんも手伝ってくれた。
「私達は留守番と戻って来た時の記録係を任されているから今は暇なの。だから手伝うわ」
「ありがとうございます」
「これはこっちね。それにしてもあんな現場に遭遇するなんてね」
並んで書類整理をしながら会話をする。
「ええ。驚きました」
「でも目が覚めて良かったわ」
「はい。本当に」
その時、ロランさんが戻って来た。
「ただいま帰りました」
「おかえりなさい。どうでしたか?」
「無事聞き取りを終えました。これがその記録です」
「犯人は?」
「それが帽子を深く被っていてよく分からなかったがもしかしたら知人かもと」
「そうなんですね」
「さらに被害女性はこの国の出身ではなくコクルト国の出身だそうです。今警備隊も傷害事件として動いていて私達にも協力が要請されました。後で関係者全員に話を聞きたいとの事です」
「分かりました」
コンコン。
そんなやり取りをしていた時、ノックの音が響いてロランさんが扉を開けると男性2人が入って来た。
「失礼します。カドーニ王国警備隊員のアイルとランドルと申します。先日の女性傷害事件について関係者の皆様にお話を伺うため参りました」
「先ほどはありがとうございました。当日僕の他にこの部署で現場に居合わせたのはアナさんとネリアさんです」
「ではその御二方に別々でお話しを伺います。こちらへどうぞ」
連れて来られたのは情報局内の会議室。
話を聞くため使用許可をもらったそうだ。
向かい合わせで座りいよいよ聞き取りが始まった。
「改めまして警備隊のアイルと申します。さっそくですがネリアさんは情報局で事務員をされているカトリナさんの侍女だと聞きましたが間違いありませんか?」
「はい。ミール公爵家でお嬢様の侍女を務めております」
「書類とも合致していますね。では事件当日、現場に居合わせたという事ですがその時の状況は覚えていますか?」
「はい。その日はお嬢様の歓迎会も兼ねて普段お世話になっている皆さんに和食を公園で振る舞っていました」
「ワショク?それはなんですか?」
「お嬢様が本で読んで以前から作りたいと言っていた東の国の料理です」
「そういうものがあるんですね」
「はい。そろそろ会も終わろうかという時に女性の悲鳴が聞こえました。それで皆で悲鳴が聞こえた方に走ったんです。そこに女性が倒れていました」
「それは何時頃だったか分かりますか?」
「正確には分かりませんが、夕方くらいだったと思います。もう陽が沈みかけていたので」
「他に不審な点はありませんでしたか?」
「特にはなかったと思います。すぐにフェルソニー様が病院へ運びお嬢様の専属護衛のアランドレで周囲を警戒しましたが怪しい人物はいなかったと言っていました」
「では実際に犯行を目撃したというわけではないんですね」
「はい。見ていません」
「被害の女性とは面識はありますか?」
「いえ。知らない女性でした」
その後もいくつか質問をされた。
「そうですか。分かりました。質問は以上です。ご協力ありがとうございました」
「いえ」
そうして再びロランさん達の所へと戻った。
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