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「お恥ずかしい話、うちの部署の職員は全員片付けが苦手で今も書類が積み重なっておりまして。それを片付けてくださる方が欲しいと話していたんです。ネリアさん、お願いできませんか?あっもちろんお給金はお出ししますから」
「いや…それは全然良いんですけど」
「本当ですか?ありがとうございます」
今の私はただの侍女だ。
そういうのは専門の人にやってもらった方が良いのではと思ったが私にやって欲しいと言われてお金ももらえるとなったら断る理由はない。
「ネリアさんにもやる事ややりたい事があるでしょうし毎日来て頂かなくても大丈夫なので来て頂く曜日を決めましょうか」
しかも決まった曜日で良いと言うのだから好都合だ。
空いた時間でお嬢様のお世話や街を探索できる。
「はい。お気遣い頂いてありがとうございます」
「いえいえ。こちらとしては来て頂けるだけでありがたいですから。一応明日情報局に簡単な履歴書を持って来てください」
「あの、すみません。履歴書の書き方教えてもらって良いですか?」
私はほとんど履歴書を書いた事がない。
それにこっちの世界の書き方は違うかもしれない。
「私も分かりません」
「ああ。すみません。宿屋に着いたら僕達が教えますので安心してください」
「ありがとうございます」
そうして宿屋に到着し中に入った。
「いらっしゃいませ。あらロランじゃない。大所帯でどうしたの?あら!ライドとフェルソニー様までいるじゃない」
どうやらライドさんとフェルソニー様も知っているようだった。
「お久しぶりです」
「こんにちは」
「叔母さんこんにちは。この方達を3ヶ月ここに泊まらせてあげて欲しいんですけど部屋空いてますか?」
「僕の妹なんです」
「フェルソニー様の?」
「初めまして。お兄様がお世話になっております。妹のカトリナと申します。こちらは侍女のネリアと護衛のシシー、アランドレです」
お嬢様の紹介と共に順番に頭を下げる。
「初めまして。ロランの叔母でこの宿屋をやっているカミィです。泊まるのはこの4人だけかい?」
「はい」
「3ヶ月ね」
「もしかしたら延びるかもしれないのですが大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だよ。今のところたくさん部屋はあるしもしどうしても無理になったら知り合いの宿を紹介する事もできるからね」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
「叔母さん、ありがとう」
「こちらこそ客を連れて来てくれてありがとう」
「でもう1つお願いがあるんだけど厨房を貸してくれないかな?」
「厨房を?」
「私、お菓子作りが好きなんです。それでできればここでも作れたらと思っていて。お菓子の他にも料理もしたいんです。だめでしょうか?」
「客にご飯を出す時間以外ならいつでも使っていいわよ。その代わり私にも食べさせて」
「はい!ありがとうございます」
お嬢様は嬉しそうに笑って頭を下げた。
こうして無事カミィさんの宿に泊まる事が決まった。
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