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残された私達の間には少し気まずい空気が流れていたもののライドさんのおかげで一変した。
「ねぇねえこの後、どこ行くとか予定あるの?」
「いえ。先程着いたばかりなのでまだ特に」
「それなら市場案内しよっか?」
「市場?」
「うん。この国特産のものとかもたくさんあるし面白いと思うよ」
「そうなんですね。ありがとうございます。ぜひ行ってみます」
「俺はこの国の出身なんだ。もし良かったら案内しよっか?」
「こら!ライド。フェルソニーの妹さんを口説こうとしないでください。怒られますよ」
「えっ?」
「別にそういうつもりじゃないんだけど…」
「ところで皆さん今夜泊まる場所は決まっていますか?」
「特に決まっていませんが人数もそれなりに多いのでとりあえず3ヶ月は長期滞在できる宿に泊まろうかと」
「では僕の叔母の所に泊まってはいかがでしょうか?叔母は宿屋を経営しているんです」
「本当ですか?でもこんな大人数で大丈夫でしょうか?」
「ええ。閑散期で部屋が空いてるから宣伝してくれと頼まれまして…」
「あの…厚かましいお願いだとは分かっているのですが厨房は使えますか?」
「厨房ですか?」
「私、お菓子作りとかが好きで使っていない時でいいので使えたらと思って…すみません」
「謝る事ではありませんよ。後で叔母に聞いてみます。優しい人なのでたぶんお願いすれば許してくれると思います」
「ありがとうございます」
「へぇ〜カトリナちゃんってお菓子作りが好きなんだ。かわいいね」
その時。
「誰がかわいいって?」
冷たいオーラを出したフェルソニー様がライドさんの背後に立っていた。
「いや…うん…」
ライドさんは冷や汗を流しながらなんとか声を出しているようだ。
「はぁ…だから言ったのに」
「ライドくん、少しお話しようか」
「いや〜ごめんなさい〜」
そう叫びながらフェルソニー様に引きずられて行ってしまった。
「フェルソニーは本当にカトリナさんの話ばかりするんですよ。実は…影をつけてあなたの行動を逐一報告させているみたいで」
「えっ?」
「えっあれ?」
「ロランくん?」
いつの間にか後ろにいたフェルソニー様が今度はロランに冷たいオーラを出している。
「あっ…いや…ごめんなさい。今の忘れてください」
「ちょっとこっちでお話しようか」
「いや〜ごめんなさい〜」
ロランさんが引っ張られて行ってしまった。
しばらくフェルソニー様は涼しい顔をして戻ってきたがロランさんとライドさんはげっそりしている。
そしてお嬢様はフェルソニー様が戻ってくるとすぐに立ちはだかり青筋を立てて静かに話し始めた。
「お兄様、影とはどういう事ですか?私は聞いておりませんが?」
「いや…それは…ちょっと…」
フェルソニー様は口ごもる。
「つけるなら私に1度確認すべきでは?」
「はい…そうです…すみません…」
フェルソニー様はみるみるうちにしょんぼりしていく。
「分かったなら良いですけど次からは気をつけてくださいね」
「はい。ごめんね」
お嬢様は笑顔になって
「では市場に行きたいです。ライドさん、案内をお願いしてもいいですか?」
「もちろん」
皆いつもの調子に戻った。
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