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「あっもう来たのね」
まだサリーとレーナが中心となって準備している最中だった。
「お嬢様が早めに下がらせてくれたの。えーと…まだ待ってた方がいい?」
「クラッカーで驚かそうと思ってたけど来ちゃったしもういいや。はいこれ」
目の前に差し出されたのはパンケーキだった。
「私がデコレーションしたんだよ」
何枚か重ねられたそのパンケーキには行ってらっしゃいとチョコで書かれていた。
「わぁ〜ありがとう。食べていい?」
「うん」
同じく差し出されたフォークを取ってパンケーキを1口食べると優しい甘さが口に広がった。
「美味しい」
「良かった。サリーが作ったんだよ」
「ありがとう。サリー」
「うん」
照れを隠すように言う。
「照れてる〜」
レーナが茶化す。
「照れてない」
そんな2人のやり取りも聞けなくなるのかと思うと急に寂しさが押し寄せる。
その後もレーナ達が呼びかけてくれたおかげかたくさんの使用人がやって来てくれた。
皆優しい言葉やプレゼントをくれた。
「はい。時間がなかったからこういうのしか準備できなかったけど」
そう言いながら2人が渡してくれたのは匂い袋。
「良く眠れるハーブを入れたの」
嗅ぐと良い匂いがする。
「良い匂い。ありがとう」
皆と色々な話をしながら楽しい時間は過ぎて行った。
入浴を済ませて部屋に戻るとサリーに話しかけられた。
「荷造りはできたの?」
「うん」
「しっかり確認しなさいよ。忘れ物があったら大変だからね」
「うん。サリー、本当にありがとう。送別会もプレゼントも」
「やめてよ。湿っぽいのは嫌いなの」
私が醸し出している雰囲気を感じ取ったのかそう言われた。
「明日も早いんだからネリアも早く寝なきゃ。電気消すわよ」
「おやすみなさい」
ついに迎えた出発当日。
朝から屋敷は騒がしかった。
「2人とも気をつけて行ってらっしゃい。ネリアもカトリナをよろしくね」
「お任せください」
「気をつけて。あんまり1人で出歩かないように。こまめに連絡を忘れずに」
「はい。お父様、お母様行ってきます」
見送りは旦那様と奥様はもちろん使用人も総出でしてくれた。
そして私達はカドーニ王国へと旅立ったのである。
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