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「ありがとう。とっても良い香りだわ」
「本当だ」
「私が作ったお菓子もぜひ食べてみてください」
「うん?これは見た事がないお菓子だが」
旦那様が突っ込んだ。
「あっこれはカステラというお菓子です」
「カステラ?」
「はい。外国の事を調べている時に本で読んだのです。それで作ってみたいと思いまして。上手くできているかは分かりませんが」
そう言っている間にもフェルソニー様はカステラを口に入れている。
「素朴な味で美味しい。この下の砂糖?もいいね」
その言葉を聞いて旦那様と奥様も口に運んだ。
「うん!普段のケーキとはまた違った美味しさだね。とても美味しいよ」
「良かったです。これは下の砂糖が決め手らしく」
「カトリナは本当にすごいわね。もう庭を走り回っていたあの頃とは違うのね」
奥様が少し寂しそうにする。
「できればずっと手の届く距離で見守っていたかったけどそれももうできないのよね」
「お母様、今生の別れではありませんしお母様にはお父様がいるではありませんか」
お嬢様の代わりにフェルソニー様が答える。
「そうだ!私がいるではないか。私では不満か?」
旦那様が少ししょんぼりしながら問う。
「そうではありませんが…フェルソニーだけではなくカトリナまでも行ってしまうなんて…」
「確かに私もそれは寂しいが…その分2人でゆっくり過ごそうではないか。目一杯甘やかすぞ」
「ちょっと!」
奥様はびっくりしているが満更でもなさそうだ。
「あのー子供の前でいちゃいちゃするのやめてくれますか?」
フェルソニー様が棒読みで言う。
「そうだな。すまん。カトリナ、もし帰って来たくなったらいつでも帰って来なさい」
「はい。ありがとうございます」
その日の夜。
その日の夕食も豪華だ。
明日にはお嬢様とフェルソニー様が出発するからだろう。
「では2人の新たな門出を祝って乾杯」
旦那様の音頭と共にディナーが始まり終始楽しそうな雰囲気のまま終わった。
その後嬢様の入浴の準備をしようと思っていた時、声をかけられた。
「メイド達から聞いたわ。今日、送別会をやるんですってね。私はもう大丈夫だから楽しんで来て」
「でも…」
「いいから!こういうのは大切にしなさい」
「分かりました。ありがとうございます。おやすみなさいませ」
「おやすみ」
事前に知らされていたキッチンへと向かう。
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