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「それとこれを渡しておくよ」
「なんですか?」
「婚約破棄で頂いた謝罪金だ。お前の自由に使いなさい」
それは王家からの謝罪金だった。
「よろしいのですか?家に迷惑をかけたのに」
「もらっておけば?」
そこでフェルソニー様がそう言う。
「いいんだよ。むしろこちらこそ謝らなければならない」
「そんな事!」
「いくら王家のためとはいえ長い間、お前を縛り付けてしまった。すまない」
お嬢様は少し考えた後
「ではありがたく頂戴します。ありがとうございます」
謝罪金を受け取り、深く頭を下げた。
「よし!これで話まとまったね。それで…悪いんだけど出発は2日後でいいかな?僕の都合でその日までに戻らないといけなくなったんだ」
「分かりました」
「本当に寂しくなるよ」
「ふふっ。定期的にお手紙を送りますから」
「絶対だぞ」
「お約束します」
「話は以上だ。シシーとアランドレには今この時から専属護衛としての仕事に着いてもらう」
「承知しました」
「失礼します。お父様」
「僕も失礼します」
そうしてお嬢様とフェルソニー様、専属護衛の2人と私の5人で廊下を歩く。
「無事決まって良かったね」
「お兄様、本当にありがとうございます」
「荷造りは進んでる?」
「はい。おかげさまで。あっそうだ!シシーとアランドレに紹介するのを忘れていたわ。私が1番信頼している侍女のネリアよ。旅にも同行してもらうから」
「初めまして。ネリアと申します。よろしくお願いいたします」
「シシーです。よろしくお願いいたします」
「アランドレです。よろしくお願いいたします」
「でもお父様はなぜ2人も付けたんでしょうか?探すのだって大変だったはずなのに」
「この国と違って外国はあまり治安の良くない所も多いからね」
「確かに」
「ねぇアランドレってちょっと呼びにくいからアランって呼んでいいかしら?」
「お好きなようにお呼びください」
「ありがとう」
部屋に戻ってからも荷造りを続ける。
「謝罪金があればそれほど売りに出さなくても大丈夫そうですね」
「なにを売りに出すって!?」
フェルソニー様がドアにもたれかかって驚いた顔をしていた。
「お兄様!」
「なんで?旅の費用が足りなかった?それならお兄様が出すよ」
「そういう事ではないんです。お兄様にもお父様にももう充分すぎるほどやって頂きました。ただ私には量が多すぎて持て余すのです」
「でもまたここに戻ってくるんだろう?それなら急いで手放す必要はないんじゃない?」
「そうでしょうか…?」
フェルソニー様のあまりに売らないで欲しいというオーラを感じてかお嬢様にも迷いが生じたようだ。
「そうだよ!こんなに可愛いのに…もったいないよ。せめて1回ずつ着てお兄様に見せてからにして」
「そうですね!やっぱりもう少し考えてからにします」
お嬢様も考えなおし、旅から戻ってきたらどこかに寄付しようかしら?などと言っていた。
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