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「ネリアちゃん、刺繍の受注の調子はどう?大変じゃない?」
「はい。たくさん注文を頂けるのはありがたい事なので」
「それでね、今は私がお客様から受注を受けてネリアちゃんに作ってもらって私がまた受け取ってお客様に渡しているけどそれだとややこしいじゃない?」
「確かに二度手間ではありますけど私はメイナーさんがいてくれて安心です。何より今はメイナーさんの所しか販売先がありませんし」
「そうよね」
メイナーさんはちょっと下を向いてそう頷いた。
「何かありましたか?」
「いえ、実は…刺繍の受注については専門の商会に頼んだ方が良いのではと思ったの」
「えっ?」
「もちろん私が信頼を置いている商会を紹介するわ。商会であれば一斉に注文を受け付けてそれを作って商会に決まった日に受け取りに来てもらって商会がお客様に渡す事になるから今よりネリアちゃんの負担も減ると思うの」
「メイナーさんの所に持って行くのも私の楽しみだったんですけど」
「そう言ってくれて嬉しいわ。分かった。まだしばらくはこのままで行きましょうか?ただ覚えておいて。これから注文が増えてネリアちゃんの余裕がなくなったら刺繍の受注については私が信頼している商会を通すわ。私も直接関わるつもりだから大丈夫よ。編み物とか他の商品についてはこれまで通りうちのサロンで販売するようにするわ。どうかしら?」
「分かりました。よろしくお願いします」
しかし、その日はすぐ訪れた。
注文が増えやはり商会を通した方が良いという話になったのだ。
「まずネリアちゃんの無理のない範囲で作業できる量を教えてちょうだい。それを基に受注数を商会と相談するわ」
「そうですねぇ。お嬢様の事もあるので1日5、お嬢様が実習などでいなければ1日10って所です」
「分かったわ。これで先方と話し合ってみるわ。ネリアちゃんにはこれだけじゃなくて色々な事をして欲しいから。これがネリアちゃんの自由や楽しい気持ちを奪う事になって欲しくはないの」
とメイナーさんは言ってくれた。
結局1週間に1回、商品を受け取りに来てくれて1度に受注するのは最大20まで。それが終わったら少し休みを取ってまた最大20まで受注、それを繰り返す。
あまりにもこちらにゆとりのある条件で驚いた。
「そんなのネリアちゃんは気にしなくて良いのよ。それであちらも納得しているんだから。ネリアちゃんへの代金の支払いは1ヶ月分まとめて月末に払うそうよ。それでも良いかしら?」
「はい」
「ごめんなさいね。商会を挟むと商品価格の全額は渡せないのよ。その代わりうちのサロンで販売しているものに関してはこれまで通りだし商会の方にも毎月売れ行きとネリアちゃんの労力に見合う金額を払うように言ってあるから。何かあればいつでも言ってちょうだい」
「ありがとうございます」
「それと今回入ってもらう商会の商会長を紹介するわ。ロム・エッダ夫人よ」
「初めまして。ロム商会、会長のロム・エッダと申します。よろしくお願いいたします」
商会長は女性だった。
商会というのは大体男性が多かったから今回もそうかと思っていた。
「初めまして。ネリアと申します。こちらこそよろしくお願いいたします」
「彼女は敏腕なのよ。だから安心して」
「はい。よろしくお願いいたします」
こうしてメイナーさんのおかげでトントン拍子で話が決まった。
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