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今日はメイナーさんの所へ納品の日だ。
納品を終えメイナーさんと話しながらお茶を飲む。
「今回もありがとうね」
「こちらこそありがとうございます」
「ねぇネリアちゃんは刺繍もできるのよね?」
「はい」
「刺繍の商品を作るつもりはない?」
「えっ?」
「いや、ネリアちゃんの売れ行きは好調よ。でもこれから暖かくなってくるじゃない?やっぱり暖かくなると毛糸は人気が下がってしまうの。逆に刺繍は人気なのよ。だからどうかしら?」
「分かりました。どんなものを作ればいいですか?」
「えっ?いいの?」
「はい。刺繍はよくやっているので」
メイナーさんと話し合ってとりあえずハンカチや巾着袋、受注を受けて名前を刺繍する事も考えた。
「受注はまた考えるとしてもとりあえず刺繍で好きなもの作ってみてよ」
「分かりました」
メイナーさんと話した内容を忘れないようメモをする。
すると
「あっそれ、シリルと一緒に買った万年筆かしら?」
「あっそうです。書きやすくてとても重宝しています」
シリルさんと買った万年筆は自分で書き心地やデザインを見て買ったものだ。
デザインもワンポイントでシンプルだし微かにラメが散りばめられているのも気に入っている。
メモを終え私は言った。
「すみません。今日はこれで失礼します」
「えっどうしたの?」
「お嬢様が帰ってくるまでに求人も見て回って買い物も済ませてしまいたいので」
「ネリアちゃん、仕事を探しているの?」
「いえ。ただフェルソニー様の喪が明けたら仕事をしようかと考えていて今から色々調べておきたいだけです」
「そう。そのフェルソニー様の喪が明けるのはいつ頃なの?」
「あと約4ヶ月です」
「そうなのね。ねぇもし良かったらうちのサロンで働いてみるのはどうかしら?」
「えっ?」
「あぁごめんなさい。ネリアちゃんのしたい仕事がなければの話よ。4ヶ月先の仕事を今から探すのも大変でしょ?これから先どうなるかも分からないし。もちろんネリアちゃんの気持ちも変わるかもしれない。でもうちだったらある程度融通はきくし何よりネリアちゃんの商品を手に取っているお客さん達を近くで見る事ができるわ。どうかしら?」
「どうかしら?と言われても…」
「そうよね。ゆっくり考えてみて。うちのサロンもちょうど人手不足で困っていたしネリアちゃんなら大歓迎だから。でもね、商品を購入してくださるお客様を直接見るというのは作り手としてとてもモチベーションになる事だと思うのよ」
その日は結局、「ありがとうございます」と言って帰ってきた。
求人も見て回っても当たり前だが、やはり4ヶ月先まで待ってくれる求人はなかった。
それでも目ぼしい所はいくつか見つかったのでまた近くなったら改めて考えてみようと思う。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




