191(カトリナ視点)
そして迎えたお兄様の葬儀の日。
喪服を着て朝から大勢の参列者と言葉を交わす。
皆、言う事は決まっていて「この度はご愁傷様です」とか「お悔やみ申し上げます」とかだ。
少し親しい人達は「つらかったね」とか「私にできる事があったら言って」とか言ってくれるけどなんて返せばいいのか分からなかったからただ静かに頭を下げ続けた。
そうして人が落ち着いてきたかなと思っていた頃、見知った人が現れた。
カドーニ王国でお世話になったロランさんとライドさんだ。
「ライドさん、ロランさん…!」
「カトリナちゃん、久しぶりだね。この度はお悔やみ申し上げます」
2人の表情は今にも泣きそうだったのに無理しているのが分かった。
「来てくださってありがとうございます」
「当たり前ですよ」
参列者が全て揃った頃を見計らって教会の神官によるお祈りが始まる。
会場には啜り泣く声が聞こえたが私は実際に葬儀となれば不思議と涙は出なかった。
あるのは心の中の虚無感だけだった。
やがて葬儀が終了すると今度は故人の思い出を語る時間だ。
ここで帰りたい人は帰る。
そのお見送りもあって私達が座る暇はない。
「カトリナちゃん」
見送りが落ち着いた頃、ライドさんに声をかけられた。
「ライドさん!本日はありがとうございました」
「いや、お疲れ様。疲れたでしょ?ずっと立ちっぱなしだったから。座って」
「いえ。そんな。私が座ってライドさんを立たせるわけにはいきません」
「いいから!」
そうして椅子に座らせられた。
「ありがとうございます…」
「あっなんか飲み物持ってきてもらおうか?」
「いえ。大丈夫です」
「こんにちは。カトリナさん」
その時、ロランさんも声をかけてくれた。
「はい、飲み物です」
と飲み物まで手渡してくれた。
「あっありがとうございます」
「いえ。こんな事を聞くのはありきたりですが大丈夫ですか?」
「はい」
「本当にありきたりだな」
「でもありがとうございます」
「これもありきたりですが、何か僕達にできる事があれば言ってくださいね。フェルソニーからも頼まれていますから」
「えっ?」
「フェルソニーに自分に何かあったら妹を頼むって言われてるんだ」
「そうですか…」
「フェルソニーは最後までカトリナちゃんの事を心配してたよ。普段なら手紙なんて滅多に来ないのにフェルソニーから急にポッと来たんだ」
「驚きましたがその時にはもう手遅れだって。妹や家族の心配ばっかりしてたよ…」
ライドさんが目に涙を浮かべる。
「カトリナちゃん、泣きたい時は泣いても良いんだぞ」
その言葉には内心驚いてしまった。
私は泣けない人だと思われているのかと思った。
そんな事はないのに。
そう思うと心の中の何かが切れた。
私は2人にお礼を言うと早足で会場を抜け出し自分の部屋で1人泣いたのだった。
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