178(シシー&アランドレ視点)
それはお嬢様がヘルムード学院に入学して1ヶ月が経とうかという頃。
実はあの後、お嬢様は難関と言われるヘルムード学院に合格し学生生活を送っている。
その日私達は出かけていて知らなかったが帰宅していつもと違う雰囲気を感じネリアさんに聞くと
「フェルソニー様が疫病でお亡くなりになったんです。その事でお嬢様はとても動揺されています。しばらく学院もお休みを頂きご実家の方へお帰りになるのでいつでも出発できるよう準備をお願いします」
そう言われ絶句した。
「えっ?」
やっと出た言葉はそれだった。
「今日連絡があったんです…」
ネリアさんも暗い表情をしている。
「分かりました」
それだけ言って私達は部屋に戻った。
そこから実際に帰るまでの間はあまり覚えていない。
なぜかというとお嬢様はほとんど部屋に篭って私達も準備に追われていた。
特にネリアさんはお嬢様の代わりにたくさんの準備に追われていてそれを手伝ったりしていた。
そうしてやがて今日帰らなければならないという日。
ネリアさんが声をかけお嬢様が出てきた。
「行きましょう」
それだけ言って馬車に乗り込む。
道中はとても静かだった。
旅の道中よりも喋らない。
その状態のまま屋敷に到着すると暗い顔ながら屋敷の人達全員で出迎えてくれた。
お嬢様は旦那様と奥様を見た途端、泣き出した。
今まで気を張っていたのだろう。
両親の元で過ごしている間は少し穏やかだった気がした。
葬儀当日。
私達は会場周りの警備をしていたが、さすが公爵家というだけあって参列者は数千人に上った。
参列者は皆、目に涙を浮かべお嬢様達と言葉を交わす。
その度に暗い顔で丁寧に礼をしている。
葬儀が終わってからも旦那様は引き継ぎなどで忙しそうだった。
いつもフェルソニー様から頂く事が多かったからどうなるかと思っていたけど私達の専属護衛としての給金についてもありがたい事に継続してもらえるようだ。
「これからもよろしく頼む」
「もちろんです。こちらこそよろしくお願いいたします」
旦那様の執務室に呼ばれてその事について話をした。
旦那様も大変なはずなのにお嬢様を含め家族にはそういう姿をあまり見せていなかった。
またお嬢様も葬儀終了後に旦那様の執務室に呼ばれていて内容は分からないがかなり長い時間、話し込んでいた。
そうしてシスカ公国に帰らなければならない日。
屋敷の皆に見送られ旅立った。
行きよりも帰り方がお嬢様も覚悟が決まった顔をしていた。
それもそのはず。旦那様から後継者についての話があったようだ。
これからどうなるかは分からないが、お嬢様がどんな選択をしても専属護衛として側で見守りたいと思った。
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