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やがて久しぶりの祖国へと到着した。
しかし当然、楽しい雰囲気などではなく静かな時間が流れた。
屋敷の前では使用人達や旦那様、奥様が暗い表情ながらも出迎えくれた。
「お母様〜お兄様が…お兄様がぁ」
お嬢様は旦那様と奥様を見た途端、泣き出す。
お嬢様にとってはもう旦那様と奥様が本当の親なのだろう。
「分かっているわ」
旦那様と奥様はひたすら「分かっている」と言いながらお嬢様を抱きしめる。
屋敷は重苦しい空気に包まれている。
私もサリーやレーナとの再会が心の底から嬉しいものとは思えなかった。
使用人も皆、表情は暗い。
しかしそれでも葬儀に向けて準備は進んでいく。
今回は疫病予防の観点からすでに遺体は焼かれ遺骨のみでの葬儀となる。
また火葬の際も誰も立ち会えなかった。
遺族には遺骨のみが引き渡されコクルト国の叔父様が受け取りそれをこちらに送ってもらったという形だ。
お嬢様が少し落ち着いて旅立った時のままのお嬢様の部屋へと通される。
ちなみに私の部屋もそのままの状態で残していてくれた。
私は懐かしく思いながらも慣れた手つきでお茶を淹れる。
お嬢様も旅立った時と同じ部屋を懐かしく思っているようだ。
少し経って夕食の時間がやってきてお嬢様をダイニングへと案内する。
その後、配膳も行うがいつもような豪華な食事ではなく質素なものだった。
それをただ静かに食べる。
ダイニングに響くのはカトラリーがぶつかる音だけ。
やがて夕食を終えそのままお嬢様は旦那様に呼ばれていた。
私は夕食で使ったものを片付けていた。
片付けが終われば限られた時間ではあるが私達の夕食が待っている。
シスカ公国では自分達で作って食べていたがここではコックが簡単に作ったものや夕食の残りを分けて食べる。
食べている間もとても静かだった。
自分の夕食を終えお嬢様の部屋へ向かう。
今、お嬢様達はリラックスタイムのはずだ。
お茶も一緒に持って行く。
「失礼します。お茶をお持ちしました」
「ありがとう」
今のお嬢様は悲しそうではあるものの以前よりは落ち着いているように思う。
やはり両親と会えたからだろうか。
その後私は入浴の準備をしそれが終わったらお嬢様に声をかける。
「失礼します。ご入浴の準備ができました」
「ありがとう。入ってくるわ」
お嬢様が入浴している間、上がった際に着るバスローブを用意したり寝る前の支度の準備をする。
あれからシスカ公国でもマモッコを続けていた。
「気持ち良かった」
「良かったです。こちらへどうぞ」
鏡の前に座ってもらいスキンケアやヘアケアを念入りにする。
「終わりました。もうお休みになりますか?」
「ええ。休むからあなたも休んで」
「それではお休みなさいませ。良い夢を」
「お休み」
そうして私のお嬢様付き侍女としての1日は終了だ。
自分の部屋へと向かうとすでにサリーがいた。
これさえも懐かしい。
「お疲れ様」
「お疲れ様」
言葉は多くなく各自好きな事をしている。
私は日記を書きサリーは色紙で花を作っている。
フェルソニー様の葬儀に向けてのものだろう。
「手伝おうか?」
私は日記を書き終わり声をかけた。
「これをこうしてこうするの」
サリーに作り方を教えてもらい何個も量産していく。
「明日は忙しくなるわよ。寝坊しないでね」
「分かったわ」
「お嬢様の様子は?」
「まぁね」
私はなんて言えば良いか分からず含みのある言い方をしてしまった。
「そう」
それはサリーにも分かったようでそれだけ言った。
「とりあえずこれくらいかしらね。寝ましょう」
「いいの?」
「私達も休まなきゃ。おやすみ」
「おやすみ…」
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