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その知らせが届いたのはお嬢様がヘルムード学院に入学して1ヶ月が経とうかという頃だった。
その日はお嬢様は学院で最初に手紙を受け取ったのは私だった。
フェルソニー様が療養していた施設からと叔父様から。しかもいつもと違って速達で。
なんとなく嫌な予感がしてお嬢様の元へ走った。
そして門の前に立っている警備の人に事情を話したら見学の際にお世話になったキャメロンさんが来てくれてお嬢様の所まで案内してくれた。
「お嬢様!」
「ネリア!どうしたの?」
「これ…」
私は受け取った手紙を渡す。
私の差し迫った表情を見てお嬢様も急いでそれを受け取る。
お嬢様が中身を確認している時間は長く感じられた。
そしてお嬢様は力なく崩れ落ちた。
私が間一髪頭を打つ前に支えたが、その顔を生気を失っていた。
「お嬢様!大丈夫ですか?」
見れば涙を流している。
「お兄様…お兄様が亡くなったそうよ」
お嬢様が私にだけ聞こえる声で言う。
「えっ…」
私も一瞬、言葉が出なかった。
しかしこれに気づいたキャメロンさんも
「大丈夫ですか?どこか調子が?」
と声をかけてくれた。
「とりあえず今日は帰らせてもらいましょう。キャメロンさん、すみません。お嬢様は調子が優れませんので早退させて頂いてもいいでしょうか?」
私がお嬢様に代わってキャメロンさんに伝える。
するとキャメロンさんもただならぬ雰囲気を感じたのかすぐに
「もちろんです。カトリナさんの荷物持ってきます」
と言ってくれた。
結局、先生へのお知らせも荷物を持ってくるのも帰りの馬車を呼ぶのも全てやってくれた。
私は生気を失ったお嬢様をなんとか馬車に乗せ家まで向かう。
私も正直、信じられないがこれから忙しくなるだろう。
私だけでもせめて冷静でいなければいけないと思っていた。
家に到着するととりあえずお嬢様を落ち着かせる。
お茶を淹れて持って行った。
コンコン。
「失礼します。お加減はいかがですか?」
お嬢様は馬車に乗った辺りからずっと泣いている。
シシーとアランドレも何事かと心配していたため共有すると2人も言葉を失っていた。
「グスッグスッ…」
お嬢様から返事はない。
「これを飲んで今日はゆっくりお休みください。また何かあればお知らせしますから」
「分かったわ」
私はお嬢様の前にお茶を置き部屋を出た。
その日は1日、食事の際も食欲がないと言って食べなかった。
お嬢様を除く3人の食卓でさえ暗い雰囲気だった。
誰もが無言で食べるだけ。
あれからお嬢様は自分の部屋で過ごす時間が圧倒的に増えた。ご飯も自分の部屋。行けば入れてくれはするものの必要以上に介入しないようにしている。
必要以上に入ってくるなという雰囲気を全身に纏っているからだ。
旦那様から今回は疫病のため遺体はないが、形だけでも葬儀をやりたいので帰って来てくれないかという連絡を受けた。
お嬢様に相談した所、帰るというので学院に電話し事情を説明すると忌引き休暇をもらえるという事なので心配はない。
そうして迎えた出発当日。
喪服などを持って向かう。
幸い疫病は祖国までは広がっていないようだ。
さらに叔父様も罹ってはいない。
それだけでも今は救いだった。




