166(フェルソニー視点)
それからカリアンの言う通り、すごく忙しくなった。
さらにあれから連日この事件について報道され遂には国王が声明を出す事態となったのだ。
その声明は日刊紙にて掲載され、全国民が見れるよう掲示板などにも貼り出された。
そこには国民を混乱に巻き込んだ事への謝罪と大臣など政治を取り仕切る者の総入れ替えなどを行うと書かれており、これにより王室への批判はないとは言えないものの収まりを見せた。
また隣国との緊張状態も緩和され同盟交渉に入る事となりこれで隣国に派遣されていた騎士団も無事戻って来られると思っていた矢先、隣国で疫病が発生した。
情報局が情報を集めているが派遣されている騎士団に感染者がいるのかもまだ分からない。
ただ疫病が出た以上いつ、どこまで広がるかは未知数だ。
カトリナはなるべく早く両親の元へ帰すべきだと思った。
なのにカトリナは断固として首を縦には振らない。
それどころかマスクという疫病を防ぐものまで開発したという。
本当に以前の大人しい淑女のカトリナとは大違いで驚く。
改良を重ねてやっとできたというマスクを僕を含めて周りの人達全員に配っていた。
この時にはもうコクルト国に疫病が広がる一歩手前くらいの状況だったので外出を控える人も多く僕もそのマスクとやらを付けて出勤した。
「おはようございます」
まずそのマスクに目をつけたのはエヴァとオーガストだった。
「これ、何ですか?」
「僕の妹が作ったマスクという疫病を防ぐためのものなんだ」
「えっ?そんなものがあるんですか?」
「ああ」
「私もつけてみたいです」
僕は誇らしくなった。
実はカトリナから周りの方にもどうぞと僕の分だけではなく何枚かもらっていたためそれを渡す。
「これ」
「ありがとうございます」
次は局長のカリアンが目をつけた。
書類を渡しに行った時。
「なんだ?それは」
「妹が作ってくれた疫病を防ぐためのものだよ」
「そんなものがあるのか?」
「ああ」
「私も欲しいな」
その言葉を聞いた瞬間、僕は口角が勝手に上がった。
「そうだと思ったよ。これ」
そうして1枚渡す。
「良いのか?」
「ああ。大切に使ってくれよ。それと使ってみた感想も教えてくれと妹に頼まれてるんだ」
「ありがとう。妹さんにもお礼言っといてくれ」
「ああ」
それから瞬く間にマスクの話は広まり欲しいという人が僕の所に殺到した。
その事をカトリナにも話すとやはり他の所でも欲しいという人は多いらしくすぐに新しいマスクをくれた。
「良かったです。好評みたいで」
「うん。ありがとう。すぐに渡すよ」
「よろしくお願いしますね」
そうして欲しいという職員全員にマスクを渡し職員だけではなくもちろん自分も日々それをつけて仕事に励んでいた。
なのに自分が罹るなんて思いもしなかった。
情報局の仕事の特性上、完全に書類仕事だけにする事はできない。
やはりこちらからさまざまな場所に出向きさまざまな人と接触する必要がある。
たぶんその過程で感染したのだろう。
それに気づいたのは昨日の事。
いきなり咳が止まらなくなったのだ。
元々、疫病にはこういう症状があると聞いていたから怪しいと思った。
それからすぐにカリアンに手紙でその事を伝えると感染者専用の療養施設に行くように言われた。
それにありがたい事に手配は全部やってくれると言う。
確かに情報局内部でもいつ誰が罹るか分からない状況で実際に罹った者もいたようだからそういう手配はもう何回もやっているだろう。
僕自身も療養施設に行くべきだと思ったためお願いをし叔父様にも念のため報告の手紙を書いた。
療養施設に行くと言ったら私が面倒を見ると言ってくれた。
カトリナには心配はかけたくないが、療養施設に行くならどうせバレてしまうだろう。
それなら最初から言ってもらった方がいい。
そこで特にカトリナには秘密にとかは書かなかった。
そして療養施設に行く当日。
時間になると専用の馬車がやって来て迎えに来てくれた人と共に療養施設へ向かう。
そこには他にもたくさんの患者がいて世話をする人が忙しく歩き回っている。
自分の部屋へと案内され持って来た少量の荷物を解く。
部屋にはベッドと机くらいしかない質素な部屋だ。 ここにいる人達は外出は禁じられている。
その代わり親族との面会は申請と療養施設側の許可があればできる事になっているが状態を詳しく確認できるまではそれも禁止されている。
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