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「ねぇ、デザートにこの野菜のシャーベット頼んでみても良いかしら?」
お嬢様は私に聞いてきた。
「お嬢様のお好きにどうぞ」
でもお嬢様が私に聞く必要はなく好きにすれば良い。
「じゃあ頼むわ。すみません〜」
結局、お嬢様はデザートにトマトのシャーベットを頼んでいた。
「ここは他では見た事のないものがたくさんあるわね。さっき水車なんかも見えたし」
「そうですね」
「ねぇ?みんなはここでも何かするつもりはあるの?」
お嬢様が私達に聞いてくる。
「そうですね…私は適当にウェイターでもやってみようかと。制服が可愛い所が多そうですし」
そうなのだ。
さっきお店を探していた間も可愛い制服を着た人達が多かった。
「学院内には学生や職員の出入り以外は制限されているみたいだしせっかく2人のついて来てもらったのに申し訳ないわ」
「いいえ。私達も自分達の食いっぷちくらいは稼ぎたいと思っていますので。ゆっくりですが何か探そうと思ってます。でも私達は護衛とか警備とかしかやって来なかったので他にできる事があるのか分かりませんが」
「シスカ公国でも警備をやればいいじゃない」
「こんなに発展している国で警備なんて必要なのかどうか」
私とお嬢様は前世があるので慣れていたが、シシーとアランドレにとっては初めての光景なはずだ。
「あら!いくら発展してようと警備は必要よ。むしろ重宝されるかも」
「そうですか?」
「それに2人は剣の心得もあるじゃない?きっとすぐ見つかるわ」
「そうですね。お嬢様に言われたらそんな気がしてきました」
そうやって4人で楽しい時間を過ごしてアパートに帰宅した。
シスカ公国の家は3部屋しかない。
その中で1番大きい部屋をお嬢様、残りの2部屋を私達使用人が男子で使っているため私はシシーと同部屋だ。
どちらかと言えば2人とも寝るだけの部屋なのでそんなに問題はない。
「明日は買い物に行きたいわ。家のものをもう少し揃えたいのよね。いつまでも外食っていうわけにもいかないし」
「承知しました。シシーとアランドレにも伝えておきます」
お嬢様の就寝前の支度を手伝いながら話した。
翌日。
私達は街へと出かけた。
街には色々なお店が立ち並んでいる。
「どこから回りましょうか?」
お嬢様も迷っているようだった。
しばらく悩んだ結果、まずは生活雑貨の店へと向かった。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
入店した途端に店員がやって来た。
「あっお鍋が欲しくて」
アパートには火を起こして使えるかまどはあるが、料理をするために必要な鍋がなかった。
「お鍋でしたらこちらです」
それからも家で必要なものを買い込み日用品、興味を惹かれたものを全て買って帰宅する。
でもここからが大変だった。
馬車から荷物を下ろし部屋へ運んで1つ1つ解いていく。
「これはこっちに。それはこっちに」
4人で手分けしてやっていくが、なかなか時間のかかる作業だ。
「このマグカップ可愛いのよね。これで勉強も捗りそうだわ」
実は4人でそれぞれ好きなマグカップを選んだ。
今までは誰かしらいたので完全に4人での生活は初めてだ。
「それにしてもこんな自由に出かけられるなんて久しぶりね。ここにいたら疫病の事なんて忘れてしまいそう」
街でそう言ったお嬢様の表情は切なかった。
でも確かにここにいると忘れてしまいそうだ。
そのくらいここではなんでも自由にできる。
そしてなんとか日が沈んだ頃には荷解きを終え、殺風景だった部屋がちゃんと人の住んでいる部屋になった。
私はさっそく今日買った鍋を使って記念すべきこの家で1回目のご飯を作り始める。
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