144(カトリナ視点)
と言っても最初は簡単ではなかった。
なにせ布のマスクを作るのは初めてなのだ。
それでもなんとか勘を頼りにやっていくとそれっぽいものができそれを屋敷の皆に使ってもらう。
最初はサイズや素材、縫い目などに関する指摘が多かったがそれも段々と減ってきてやっと理想的なものができた。
サイズは豊富し毎日、つけても飽きないよう柄も上手く組み合わせた。
この国にはミシンのようなものはないので全て手縫いで時には屋敷の使用人にも手伝ってもらってとりあえず200枚を目標に作っていた所、ついにコクルト国でも疫病が確認されてしまう。
私達は急いで叔父様に商会を紹介してもらった。
それと同時に私達の周りの人達にもマスクを配る。
屋敷の皆はもちろんその家族や騎士団、ネリアのパン屋、お兄様にクライドさん、お父様やお母様まで渡せる人には全て渡した。
そして商会の方も早急に準備を整え売り出す。
「初めまして。ミール・カトリナと申します」
「初めまして。私はコニー商会長のパニートと申します。お話しは事前に」
「ではさっそくあなたの商会でこれを売って頂きたいのです」
私はマスクを商会長に差し出す。
「今、流行っている疫病を予防できるマスクというものです」
「ああ…これが。少し見ても良いですか?」
「どうぞ。商会長さんも使ってみてください」
「良いんですか?」
「ええ。そこの紐の部分を耳に掛けてください」
この国にはゴムはないため今回はゴムではなく紐で好きに調整できるようにした。
「うん…苦しいとかもないですし柄も豊富だし何より今は皆、疫病を1番心配しているので売れると思います」
「良かったです。とにかく急いでください」
「分かりました。では今ここで契約しましょうか」
「今?」
「はい。事前にお話しを頂いて良いなと思ったので契約書を作ってきました。あとはサインだけです」
「ちょっと待ってください。自分だけでは不安なので持ち帰って検討させて頂けませんか?」
「もちろんです。念のため重要な部分だけ説明させてください。うちでは売り上げに応じて1〜2割、最大3割お礼金として契約者様に差し上げています」
「はい」
「今回は初めてなのでとりあえず1割からのスタートです」
「はい」
「あとはご確認頂ければと思いますが、とりあえず今回はうちの独占販売とさせて頂いております。また販売先を拡げたいなどありましたらご相談ください」
「分かりました」
「他にご質問などはありますか?」
「いいえ。大丈夫です」
「では今日はこれで失礼いたします」
「ありがとうございました」
そして商会長を見送り、すぐに叔父様にも契約書を確認してもらう。
(一応ね…詐欺とかだったら怖いもんね。念のため念のため!)
そう思いつつ大丈夫だという事でサインをした。
翌日。
その書類を渡すついでに商会も見ておきたいので自分達から商会に出向いた。
すると商会ではたくさんの人が働いておりキビキビ動いている。
「うちに何かご用でしょうか?」
へぇ〜と観察していると声をかけられた。
「あっすみません。私、ミール・カトリナと申します。商会長さんにお渡ししたいものがありまして」
「分かりました。少々お待ちください」
その後、話を聞いた商会長がすぐに出てきた。
「カトリナ様、わざわざご足労頂きありがとうございます。書類の件ですか?」
「ええ。書いてきました。これからよろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくお願いいたします。でもわざわざこちらに来て頂かなくてもこちらから出向きましたのに」
「商会の様子も見ておきたくて」
「そうですか。では少し案内させて頂きますね」
それから商会長自ら案内してくれた。
「商会の1番目立つ場所にもマスクを置く予定です」
無事商会も見れて、皆にマスクも渡せて私は安心しきっていた。
これから最もなって欲しくない人がなってしまうとは知らずに。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




