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しかしそれからお嬢様は私の心配に反してしっかり食べてしっかり眠り、無理はせずに勉強を続けていた。
また勉強に集中するため針子の仕事も辞めた。
疫病の影響で外出を控え、人との接触も控えるようにという事でほとんど休みになってしまっていたので辞めても影響は少ないようだ。
「それに退職金のもらえたし感謝だわ」
と笑顔で言っていた。
一方、私の方もパン屋などのお店はほとんどが休業状態で私の所もそれは同じだった。
この国に来た頃は人手が足りず猫の手も借りたいと言っていたのにもうその面影はない。
この間シスカ公国に行く事になるかもしれないと手紙を書いた際は「頑張って行って来て」とむしろそれを歓迎しているかのような返事になんだか寂しくなった。
でも分かっている。
この大変な時期に皆、自分の生活を守るだけで精一杯なのだ。
人にかまっている心の余裕なんてないのだろう。
実際に日々報道される内容や屋敷の人々を見ているとだんだんと疲弊しているのが分かる。
今までは侍女の仕事にパン屋の仕事、休む暇なんてなかったが今は自由な時間の方が多くなった。
その時間でお嬢様に頼まれていた手紙や書類の整理やいつもより念入りに部屋の掃除をするなど後回しになっていた事をする。
その他にも外出はできないため部屋でできる事を考えてやってみる。
本でシスカ公国の事を勉強したり、薬草の事も少しだけ学んだ。
ちなみにヘルムード学院の学費はお嬢様が今まで貯めたお金で自分で払う事にしたそうだ。
「今まで稼いだお金もあるし払えるわ。何より自分で払いたいの」
「住む所はどうするんですか?」
「心配しないで。叔父様がヘルムード学院近くのアパートのような部屋を押さえてくれたの。なんでもそこのオーナーと知り合いみたいで安く貸してくれるって。最初は断ったんだけどこれくらいしかできないからって。あっもちろんあなた達がお父様の屋敷へ戻りたいと言うのであればそのようにするつもり。後でシシーとアランドレに意向を確認するわ」
これは完全に初耳だった。
「えっ?お嬢様1人で行くつもりだったんですか?」
「だって当初の予定とはだいぶ変わっちゃったし。本当はもっとゆっくり家を探してって思ってたんだけど…」
「お嬢様を1人にするなんてあり得ません!」
「ふっ…それを聞いて安心した。これからもよろしくね」
「はい!」
「他に何かしなきゃいけない事はあったかしら?仕事も大丈夫だしシスカ公国の方も大丈夫そうだしあとは…クライドさんにも手紙で伝えたし大丈夫ね。挨拶に行けないのが残念だけど仕方ないわね」
「はい。特に大丈夫だと思います」
「じゃあ後はひたすら勉強してお父様にお許しを頂くだけね」
「でも無理しないでくださいね」
「大丈夫。もう無理はしないわ」
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