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お嬢様は帰りの馬車の中でもずっと泣いていた。
誰も何も言えない重苦しい空気が流れる中で私はただただお嬢様に寄り添う。
やがてお嬢様は涙を拭う。
「グスッ…帰ったらすぐお父様に手紙を書きます。一刻も早く入学を許してもらわなければ」
「許しを得るのも大事だが勉強も忘れるなよ。あそこの生徒達は入学時点であの手の本は全て読破していると聞く」
「もちろんです。全てクリアして一刻も早く入学します」
そう言うお嬢様の目には青い炎が燃え上がっているように見えた。
「そうか。今ある問題を全てクリアできたら私が推薦書を書いてやる。カトリナの場合、薬についての実績が何もないから試験を受ける事も難しいだろう。だが推薦書があれば受ける事ができる」
「でも皆さんは実績を作ってから受験するのではないですか?」
「確かにヘルムード学院は何歳からでも受験できるため実績を作ってから受験する生徒もいる。しかし推薦書をもらって受験する生徒が大半だ。ただし推薦書をもらっても合格できるかどうかはまた別問題だがな」
「分かりました。全てクリアできた暁にはよろしくお願いいたします」
「ああ。いつでも書けるよう準備しておく」
「ありがとうございます」
お嬢様は屋敷に着いてからすぐに旦那様への手紙を書き始めた。
「これ、出してきてくれる?それとこれからは毎日書くから便箋の用意もお願い」
「かしこまりました」
「これから勉強するからもう下がって良いわよ」
「承知いたしました」
それから私は毎日お嬢様の書いた手紙を出しに行き勉強しているお嬢様は邪魔しないよう屋敷の仕事がない時は自分の部屋で過ごす時間が増えた。
その機会にお嬢様に頼まれていた手紙の整理や書類の整理をしちょっと念入りに掃除をしたりする。
パン屋にももしかしたらシスカ公国に行く事になるかもしれないと手紙を書いたし久しぶりに屋敷のサリーやレーナ、コクルト国でお世話になった方々にも手紙を書いてみた。
そんな事をしている内にお嬢様達の夕食の時間となった。
私は部屋を出てダイニングなどの必要な準備を手伝ったらお嬢様を呼びに行く。
コンコン。
「お嬢様、夕食のご準備が整いました」
「ごめんなさい。今、忙しいから後で食べるわ」
と中から声が聞こえる。
「かしこまりました」
私はそれを叔父様にも伝えに行く。
「夕食は後で食べるとの事でした」
「そうか。頑張っているんだな。ただカトリナは頑張りすぎる傾向があるから注意してみてやってくれ」
「かしこまりました」
「それと後でカトリナの部屋に食事を持って行ってやってくれ」
「承知いたしました」
私は自分も夕食を摂った後、疲れが取れると言われているスパイスが配合されたモク茶と一緒に夕食を持って行く。
するとお嬢様はひたすら読みながら何か書いている。
「失礼します。食事を持ってきました」
「ありがとう。そこに置いておいて」
「頑張るのは良い事ですが少し休憩しては?疲れが取れると噂のお茶も用意しました」
「ここまでやったら休むわ。ありがとう」
「ではこれで失礼しますが無理しないで休んでくださいね。また就寝準備の際に伺います」
「あっ今日は寝る用意も自分でするから大丈夫よ。今日はもう休んで」
「良いんですか?」
「ええ。おやすみなさい」
「ではおやすみなさいませ」
まだこの時はそこまで心配はしていなかった。
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