133
迎えたフェルソニー様との面会当日。
準備をしてフェルソニー様の療養先に向かった。
療養先は馬車で1時間ほどかかる場所にあり他にも隔離されている患者がいるようで部屋のドアは全て閉め切られている。
「こちらです」
フェルソニー様の部屋の前まで案内されたお嬢様は緊張している面持ちで何度か深く息を吐く。
まず最初に叔父様がフェルソニー様と話してくれた。
「フェルソニー、私だ。体調はどうだ?今日はカトリナも連れて来たぞ」
とドア越しに話しかける。
「ゴホッゴホッ、カトリナ…?」
「ああ。そうだ。ここにいる」
「はい。お兄様、お加減はいかがですか?」
「ああ。その声はカトリナだ。ゴホッ」
「はい。カトリナです。お兄様」
お嬢様はすでに目がウルウルしていて今にも泣き出しそうだ。
「カトリナ、泣かないで」
「なんで分かるんですか…」
「あっ合ってた。ゴホッ…僕はカトリナの事ならなんでも分かるんだ」
「ふふっ。そうでしたね」
お嬢様は泣きながら笑っている。
「ああ…慰めてあげたいけど無理だな。ゴホッゴホッ…ごめんね」
「なに弱気な事言ってるんですか。早く治していつもみたいに慰めてください」
「あはは…頑張るよ」
そう言うフェルソニー様の声は元気に振る舞おうとしているが弱々しい。
「はい。頑張ってくださいね。私も頑張りますから」
「薬の…ゴホッ勉強したいんだって?」
「はい。まだお父様からお許し頂いておりませんが」
「ははっ。難しいだろうなぁ。ゴホッ…父上はカトリナの事すごく心配してたから」
「それを言うならお兄様もですよ。お父様もお母様もお兄様の体調、すごく心配していました」
「僕は最後まで親に心配かけるゴホッ…だめな息子だね…」
「そんな事、ありません!お父様もお母様もこっちに来て会いたいと言っています」
「悪いけどそれは断っておいてくれ。家族に迷惑はかけたくない」
「分かりました。では何か伝言はありますか?」
「伝言か…」
フェルソニー様は少し考えた後、言った。
「こんな息子でごめんなさい。2人の息子として生まれてきて幸せでした。今までありがとうございました。かな?」
ここだけは咳もせずはっきりと言い切った。
「そんなこれで最期みたいに言うんですか。それはご自分で言ってください」
お嬢様は泣きながらも必死に平然と振る舞う。
「ゴホッゴホッ…ふふっ」
「今日は渡したいものがあるんです」
「なに?」
「これ受け取ってください」
お嬢様はそれをドアの隙間に差し込んだ。
それは身につけるとその人を守ってくれると言われている石のネックレスと新たに刺繍した巾着。
ネックレスは中に好きな物を入れられるようになっていて今は家族写真が入っている。
「すごいなぁ。ありがとう。ゴホッ」
「ぜひ使ってください」
「うん。たくさん使うよ。ゴホッ…ああ。今すごくカトリナを抱きしめたいけど無理だ。ゴホッ…父上と母上の事よろしく頼む。カトリナ、ありがとう。僕はいつでもカトリナを思ってるよ。我が愛しの妹」
「私こそありがとうございます。お兄様のおかげでリラックスパンツも好調ですしたくさん助けられています。だからこれからもどうか一緒にいてください。我が愛しのお兄様」
お嬢様は泣きすぎて後半の言葉はほとんど言えてない。
「ははっ。嬉しいな。ゴホッゴホッゴホッ…そろそろ疲れたから休むよ。叔父様もありがとうございました」
「ああ。分かった」
私達は号泣しながら後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




