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それから私達は叔父様に相談を持ちかけた。
「薬学を学びたい?」
「はい。まだシスカ公国では疫病の報告はされておりませんよね?」
「そうだが…それはフェルソニーのためか?」
「それもあります。しかしそれだけではありません。私が知りたいのです。薬学の知識があれば何かあった時、誰かの助けになれるかもしれません。いえ、なりたいのです」
お嬢様は真剣な目で訴える。
「本気なのか?シスカ公国にだっていつ疫病が広がるか分からないんだぞ」
「だから学びたいんです。祖国に帰っても疫病が広がらないとは限りません。それなら最後まで自分の好きな事をしたいんです。私は本気です」
「しかしもう兄上と帰る方向で話はついているしな」
「お父様を説得できれば行ってもいいですか?」
「それは…認める」
叔父様は迷っているようだった。
お嬢様に対する心配と夢を応援したい気持ちが入り混じっているように感じる。
「分かりました。では私がお父様を説得します」
そのまま立ち去ろうとするお嬢様を叔父様が引き止める。
「ちなみにどこで勉強をするつもりだ?」
「その研究所に直談判するつもりです」
「それよりヘルムード学院に行った方が良い。あそこは薬学を学ぶ者の登竜門だ。学ぶ以上まったく未経験では通用しないからこれで勉強しておきなさい」
叔父様が渡したのは何十冊にもおよぶ薬草の本だった。
「認めてくださるんですか?」
それを見てお嬢様が言う。
「あれだけ真剣に言われて叔父である私がだめだとは言えないだろう。しかし兄上がだめだと言ったら従いなさい」
「はい。もちろんです。ありがとうございます!」
お嬢様は自分の部屋に戻り、さっそく薬草の本を開き勉強していた。
私は静かに部屋を出る。
お嬢様の行動力は本当にすごい。
無事、お嬢様の願いが叶って欲しいそう思った1日だった。
2日後、再び私達は叔父様に呼ばれた。
あれからお嬢様は寝る間も惜しんで勉強している。
さらに旦那様を説得するため手紙も書いた。
簡単ではなさそうだが、できる事をしようと以前より前向きになっている。
「これをお父様に出してくれる?」
「承知しました」
「ありがとう。せっかくのチャンスだもの。頑張らなきゃね」
「応援しております」
「ふふっ。ありがとう」
私達が叔父様の執務室に向かうと叔父様は忙しそうに執務の最中だった。
「お忙しそうですね。出直した方がいいですか?」
「急に確認して欲しいという書類が来てな。もう少しで終わるからそこで待っていてくれ」
「分かりました」
お嬢様はソファに座り、私はお茶の準備をする。
「待たせて悪かったな」
叔父様も執務が終わり、ソファに座った所で私は2人にお茶を出した。
「ありがとう。それでお話しとは?」
「カトリナが希望していたフェルソニーとの面会の件だが扉越しでなら良いようだ」
「本当ですか!?」
「ああ。フェルソニー本人からも許可を得た。本人も楽しみにしているよ」
「本当にありがとうございます!嬉しいです」
お嬢様は何度も頭を下げる。
「当日は私も一緒に行く」
「分かりました。ありがとうございます」
「それで話は変わるが兄上の方はどうだ?」
「手紙を書きましたが返事はまだです」
「そうか。兄上も迷っているのかもしれないな。あっちなみに兄上に許可がもらえた場合、仕事はどうするつもりだ?」
「私達2人とも疫病が広がってからほとんど休みという状態ですし特に問題はありません」
そうなのだ。疫病が広がってから街にほとんど人はいなくなりパン屋も休業状態でお嬢様の針子の仕事も少なくなったため屋敷での仕事が今はメインになっている。
緊張状態が続いていた隣国との同盟交渉は疫病の影響で一旦ストップし隣国にいるフランさん達も帰ってきていない。
色々な事が止まっている。
「分かった。話は以上だ」
「叔父様、本当にありがとうございます」
「まだ試練は残っているだろ?」
「ふふっ。そうですね。頑張ります。失礼します」
そうしてフェルソニー様との面会が実現した。
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