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そして体調が回復したお嬢様に叔父様が改めて話をした。
「カトリナ、体調はどうだ?」
「おかげさまで回復しました」
「そうか。それは良かった。それで先日の件だが、私は意見を変えるつもりはない。その方向で兄上とも連絡を取っている」
「お父様と?」
「ああ。兄上もそれを歓迎していたよ。そっちにはまだ疫病は広がっていないようだしな」
「その事についてなのですがせめて最後にお兄様とお話をさせて頂けませんか?ドア越しでも良いので。そうしたらおとなしく両親の元へ帰ろうと思います」
「う〜ん…実際に実現できるかどうかは分からないが聞いてはみる」
「ありがとうございます。あのそれでお兄様の容体はどうなのでしょうか?」
「良いと言い切れる状態ではないが頑張っているようだ」
「それはすなわち悪いという事ですか?」
叔父様は言葉に詰まりながら考えて話しているのが分かる。
「知っているだろう?この病気は確かな特効薬はないんだ。その都度症状を緩和するための薬しかない。だから軽はずみに元気だとは言えない」
「確かにそうですね…」
「フェルソニーも弱っていく自分を見せたくないから両親の元に戻った方が良いと言っていた。また状況が落ち着いたらこっちに来れば良い。いつでも歓迎するよ」
お嬢様は何も言わないまま黙る。
深く考え込んでいるようだ。
「分かりました。でもそれはお兄様と話ができてからです。ですからどうかお願いしますね」
そのままお嬢様は部屋を出て行った。
無言のまま自分の部屋に戻り、突然涙を流す。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「ええ。少し身近な人が死んでしまうと思うと悲しくなっただけ」
「お茶を持って参ります」
「良いわ。大丈夫。大丈夫だからここにいて」
そのままお嬢様に引き止められそばにいた。
「これで最後になるかもしれないわね。旅に出た時はあんなに楽しい気持ちだったのに。こんな事になるなんて思わなかった」
「そんな事言わないで」
「私もカトリナに情が湧いたのかも。ここは小説の世界だって分かっているのに自分の事のように悲しいの」
お嬢様は顔を手で覆い泣き出す。
「そんなの当たり前です。私だって同じです。たとえ本人ではなくとも過ごした時間は本物ですから」
「でもそうね…本物のカトリナにも本当に兄を失わせる事になるのね…それは…それは…だめよ!」
お嬢様は感情を爆発させた。
「そんなの耐えられない…」
私はただただお嬢様を抱きしめて寄り添う事しかできなかった。
「そうだわ。私が薬の知識を学べばなんとかなるかもしれないわ。確か本で読んだの。シスカ公国に薬草の研究所があるって。そこに行けば何か分かるかもしれないじゃない」
「お嬢様落ち着いてください」
「シスカ公国にはまだ感染者はいないようだしこのまま嫌な思い出で旅を終わらせたくないの」
「ちょっと待ってください!落ち着いてください。私はお嬢様の身の安全のために一旦お屋敷に帰る事をおすすめいたします」
「心配はありがとう。私は落ち着いてるわ。お父様達の元へ帰っても感染が広がらないとは限らないしそれなら自分の好きな事をしたいわ。時間がないの!お願い」
今の私の立場はお嬢様の侍女。
私の役目はお嬢様を身の安全をそばで守る事だ。
その上でお嬢様の気持ちも痛いほど分かるし何よりお嬢様の切実な目を見てしまったら私は反対できなかった。
「分かりました。お嬢様の人生ですからね。叔父様に相談してみましょう」
「本当?」
「はい。ただしどうしてもだめなら諦めてくださいね」
「分かったわ。ありがとう」
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