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フランさん達率いる第一騎士隊が派遣されている隣国でなんと疫病が発生したのである。
その疫病は人から人へと感染し今のところ罹ってしまっても具体的な対処法はない。
そんな怖いものだった。
ただ幸い、隣国で報告されている患者はまだ数人で隔離されている。
コクルト国では感染は報告されていないが、この頃からフェルソニー様や叔父様からも帰った方が良いのではないかとの意見が出た。
それでもお嬢様は聞かなかった。
「隣国で疫病が出たようだし広がるのはあっという間だ。今のうちに兄上の所に帰った方が良いのではないか?兄上からも帰って来いと言われてるんだろう?」
「はい。ですが…私はこの機に乗じて新しい事を始めるつもりです。それが終わるまでは帰れませんし帰りません」
とまぁこんな態度だ。
「それともここにいるのはだめですか?」
最後にしゅんとした表情でそう言うと叔父様も完璧に陥落してしまう。
「いや…そんな事はないよ。でもその新しい事とはなんなんだ。良ければ教えてくれ」
「はい!名付けてマスクビジネスです!」
お嬢様は聞いてもらえて嬉しいとでもいたようにハキハキ話す。
「マスクビジネス…?」
でも叔父様はポカンだ。
それはそうだろう。この国にはまだマスクがない。
いや、あるのかもしれないけど皆使ってない。
疫病の報道がされた時からお嬢様と相談していた。
なんでも針子の仕事をしていると大量の端切れが出るらしくそれを使ってマスクを作れないかとお嬢様がひらめいたのだ。
「針子の仕事をしていると大量の端切れが出るんです。それを使ってマスクを作れないかと思って」
「そのマスク…とはなんだ?」
「あっ説明し忘れていました。すみません。マスクとは口元を覆うもので疫病に感染する可能性を減らせる事のできる魔法のアイテムです」
「そんなものがあるのか?」
「はい。こちらが完成予想図です」
私達は前世のマスクを紙に起こしそれを叔父様に差し出した。
「本当は布ではなく特殊な紙の方が良いんですが、今はとりあえず布で製作します」
「特殊な紙?」
「はい。正確に言えば繊維です。でも布で作ってもずっとつけてるのではなくて定期的に綺麗に洗ったり取り替えたりすれば大丈夫です」
「そうか…私に何か手伝える事はあるか?」
「ありがとうございます。ではこれから本格的に製作する予定なのでその都度意見をお伺いしたいのと完成したらそれを販売できる商会も紹介して頂きたいのです」
その瞬間、ぷっと笑ってしまった。
商会を紹介でダジャレになっている。
「申し訳ございません。ふっ」
笑いを抑えながら謝る。
「分かった。いつでも対応できるように準備しておく。他に必要なものがあればいつでも言ってくれ」
「ありがとうございます」
それから私達はマスクの製作に取り掛かった。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




