119(カトリナ視点)
その翌日、今日は朝早くから畑作業をして出勤した。
作業場へ行くために廊下を歩いているとフランさんとエイブリーさんに会った。
「よっ!カトリナちゃん」
「おはようございます。フランさん、エイブリーさん」
「おはようございます」
「これから仕事?」
「はい」
「じゃあ手短に。後で制服預けに行った時、相談があるんだ」
「今じゃだめなんですか?」
「今でも良いのか?」
「ええ」
「それなら。実はエイブリーが話したい事があるんだって」
「なんですか?」
するとフランさんが「ほら、言えよ」という視線を隣のエイブリーさんに送る。
「なんですか?」
「あー実はサーカス団のチケットをもらったのですが一緒に行く人がいなくて」
エイブリーさんは本当に困っているようだった。
「サーカス?」
「はい。有名なサーカス団らしいです」
「ちょっと観に行きたい気がします」
「本当ですか?」
「はい」
「ありがとうございます」
エイブリーさんは感激した目でお礼を言う。
「良かったなぁエイブリー。男同士で行ってもむさ苦しいだけだからな。俺達、困ってたんだよ」
「というか隊長もチケットもらったじゃないですか。それはどうするんですか?」
「誘う人もいないから誰かにあげようかな。とにかく俺は大丈夫だから2人で楽しんで来い」
「あっそれならネリアはどうですか?」
「ネリアちゃん?」
私もだがネリアもこの世界に来てサーカスを見るのは初めてのはずだ。
「ネリアも興味あると思います」
「じゃあ誘ってみるよ。ありがとう」
「はい。ぜひそうしてください」
「本当にありがとうございます。詳しい事はまたご連絡します」
そうして私達は別れた。
「おはようございます」
「おはようございます」
作業場に入ると今日の隣の席はソンナさんだった。
「昨日は休んでしまってすみませんでした。今日からまた頑張りますので」
「いえ。別に謝る事ではありませんので。さっそくですがこれ、お願いできますか?」
「あっはい!」
「これはクリーニングでこちらは補修です」
「分かりました」
ソンナさんから制服を受け取った私はテキパキと動く。
そうしている内にいつの間にかお昼休みになったがまだ作業が残っているので黙々と作業を進める。
すると横から
「まだ終わっていないんですか?昼食の時間が短くなってしまいますよ。私も手伝いますから早く終わらせてしまいましょう」
というソンナさんの声が聞こえた。
「あっいえ…」
「良いから。昼食はちゃんと摂ってください」
ソンナさんはそのまま私の残っている制服を受け取ってあっという間に終わらせてしまった。
おかげで昼食の時間をたくさん取れた。
騎士団ではお弁当の人もいるが食堂がありそこで食べる人もいる。
ネリアが騎士団にパンを配達に来る時は一緒に食べる事もあるが今日は1人なので食堂で食べる事にする。
そうして昼食を食べ終え午後の仕事も頑張って屋敷に帰宅しようとした所で騎士団長に呼ばれた。
「失礼します」
「ああ。カトリナさん」
「何かご用でしょうか?」
「お伝えしたい事がありまして。実はもう少しボーナスの時期なのを伝え忘れていて。ここでは年に2回特別ボーナスを出しています」
「そうなんですか?」
「来週あたり渡しますので」
「はい!ありがとうございます」
「以上です」
私は頭を下げ騎士団長の執務室から出た。
「2人もボーナスもらったの?」
帰る途中、専属護衛の2人に聞いた。
「いえ。まだです。でも近いうちと言われています」
「そうなのね。楽しみだわ!」
その日の夜。
「フランさんから誘われた?」
ネリアとサーカスの事を話す。
「はい。お嬢様もですよね?」
フランさんは言っていた通りネリアを誘ったようだ。
「ええ。なんかサーカスのチケットもらったけど行く人がいないって困ってたから私が提案したの。今まではサーカスなんてなかなか行った事がなかったし気になるじゃない?」
「確かに少しだけ」
「そうでしょ?楽しみね。何着て行こうかしら」
話している内に騎士団長に言われたボーナスの事を思い出して笑みが溢れる。
「いつもよりなんだか嬉しそうですが、何か良い事でもあったんですか?」
それをネリアに突っ込まれ興奮気味にボーナスの事を話した。
前の世界もこの世界も含めてボーナスをもらうのは久しぶりだ。
何をするか想像がどんどん膨らむ。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




