117(カトリナ視点)
意外にすぐ席に案内されメニューを見て好きなものを注文する。
それを待っている時、お兄様から誕生日プレゼントとしてお願いしていた農業に関する本を渡された。
てっきり1冊だけだと思っていたら何冊も入っていて驚いた。
「こんなに?」
「何が良いか分からなかったから全部買った」
「こんなにありがとうございます。私の事を考えて選んでくださったのが伝わって嬉しいですが次回からはお財布ともよく相談してくださいね」
「えっ?お金なら大丈夫だよ。あっもしかして気に入らなかった?」
「いいえ。そんな事はありませんがお兄様は私の事になると見境がなくなるので。ズボンの時も一体どれくらい支払ったんですか?」
「ズボンの時…?ああ!大した事はないよ」
「とにかく!お金は大事にしてくださいね」
「分かってるよ」
この世界や国において本は高価なものだ。
誰でも手に入れられるわけではない。
だからこそたくさん持っている事が富の象徴にもなる。
「それはそうとカドーニ王国で起きた事件はどうなっているんでしょうか?あれから進展はないですか?」
「ああ…それに関してはあまり話せないんだ。鋭意調査中とだけしか言えない」
「あっ守秘義務というやつですね」
「うん。ただ1つだけ。これはカドーニ王国での事だからね」
そこでお兄様は小声になり耳に口を寄せてきた。
「あの女性傷害事件の被害者ね、コクルト国のスパイだった」
「えっ?」
「はい!ここまで!」
「あっはい」
今聞いた事に驚く。すると
「ちょっと外すね。すぐ戻ってくるから」
「はい」
お兄様が席を外した。
私達だけで食べ続けていると男が近づいてきた。
「おねぇちゃん達、かわいいね」
その一言でナンパだと分かった。
すぐにネリアも影で見守ってくれていたシシーも動き出そうとしていたが私が止める。
それはお兄様がこっちをチラチラ見ているのが見えたからだ。
お兄様ならすぐに来てくれるという安心感があった。
「何かご用ですか?」
だからなるべく冷静に穏やかに対応する。
「ご用ですかって…かわいいね。恋人とかいないの?てか名前は?」
「私の大切な人に何かご用ですか?」
その時、やっぱりお兄様がやって来て私達も怖気付いてしまうほど背後からの圧がすごい。
「えっ?」
「用があるなら僕が聞きますけど。僕達忙しいので手短に」
「すいませんでした〜…」
案の定、男性はあっという間に去って行った。
「大丈夫か?」
「はい。ごめんなさい。お相手するのが面倒くさかったのでお兄様ならきてくれると思って少し利用してしまいました。ありがとうございます」
心配してもらって悪いがこういう時は男性がいた方が早く追い払えると思った。
その後、会計をして店を出ようとした所でちょっとした小競り合いになった。理由は誰が支払いをするか。
いつもお兄様が支払ってくれているから今日くらいは私がと思っていた。
私もお兄様も引かなかった結果、それぞれで支払いをする事になった。
屋敷の前へ着くとお兄様は用事があると言ってすぐ行ってしまった。
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