116(カトリナ視点)
迎えた誕生日当日。
私の部屋にはたくさんのプレゼントが積まれておりそれを1つ1つ確認すると同時にお兄様と観劇に行くための準備を進める。
お父様やお母様、修道院の子供達にカドーニ王国の仕立て屋からも届いていた。
アクセサリーや紅茶、子供達が自分達で作ったというコースターに仕立て屋からはファッション性を重視した新作のズボンにカドーニ王国で人気だという香水まで付いている。
どれも私のために選んでくれたのが伝わってきて純粋に嬉しかったので手書きの手紙でお礼をする。
一方、あわよくばお近づきになろうという意図が見え透いている方の所には形式的なお礼だけで済ませた。
今日、仕事は休みだ。
でもこの休みを取るのも少し大変だった。
確かに騎士団はとてもホワイトでお給金にも不満はないし有給のような制度もあって好きな時に休める。
でも針子は元々の人手が少ないので休みたいと言うのも容易ではない。
「すみません。この日はお休みを頂きたいのですが…」
と報告すると
「下っ端なのに良いご身分だね」
すみませんと頭を下げようとした時。
「カトリナさんは今までそんなに休んでいませんよ。それに休むのは私達針子に平等に与えられた権利です。むしろあなた方の方が休む事多いように思いますが?」
ソンナさんがフォローしてくれた。
その瞬間、嫌味を言った針子の顔色が変わった。
途端に気まずそうだ。
「先ほどはありがとうございました」
仕事が落ち着いてソンナさんにお礼をしに行った。
「私の思った事を言っただけだからお礼を言われる事はなにも」
とクールに言い放った。
「それでも助かりました。ありがとうございます」
ソンナさんはあまり多くは語らないけどよく周りを見ているし優しい。こんな人になりたいと思った。
観劇に行く準備を終えた頃、ちょうどお兄様がやって来た。
「とても綺麗だね。今日の主役にふさわしいよ」
お兄様は目をキラキラさせて言う。
「ありがとうございます。お兄様、今日はよろしくお願いします」
「はい。しっかりエスコートさせて頂きます」
いつも通りのお兄様の言葉を軽く流して劇場へと向かった。
「今回の演劇はどんな内容なんですか?」
「いや〜もらった時なんか言ってたけどあんまり聞いてなかったんだよね」
「えっ?」
「まぁ着いてからのお楽しみって事で」
会場に到着し用意された席は2階の1番辺りを見渡せる席だった。
演劇はある令嬢が私立探偵のような感じで事件を解決していくものだった。
今日は女性客も多かったのでこの演目だった事に驚いた。
というのも女性が主に観覧するのは恋愛ものが多いと思っていたからだ。
でも確認するとコクルト国で有名なイケメンの俳優が出ていた。
(だからか…)
そう思いながら密かに夢見ていた望遠鏡を覗いて劇を観た。
その俳優が登場する度に女性達から歓声と感嘆のため息が聞こえる。
しかしこれは演劇としても大変面白いものだった。
シリアスな場面もありながらコメディ要素もある。
「どうだった?」
だから幕が下りてお兄様に感想を聞かれた時すぐに言った。
「面白かったです。探偵の描写が細かい割にコメディ要素もあって観やすかったです」
「そうか。良かった。でも意外だな。てっきり女の子は恋愛物語が好きなんだと思っていたから」
「いえ。色々なジャンルを観るのが好きなので」
「これからどうしよっか?ちょっと休憩しにカフェでも行く?」
お兄様が提案してくれた。
「そうですね。賛成です」
劇場を出てお兄様おすすめのカフェへと向かった。
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