115(カトリナ視点)
「そういえば穀物の調子どうなりましたか?」
作業の合間に聞いた。
「ああ。ちょっと芽が出たぞ」
「本当ですか?見ても良いですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
見に行くと確かにぴょこっと芽が出ていた。
ここで確実に育っているのだと実感できる。
「この前渡した種植えたか?」
「はい。プランターとバケツで試してみていますが今の所変化なしです」
「そうか。もう少し様子見だけどやっぱり広い場所の方が芽を出しやすいのかもな。あと水の量、気にしてるか?」
「水の量?」
「あっ言うの忘れてたな。すまん。穀物にはそれぞれの時期で水の量に注意しなくちゃだめなんだ。特にバケツなら最初は湿らせるくらいで良いんだよ」
「そうなんですか?私浸していました。帰ったらすぐに直します」
「芽が出たら水を足して浸すんだ」
「分かりました。それと屋敷のもう少し広い場所を使えるよう叔父様にお願いしてみようと思います」
「さすがご令嬢だな。ははっ」
それから屋敷に戻りクライドさんに言われた通り水を減らした。
その日の夕食で叔父様から「何が欲しい?」と聞かれた。
私はなにがなんだか分からず固まってしまったがすぐに立て直す。
「えっ!あっそうでした!」
「忘れていたのか?」
突っ込まれたが上手く誤魔化す。
「最近忙しかったので」
「何が欲しい?なんでも良いぞ」
「う〜ん…ではお屋敷の畑の使用許可をください」
ちょうどいいタイミングだと思い頼んだ。
「えっ?畑?」
「はい」
「そんな事で良いのか?もっとアクセサリーとか欲しいものないのか?」
叔父様は若干引いていたが気にせずに続ける。
「あっそれならコクルト国特有の作物の種をください。色々育ててみたいんです」
「えっ?種?」
「叔父様、ただの種ではありませんよ。コクルト国にしかない作物の種です」
「分かった…用意しよう」
「ありがとうございます」
さらにお兄様が明日来ると知らされた。
いつも事前に知らせてくる事はほとんどないのに珍しい。
「カトリナ、やっほ〜」
「こんにちは。お兄様、お座りください」
翌日、知らせ通りお兄様はやって来た。
「ありがとう」
ネリアにお茶を淹れてもらい話し始める。
「それで?今回は珍しく事前に手紙があったと聞きましたが?」
「カトリナに聞きたい事があってもうすぐ誕生日だろう?何か欲しい物やしたい事はないか?」
やはりその話だった。
昨日からもしかしたらその話なのではないかとネリアと事前に話していた。
「では農業に関する本が欲しいです」
そのおかげで悩む事なく、すんなりと答えられた。
「農業に関する?」
「はい。この国には穀物があるでしょう?それを育てたいと思っていて。他にもスパイスなどコクルト国にしかないものを育てたいんです。その勉強のために」
「分かった。他には?」
お兄様も一瞬驚いていたもののすぐに納得してくれた。
今までも変な事をする事があったから慣れたのだろう。
「えっ?他に?それは考えていませんでした」
さらに他にはないかと聞いてくる。
そこまでは予想していなかった。
「そうか。なら観劇を観に行かないか?」
「観劇?」
「ああ。チケットをもらったんだ」
「連れて行ってくださるならぜひ」
「ちょうどカトリナの誕生日当日なんだ。チケット渡しておくよ。当日は迎えに来るから」
そう言ってチケットを差し出され受け取るとさっさと帰ってしまった。
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