114(カトリナ視点)
「これ、お願いします」
「は〜い。お預かりします」
カウンターで破れた制服を受け取り破れた箇所を確認して縫い始める。
「すみません。針山取ってくれませんか?」
作業場では1つのテーブルを数人の針子で使う。
当然、針山も1つのテーブルにつき2、3個だ。
座る位置によっては取りづらい事もある。
「はいはい。これね」
「ありがとうございます」
針子の方々は私より年上の人が多く周りで世間話をしているがイマイチ分からないし前世のテンションで頑張って入ってみても変な顔をされるので最近は静かに作業に集中している。
「最近ものの値段が高くなってもうかなわないわよ」
「本当よね〜。これも隣国との影響かしら?」
「そうよね。あ〜早く終わらないかしら?ねぇ?」
針子の1人が私の方を見て言ってきた。
「ちょっと彼女は分からないわよ。お貴族様だから。ふふっ」
どうやら私が貴族である事が知れてこのように嫌味な会話が聞こえてくる事も最初はあった。
「私は確かに貴族ではありますがそれは他国での話でここでは1針子であり1番の下っ端です。なんでもやらせて頂きますのでどうぞご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします」
感謝と尊敬を忘れず1人1人と真摯に向き合っているといつの間にかそんな会話は聞こえてこなくなった。
「上手いわね」
その内、お直しの腕を褒められる事も増えて素直に嬉しい。
「ありがとうございます」
そして休日も色々な場所に出かけておりブレムさんから穀物の仕入れ先を紹介してもらいその農場にも通うようになったしコクルト国でも慈善活動を続けている。
さらにカドーニ王国で作ったズボンを売りたいという申し出を受けその調整もしている。
とりあえず売れるかどうかお試し期間を設けその結果で正式に販売するかどうかを決めるという事になった。
また発案者として売り上げの1割〜2割をもらう事も。
試用期間は1割で正式に販売が決定したら2割。もちろん売れなかった場合は0と決めていたがこれが予想外に売れた。
リラックスパンツと名前を変えたそれは動きやすさを求める人達から好評でさらにファッション性が欲しいとの声があったため今はおしゃれなバージョンも制作中だ。
そして今日は穀物の仕入れ先であるクライドさんの農場に向かう。
「こんにちは」
「今日も来たのか」
「クライドさんが手伝ってみるかって言ったんじゃないですか」
今日はカドーニ王国で作った動きやすいズボンに汚れてもいい服で来た。
でもクライドさんはすぐ辞めたいとなるだろうと予想していたらしいが私が継続的に来るものだから驚いていた。
「さぁ今日は何をしましょう」
「じゃあ今日はここの雑草を取ってくれ」
「分かりました」
最初はクライドさんも公爵令嬢の私に色々指示を出していたものかと思っていたらしいが私がなんでも言ってくださいと言ったのと自分から勝手に動いているのを見て言っても大丈夫なんだと思ったようだ。
そこからはあれこれ指示が飛んできて色々な事を学ばせてもらっている。
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