102
迎えたお嬢様誕生日当日。ちなみに今日は仕事も休みだ。
今日は朝から忙しかった。
まずフェルソニー様と観劇に行くお嬢様の着替えを手伝い、お迎えまでの間屋敷に届くお嬢様宛ての手紙やプレゼントを開封していく。
違う国にいてもミール公爵家となればさすがの量だ。
叔父様からはすでに畑の使用許可と作物の種をもらっており旦那様からはアクセサリー、奥様からはモク茶ばかりは飽きるだろうからと紅茶とお菓子のセットが贈られフェルソニー様からも本が贈られる予定だ。
その他にもズボンを売りたいと提案した仕立て屋などからも贈り物が届いた。
あれからお嬢様は仕立て屋と交渉し正式にズボンをリラックスパンツとして販売する事になり、結果はまぁまぁの人気らしい。
そして発案者として売り上げの1〜2割程度をもらう事になったと言っていた。
さらにラインナップを増やすため仕立て屋とのやり取りを続けている。
定期的に農園にも訪問し穀物の育て方のアドバイスをもらって屋敷の畑で実践するという日々が続いていた。
そんなこんなで忙しくなってしまったので前よりも回数は少なくなってしまったが、修道院などへの寄付も続けている。
やっぱりお嬢様はすごいと思う。
休日でも1日ゆっくりする事は少なく何かしら動いている。
元々、動き回っていた印象はあったが以前よりも動いている気がする。
かと言って疲れている感じもあまりない。
それが不思議でもある。
「なんか動いていた方が調子いいのよ。しっかり動いてしっかり寝る」
私がその秘訣を聞いた時に言っていた言葉だ。
そうしている内にお迎えが来た。
「とても綺麗だね。今日の主役にふさわしいよ」
フェルソニー様が満面の笑みで言う。
「ありがとうございます。お兄様、今日はよろしくお願いします」
「はい。しっかりエスコートさせて頂きます」
お嬢様はフェルソニー様にエスコートされ馬車に乗って劇場へと向かう。
会場では貴族席が用意され2階の1番辺りを見渡せる席だった。
まもなく演劇が始まる。
その内容はざっくり言うと1人の令嬢が私立探偵のような感じで事件を解決していくものだった。
「どうだった?」
演劇が終わり幕が下りるとフェルソニー様が聞く。
「面白かったです。探偵の描写が細かい割にコメディ要素もあって観やすかったです」
「そうか。良かった。でも意外だな。てっきり女の子は恋愛物語が好きなんだと思っていたから」
「他のご令嬢ならそうかもしれませんが私は違います」
「これからどうしよっか?ちょっと休憩しにカフェでも行く?」
「そうですね。賛成です」
私達は劇場を出てフェルソニー様おすすめのカフェへと向かった。
こういう時のフェルソニー様のセンスは本当に良い。
どこからこんな情報を得ているのだろうと思うくらいに。
皆で好きなものを頼んで待つ間、お嬢様に袋が手渡された。
「これ。良いのが分からなかったから何冊か選んだ。誕生日おめでとう」
袋の中には数冊の本が入っていて全部、農業関係の本だった。
「あっありがとうございます」
お嬢様は嬉しそうに本のページをパラパラめくる。
その後注文したものが運ばれてきて食べているとフェルソニー様が少しの間、席を外れた。
「ちょっと外すね。すぐ戻ってくるから」
「はい」
私達が食べ続けていると男が近づいてきた。
「おねぇちゃん達、かわいいね」
すぐにナンパだと分かった。
ついて来てくれている護衛のシシーが動こうとしてくれるがお嬢様が手で止める。
女性だけだったのでナンパのターゲットにされたのだろう。
これでフェルソニー様やアランドレがいたら近づいて来ないはずだ。
「何かご用ですか?」
「ご用ですかって…かわいいね。恋人とかいないの?てか名前は?」
その時。
「私の大切な人に何かご用ですか?」
男の背後からすごい圧のフェルソニー様が現れた。
「えっ?」
「用があるなら僕が聞きますけど。僕達忙しいので手短に」
「すいませんでした〜…」
男はフェルソニー様の圧に負けて去って行った。
ここまでお読み頂きありがとうございます。




