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その日の夕食。
「カトリナ、何が欲しい?」
といきなり叔父様が聞いた。
「えっ?」
お嬢様も私と同じく素っ頓狂な顔をしている。
「もうすぐカトリナの誕生日ではないか」
叔父様はその顔を見て言う。
(そうなの!?)
私も初めて知る事実に驚く。
しかしお嬢様はすぐになんでもないかのように取り繕う。
本来、小説では主人公ではない私達の事はほとんど出てこなかった。
「えっ!あっそうでした!」
「忘れていたのか?」
「最近忙しかったので」
「何が欲しい?なんでも良いぞ」
「う〜ん…ではお屋敷の畑の使用許可をください」
お嬢様は少し考えた後言った。
「えっ?畑?」
「はい」
「そんな事で良いのか?もっとアクセサリーとか欲しいものないのか?」
「あっそれならコクルト国特有の作物の種をください。色々育ててみたいんです」
「えっ?種?」
「叔父様、ただの種ではありませんよ。コクルト国にしかない作物の種です」
「分かった…用意しよう」
「ありがとうございます」
お嬢様は嬉しそうにするが、さっきから叔父様は引いている。
誕生日プレゼントに作物の種を要求する公爵令嬢なんていないだろう。
でもお嬢様は豪華なアクセサリーやドレスよりもそういうものも方が好む。
「あっ明日、フェルソニーが来るらしい。珍しく事前に手紙があった」
「そうですか」
そして食事を終えお嬢様の入浴も済ませていつも通りマモッコをやっている。
最近では1人でも綺麗な形を作れるようになり入浴後のお世話は私1人でやらせてもらう事が増えた。
だから以前のように夜、入浴後のお世話の時間が私達の話す時間にもなった。
「誕生日だなんて知らなかったわ」
「私も」
「不審に思われたかしら?どうしましょう?」
「大丈夫です。旦那様からお嬢様の事情はある程度聞いているはずなのでそこまで不審には思っていないと思います。お嬢様の切り返しも良かったので」
「それなら良いけど」
翌日。
前日、言っていたようにフェルソニー様が来た。
「カトリナ、やっほ〜」
「こんにちは。お兄様、お座りください」
私達はお茶とお菓子を用意し隅に下がる。
「ありがとう」
「それで?今回は珍しく事前に手紙があったと聞きましたが?」
「カトリナに聞きたい事があってもうすぐ誕生日だろう?何か欲しい物やしたい事はないか?」
やはりと思った。
昨日、絶対その話が出ると思いお嬢様となんと言うか話し合っていたのだ。
「では農業に関する本が欲しいです」
そのおかげで悩む事なく、すんなりと言えていた。
「農業に関する?」
「はい。この国には穀物があるでしょう?それを育てたいと思っていて。他にもスパイスなどコクルト国にしかないものを育てたいんです。その勉強のために」
「分かった。他には?」
「えっ?他に?それは考えていませんでした」
「そうか。なら観劇を観に行かないか?」
「観劇?」
「ああ。チケットをもらったんだ」
「連れて行ってくださるならぜひ」
「ちょうどカトリナの誕生日当日なんだ。チケット渡しておくよ。当日は迎えに来るから」
それだけ言うとフェルソニー様は帰って行った。
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