王子
そう、今年学園に行くのは私とユリアスともう一人、この国の第二王子殿下である。うちの国は三人の王子と一人の王女が居る。第一王子のエドフォード、第二王子のアーノルド、第一王女のチェルシー、第三王子のデュエン。アーノルド殿下は私達と同い年だ。
「そうだよ、僕も君達と一緒に入学だ。忘れられてたなんて悲しいなぁ。」
そう言いながら、私の後ろから急にひょっこりと顔を出したのは他でもない、第二王子である。
「でっ、殿下!?」
「いつの間に!?」
「いやぁ、君達が集まってるのが見えてね、来ちゃった。」
(びっ、びっくりした。気配が無かったぞ。暗殺者かよ。てういか、防音魔法かけてたよな!?どうなってんだ、アス!)
そう思いながらユリアスの方に視線を送ると、気まづそうに一度目を逸らした後、気づかないうちに解除されちゃってた☆というような顔で見てきた。
「しかし、三人は相変わらず仲がいいね。羨ましいなぁ。」
「えぇ、まぁ幼い頃からの付き合いですから。」
「殿下だって俺と仲良しだろ!」
「ユリアスとロイルは僕と仲良くしてくれるけど、ユトゥールはなかなか話してくれないんだ。毎年式典が終わった後挨拶をしようと思っていても、すぐに帰ってしまうからね。今日は会えてラッキーだったよ。」
「ロイやアスと違って、私は殿下と会う機会がありませんから、そう思われるだけでしょう。」
「殿下だなんて堅苦しいなぁ。兄さんをエドって呼んでるみたいに僕の事もアルでいいよ?」
「失礼ながら殿下、場所を見てから発言をしてくださいね?ここは人目が多いですから、軽はずみな発言は避けた方がよろしいかと。」
「……そうだね。僕が悪かったよ。」
(やっばぁ!変な事言わないでくれる?心臓に悪いんだけど!!そりゃぁ会わないでしょうね!だって!私貴方のこと避けてますから!!)
第二王子と対面で話した事は片手で数えられる程度。だがその数回の会話で分かってしまったのだ、私この人無理だ、と。私が魔力暴走で後遺症を持っている事を知っているのは一部の者のみ。そしてその一部にこの王子は入っているのだ。私の後遺症の能力を見たいと言われた時、一体どうかわそうか迷ったものだ。以来、私の体質を知った王子は一度でいいから見たいと私に興味津々なのだ。本当に迷惑な話である。誰だこいつに教えたの。
(だいたい、あの時はまだ後遺症の制御を完璧にできてなかったから危なかったんだよな。危険な物だって言われてるはずなのに。)
「でもユトゥール、君の事をウルって呼ぶのをそろそろ許してくれないかな?僕の事は無理でもさ、ねっいいでしょ?僕もロイやアスみたいに君と仲良く」
「大変申し訳ありありませんが、そろそろ帰る時間なので。呼び方は好きにしていただいて構いませんが、そこまで呼ぶ機会も無いでしょう。それでは私はこの辺りで失礼します。」
そう言って私は足早にその場から立ち去った。
「ちぇっ、逃げられちゃったや。」
「ウルをあまりいじめないでください、殿下。」
「俺らまでウルに避けられたらどうしてくれんだよーアル。」
「君にアルと呼ばれても嬉しくないのだけど。はぁ、どうやったら僕の前で能力を使ってくれるかな。僕には魔法すら見せてくれないんだ。ウルの魔力は綺麗だから、魔法も綺麗だと思うんだ。あー気になるなぁ。」
「魔法すら見た事ないのか?相当嫌われてるな。」
「まぁ、ウルは追われたり、しつこかったりが本当に嫌いそうだからね。」
「まぁいいさ。同じ学園に通うんだ、機会が無いわけじゃないだろう。」
「お前、気持ち悪いぞ。」
「はぁ、疲れた。帰ろうかな。帰りは転移魔法使って帰るって言ったから大丈夫だろうし。」
あの場で転移して帰ってもよかったが、あいつの前で魔法を使いたくなかったのでわざわざ遠くまで走ったのだ。帰ろうと思い魔法を発動しかけた時。
「よぉ、ウル。」
「エドフォード殿下!」
「そう堅苦しくしなくていい。ここは人目もそこまで無い。」
「ならお言葉に甘えて。まだ居たんだね、てっきりもう帰ってるのかと。どうかしたの?」
「今日はルーシーの付き添いだからな。少しだけ自由時間を貰って、休んでたらウルの姿が見えたから追ってきたんだ。」
ルーシーと言うのは多分だがチェルシー様の愛称だろう。付き添いということは今日は陛下と第一王女様が帰るまで帰れないらしい。
「で、お前あと少ししたら学園に行くだろ?定期的に帰ってくるとは思うが、今よりは会えなくなると思うからこれを渡そうと思ってな。」
「ペン?」
「普通のペンとしても使えるし、魔力を込めた後文字を書いて最後にお前の名前を書けば、紙が俺の元へ来るようになってる魔道具だ。困った事や愚痴りたくなったらいつでも手紙を寄越すといいさ。」
「素敵なプレゼントありがとうエド!大事に使うね。」
「俺も同じペンを持ってる、俺からも手紙を書くさ。ペア魔石で作ったペンだから、お前がペンを持ってる限りお前の元へ届く。」
「ペア魔石の魔道具なんて高価なのに。貰っちゃっていいの?」
「いいんだよ。ウルにあげたかったんだ、貰ってくれ。」
「なら遠慮なく。」
「帰るとこだったろ?止めて悪かったな。学園、頑張れよ!」
「うん、ありがとう。手紙、書くからね。」
「あぁ、気をつけて帰れよ。っていっても転移だから大丈夫だろうけど。じゃぁな!」
「またね!」




